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コントラクト・エンゲーム 1編・2編  作者: 亥BAR
第2章 絶対なる契約
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第17話 契約の解除方法

 亜壽香がたくさん並ぶカバーに目を通し始めたのを確認し、圭は再び思考に海に潜っていく。どこまで考えたっけ……そうだ、ネイティブに解除を同意させる方法だ。


 確か、ルールの中に契約で他の契約を解除するのも不可とあった。ということは、やはりネイティブと契約をし、契約解除の意思を強制的にさせる必要がある。


 だが、その契約を結ぶにも同意が必要。どういう状況になろうとも現状の立場は圭のほうが圧倒的に不利。その中でそんな契約に同意させるのは間違いなく困難。


 なら、エンゲームに持ち込み、勝利してから契約を結ぶ方法しかない。こうなれば、話はどうやってネイティブをエンゲームさせるように持っていけるか。そして、どうやってエンゲームで勝利するか、ということになるだろう。


 いくらエンゲームでも、今の状況でネイティブに「さあ、エンゲームしましょう」など言っても断られるのがオチ。

 どこの王様がいきなり市民と権力かけたジャンケンをするか。いいや、どこもしない。なら、ゲームを、ジャンケンを挑んで、断れない状況を作るのが第一だ。


 そのためには……、と考えたところで、視界にある亜壽香の動きに目が止まった。


 たくさん並んだスマホカバーの商品の前でモミアゲをいじる亜壽香の姿があったからだ。

 あのように指でくるくる巻いたりしいてもみあげをいじったりするのは亜壽香が物事を考える時の癖だ。


 だが、この状況で何を考える? カバーを選ぶのがそんなに悩ましいのか?


「亜壽香? どうした? 合うカバーがないのか?」

「え!? いや、大丈夫。これだよ、このあたり」


 亜壽香は一瞬慌てたような様子を見せたがすぐ、指で亜壽香の前にあるカバーを指さした。何種類かカバーが揃っていた。

 その後、亜壽香は慌てていたことなど何もなかったように「はい」とスマホを圭に返して、その場を一歩下がった。代わりに背中が押され商品の前に。


「で、どれがいいと思う?」

「それは圭が決めなよ。圭が使うんだから」


 そう言われそれもそうかと商品を見比べ始めた。そういえば、今まで周りの人が使っているのを見てきた中で大きく二つのタイプがあったことを思い出した。スマホの周りを囲むケースのタイプと画面のところに蓋がつく手帳タイプ。


 実際、圭の前にもその両タイプがあった。どっちがいいだろう……って、どっちでもいいか。所詮カバー、スマホになにか影響するわけでもあるまい。もし、このカバーの選び方でエンゲームに勝てるとでもいうのなら真剣に選ぶが。


 そんな感じで適当にケースを選ぼうと手を伸ばしたが、そこでふと手帳型カバーに目がいった。この手帳型……使えるか?


 この蓋はうまく使えば横から画面を見えないようにと障壁に使っても不自然にならない。画面を隠しながら操作をするのもできる。状況によったら使えなくもない。


 カバーを買うのに優先するものとしては少々おかしいだろう。コントラクトというアプリに毒されていると圭自身も思う。

 でも今は、ネイティブに対抗するため、ありとあらゆる手段を摸索しなくてはならないのだから、これは些細なこと。


 そう自分に言い聞かせ、手帳型のカバーを手に取った。柄は黒とグレーで織りなされたチェック模様。なんとなくしっくりきた。


「やっぱり、黒が好きなんだね」


「……みたいだな」

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