表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コントラクト・エンゲーム 1編・2編  作者: 亥BAR
第3章 作戦準備
112/130

第8話 接近結果

 それからしばらく時間が過ぎると隣の教室のドアが再び開かれる音が鳴った。ターゲットが教室から出た音だろう。


 それからすぐ、圭は次郎のスマホから圭のケータイ(次郎)へ電話をかけた。そのまま二回コールが鳴ると同時に切る。

 これは作戦がまず終わったことを告げる合図だ。


 この合図を受け取った次郎はターゲットの尾行を再開し、奴の行く先を見届けてもらう。


 続いてターゲットが離れたところを見計らって森も隣の教室、すなわち圭がいる教室に入ってきた。


 圭に圭のスマホを渡してくる。それを受け取るとすぐに契約内容を確認した。


『エンゲーム事前契約』

 第一条 仮面ファイター5103(以下甲という。)とヴァームス(以下乙という。)はいずれゲームを行うことを約束する。


 第二条 甲はゲームを行う日時と場所を指定する。

  2 日程は最低でも二日後以降、二週間以内の中から、場所は学校の敷地内とする。

  3 日時と場所を決定した後、開始時刻の最低24時間前に日時を、そして最低1時間前に場所を乙に示さなければならない。その示す方法は任意とする。


 第三条 乙はゲーム内容を決める。このゲーム内容はそれぞれ二人ずつチームを組んで行えるものとする。

 2 ゲーム内容は甲が公平だと思えるものでなければならない。内容を聞いて甲が不公平なものだと感じた場合、その場で別のゲーム内容を変更しなければならない。

  3 ゲーム内容はゲーム開始一時間前までに甲に示さなければならない。その方法は任意とする。


 第四条 甲、乙ともに、ゲーム開始前までに、自分を含めて二人のプレイヤーを集めなければならない。


 第五条 乙は、乙を支配する人物の情報を甲が欲しがっているという事実を口外及び発信する行為並びにそれを匂わせる行為をしてはならない。


 よかった……しっかりと契約は結ぶことができている。


 だが、このままの状態では圭が負ける可能性が十分あるのは事実。ゲーム内容を向こうが決めるのだから、その分こちらの分が悪いといっても差し支えはないだろう。


 そのために、公平な内容にしてもらうという契約もある。こちらが少しでも公平でないと判断すればそれはゲームとして成り立たない。


 この契約によって奴らは極力公平な……少なくとも公平だとこちらに見せつける内容を作ってくるだろう。


 後はそのゲームに対してどんな対策を施すかだ……。幸い……かどうかは分からないが、人数に関しては考える必要はない。二人ぐらいならもう、そろっているのだから。


「アリス……奴は確かに二人を集めろといったが……奴は解放者がお前一人だと思っているのだろうか」


「どうだろう……、何かに感づいた様子は見せなかったけど、演技の可能性はある」


 まず、解放者の可能性が高いのは、現状元ネイティブの誰か。そういう認識は奴の中で変わっていないはずだ。


 そこでキングダムの一員、自分の支配下にある人物である可能性も生まれてきた。そこで……二人なのでは、と思った可能性は?

 やはり……あるか。


「アリスはキングダム側にネイティブにも支配されているという事実は知られているのか?」


「いいえ……。わたしは何も言っていない。向こうが探っていない限りは……」

「ってことは……二人いるかもしれない、という可能性を奴は持ったのかもしれないか」


「でも、ターゲットは二人を集めるのは、王の意思、というように言っていた。「契約だからな」そういったあの言葉に……何の意味があるか。


 でも、少なくともあの言葉がブラフでなければ、こちらが二人だと感づいたからタッグ戦にした、と言うわけではなさそうかも」


「だよな……それは気になっている部分だ」


 一応、契約は面と向かわなくてもできるようになっている。あくまでも契約はアプリの中で行われるのだから、ネットがつながっていれば問題はない。


 となると、やはりここに来るまでにスマホをいじっている中で、王と連絡を取り合い、エンゲームを二人対戦で行わせるような契約を結ばされた、と考えるのが一番理屈に合う。


 では……奴らはペア対決という物を利用してどんなゲームを仕掛けてくるのか……。

 そう考え込もうとした矢先、次郎のスマホに電話が入った。次郎が持つ圭のケータイからだ。


『チャーリー、こちらボブ。ターゲットが今、校門を出たことを確認。その間に接触した人物はいない。これから、どうすればいい? 送れ』


 そうか……ターゲットはこれからどうするつもりだ?

 やはり王と接触するか?


「ボブ、一応尾行は続けてくれ。ただし、無茶は絶対にするな。この時間帯、下校する生徒は少ない。

 もし、お前がターゲットにばれたら、解放者かその仲間と疑われる可能性が高くなる。お前は顔も割れてることだしな。十分注意して深追いは絶対にするな」


『了解。尾行を続ける』


「風邪マスクつけて顔をうつむかせておけよ。絶対上げるな。視線は……」

『ターゲットの足元。十分聞いた。理解してる』


 だが、結局次郎は尾行に失敗。次に来た次郎からの電話は『なんの成果も得られませんでした!』だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ