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コントラクト・エンゲーム 1編・2編  作者: 亥BAR
第2章 解放者契約
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第11話 その他の対策

「と……とまあ、我々は悪い子、ということで……」


 一度咳き込んだあと、二人に仮面をちゃっちゃとしまうよう促した。そして、一度、呼吸をするタイミングを置き、改めて次郎と森に視線を送る。


「その仮面以外にも、いろいろとやってもらいたいことがある」

 そう前置きをして、昨日まで考えていた対策を一通り説明し始めた。


「まずは、校内で使うサンダルについてだ。あのサンダルじゃあ、色で学年が完全にバレてしまう。別の学年のサンダルを用意するのもアリだが、簡単じゃないからな。そこらにも売ってないみたいだし。


 三人で入れ替えたとしても、ひとりは同学年のサンダルを履くことになる。そういったことを考えれば、もういっそ、各自適当なサンダルかスリッパを見繕って欲しい。それこそ、百金で売ってるスリッパでも家にあるのでも構わん」


 ここまで、いろいろな人物とあってきたが、どんな時でも圭は、真っ先にスリッパに視線を向けていた。無意識にその人物が同学年なのか、先輩か後輩か、確かめていた。そして、それはネイティブであろうと、学年は直ぐにわかった。


 やはり、重要な情報になりえるだろう。特に三人で群れた場合、学年の組み合わせ情報が公開されるのは比較的痛い。


「そうか……なるほどな……仮面と同様、正体を隠す手段ってわけか」

「確かに、2年ふたり、一年ひとりの組み合わせは……割と目立つ組み合わせだとも思いますしね。それを隠すのは必要かも知れないですね」


 二人とも理解が早くて助かる。


「それに加えて、森さん、お前には合わせて学年の関係を見透かされないために、俺たちに対する敬語はやめてもらおう」


「……っ!」

 森は圭の言葉でハッとしたように、見開いた。


「敬語を……? いや、確かに……理屈はわかりますけど」


「だけど、常にじゃない。解放者として立っているとき、すなわち、仮面をかぶっているときは、上下関係を匂わせる敬語はやめてもらう、というわけだ。

 普段、すなわち、生徒としているときは、当然先輩後輩だから、敬語で話せ。それも当然、強制だ。


 とういうか、それは契約で完全に執行させる。契約してしまえば、否応なく森さんは従うことになる」


「まあ、普段も敬語を使ってなかったら、なんのカモフラージュにもなっていないですからね……」


「あぁ、だから、申し訳ないが、こいつにも普段は敬語で話してやってくれ」

「ちょっと待て、コラ」


「仕方ありません。西田先輩にも、ちゃんと敬語は使いましょう」

「おい、こらてめえら」


「でも、仮面かぶってる時は、容赦なくタメ口で罵倒してやってくれ」

「ぉぉう?」


「分かりました。任せてください」

「はぁん!?」


 ギャアギャア言ってくる次郎を横に置いて、もう一つと言いながら人差し指を立ててみせた。


「あと、仮面をかぶっている間、すなわち解放者として行動している間は、名前で呼び合うことを禁止する」


「名前? あぁ、でもそうなるのか。名前なんて正体そのものだからな」


「でも先輩はそのまま解放者と名乗っておけばいいのでは?」


 森の提案に一度考えた。正直、解放者などと呼ばれたら圭がリーダーだと相手に教えるようなものになる。だが……どちらにしても動きで圭だと分かることになるのか?


「よし、なら圭は『指令』だ。で俺が『アルファ』で森さんが『ブラボー』」

「……無線機でも使うつもりか」


「じゃあ、わたしが「アリス」で西田先輩が『ボブ』でどうです?」

「……今度は通信実験でもする気か!」


 アルファブラボーだとアリスボブだの……。


「文句言っていますけど、実際そういうのがいいのでは? 記号的な名前で呼び合えばより正体を悟られくくなるとは思いますが?」


「……そういわれたらそうか……。よし、なら森さんがアリスで次郎がボブ、俺はチャーリー、そんなんで構わん。適当でいいだろう。まあ、別に君でもお前でも、指さしでも構わない。とにかく、名前で呼び合うことだけは絶対に禁止とする」


「さらっと俺の意見は却下するんだな」


 ひとまずこれで、予定していた説明は全て終えた。それを踏まえて、契約文の作成に入った。

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