独りの思い
今回は、本編とは少しだけ異なるので飛ばしてもいいところです。
静かな夕食。姉ちゃんは食卓にはいなかった。無理もないだろう。今日は星花さんのお葬式に行ったのだから。唯一の親友を失う、その現実を受け止められず、苦しんで、独りになっていた。
コツコツ。
「姉ちゃん……ご飯は?」
「……………。」
そこには、ベットに背もたれて虚ろになっている姉がいた。部屋の光は携帯の画面だけだった。
克彦は静かにドアを閉めた。
少し肌寒い6月。姉は学校を休み気味になっていた。姉の事は心配しているが、学校を休むわけにもいかず普通に登校した。姉の事は心配しているが、学校を休むわけにもいかず普通に登校した。僕は姉ちゃんが気掛かりだったけど、学校を休むわけにはいかなかった。
友達がいない訳じゃない。学校に行けば話しかけてくれる人がいる。メールをすれば返してくれる人がいる。誘えば来てくれるし、誘われたら行くし、別に孤独な訳ではない。だけど、凄く寂しい。星花がいないだけで独りになった気分だった。別に一人じゃないのに。…死にたい。頭によぎる四文字の言葉。そう思うと、すぐにその思いを打ち消そうとした。独りで葛藤を続けた。
私にとって星花はどんな存在だったの………。どんなときも支えてくれた。どんなときも信じてくれた。どんな悩みも、愚痴も、何でも話せた。
私にとって星花は、私が一人になってしまうのを止めてくれた、唯一の友達だった。
そんな星花がいなくなってしまった。私は独りかもしれない。
姉は、相当あの星花さんとは仲が良かったみたいだ。
たった一人の友人を亡くしただけで、こんなに落ち込んでしまうのか。僕も亡くしたら泣くのだろうか。泣けるのだろうか。
僕には友達がいる。一緒に喋ってくれたり、遊んでくれたり、そんな友達がいっぱいいる。メールを送れば返信が来る。どこかに誘えば来てくれる。そんな友達はいっぱいいる。けど、友達を亡くしたとき、一番亡くしたくない人を考えたが、誰の名前も出てこなかった。
こんなこと考えても意味もないのに考えてしまう。こんな考えしてはいけないのはわかる。けど、一人になると考え始める。
僕は、本当の友達はいないだろうと。
私はずっと独りなのかな。一人のはずじゃないのに。でも、星花は大きな存在だった。
星花は私が一人だったことが嫌で、一緒にいてくれた。
私は、星花のためにも独りを考えるのはやめないと。星花の分も生きるのだから。
独りは辛いだけ。