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コントラクト・エンゲーム 1編・2編  作者: 亥BAR
第3章 最低の友情、次郎と圭
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第5話 同じ失敗はしない!

 仕切り直すように圭と次郎は空き教室の中央でたった。

 中央に机を二つ置き、向き合う形で立つ。そして自分のスマホを取り出し、契約の準備に取り掛かる。


「さて、ゲームのないようだが……」

「それは俺が決める!」


 そこは絶対に譲るわけには行かないと、圭が次郎より先に前に出た。前回のネイティブ戦では頭が回りきらず、やつの思惑通り動いていた。


 だが、ゲームは始まる前から始まっている。交渉をできる限り、フェアに持ってくことは絶対条件。


「このゲーム、お前が吹っかけてきたんだ。だったら、俺に内容を決めさせろ」


「……俺がフェアじゃないと思ったら、拒否するぞ」

「無論だ」


 あの時、ネイティブ戦では最もやらかした点はクリア……か。確かに自分は馬鹿かも知れない、でも、マヌケでいるつもりはない。

 敗北したなら、それを認め、それを糧に成長してやる。ネイティブを倒すために、馬鹿を脱する。


 ここで、圭はどういうゲームをするべきか考え始めた。


 ネイティブと戦うならば間違いなくエンゲームを行うことになるだろうと踏んでいたゆえに、いくつかエンゲームの内容を考えていた。その中から、今ここで次郎に勝つために選択すべきゲームを……さて、どうするか……。


 このゲームにおける目的は、次郎に勝つ、いや、勝敗以上に次郎の考えていることや目的を探ること。


 それを行うには……次郎と本気で勝負できるゲームを選択するか……。次郎がどこまで本気で挑んでくるかで……。

 それに、ゲームに集中するようになれば……自ずと、それ以外のことが無防備になるだろう。とにかく、次郎の思考を探る……。


 あとは、この機会を利用してコントラクトがどこまでの影響力を持っているのかを探る。コントラクトというのは、果たして”どういうアプリなのか”をここである程度は確立しておきたい。ネイティブとのゲームの勝率をより上げるためにも。


「どうした圭? ゲームが思いつかないのか?」


「いや、決めた。次郎、嘘を付き合おうぜ」

「嘘?」


 圭は既にいくつか考えたうちのゲームひとつを選択した。


「ああ、やること自体は実に簡単だ。攻撃側、すなわち嘘をつく権利を与えられる側と、防御側、つまりその嘘を看破する側を交互に入れ替えて、ゲームを進める。これだけ言えば、ある程度は分かるんじゃないのか?」


 次郎は顎に手を当て、少し思考するしぐさを見せた。


「攻撃側が何か発言をして、防御側はそれがウソかホントをみやぶる、ということか? でも、具体的にどうやって、ゲームを進めていく?」


「まあ、先行後攻は、ジャンケンとかででいいだろう。まず、攻撃側は、問題を出すことを宣言したあと、問題を出す。「マルかバツか」そのセリフが出題完了の合図となる。

 それに対して防御側が、ウソかホントか、すなわちマルかバツか答えるわけだ。攻撃側はその答えが正しいかどうか、回答する。それを交互に行う。


 回答が正しければ、防御に一点。逆ならば攻撃側だ。で、それを攻撃、防御の入れ替えを一回として、2回戦行う。

 このゲームで勝敗がつかない場合は、延長。2点差着いた時点でゲーム終了だ」


「なるほど……マルバツゲームか。

 でも、正解が間違いかは、どうやって決める? こう言っちゃおしまいだが、攻撃側はいくらでも、ごまかせるだろ? 二人じゃジャッジもいない。


 あれか、答えるときに紙にあらかじめ、ウソかホントか書いておくとかするのか?」


 次郎のそんな質問に思わず鼻で笑ってしまった。


「馬鹿か、コントラクトがあるだろう? それで回答に対する答えに嘘は付けないように契約してしまえばいいだけだ。


 具体的にそれがウソかホントか決めるポイントはその問題を出した直後。その時、出題者が脳内で決めたその問題に対するマルかバツが、答えとなる。その後、回答段階でマルがバツになっても、マルが答えであることに変わりはない。


 逆に言えば、マルかバツか出題者が決めることができないものは、そもそも出題できない。必ず出題者は答えを知っている問題でなければいけない」


「……なるほどな……」


 次郎はゲーム内容を一通り理解してくれたようで、自分の首を何度か縦に頷かせていた。

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