親友
「ねぇ、この服なんてどう?廣己にピッタリじゃん!」
「そぅかな…。」
星花と2人で洋服屋さんにきていた。星花は私にあう服を探してくれている。
「この黄色とか……うん!ピッタリじゃん!やっぱ似合うと思ったんだぁ。」
「私、黄色好きだけど…着るのは…。」
「大丈夫!着てみて。ほらほら。」
「ぅうん…。わかった。」
最近は、いつも2人で行動している。帰り道で話しかけられて以来、星花はいつも私にかまってくる。
学校でも、気付けば廊下でいつも待っていた。
なんでいつもかまってくるのか。わからなかったけど、一人より楽しかったからいつも一緒にいた。一人でいる時、周りの視線を凄く感じたけど、二人でいたときはあまり気にしなかった。毎日のように二人で喋って、遊んで、笑った。私は、無二の親友だと感じた。そう思った。そう信じたかった。だから、星花を信頼した。
「ねぇ星花。」
「なに?」
「あの時、どうして話しかけてきてくれたの?あの帰り道のとき。」
「………」
廣己の言葉に星花は少し笑った。
「私が話しかけた理由?決まってるじゃん。」
「…?」
「ただ単に………廣己と、友達になりたかっただけだよ。それだけ。」
「…フフ。」
二人は笑いながら座っていた。廣己はその言葉が嬉しかった。本当に仲良しの親友だと思った瞬間だった。
教室は違うけれど、暇があれば一緒にいた。部活も同じ部活に入った。高校もわざわざ同じところを選んだ。みんなに裏切られてから、唯一信頼できる存在だった。離ればなれなんて考えられなかった。
高校三年。受験生真っ最中な姉。中学校以来、姉は強くなった。姉の弱いところは、中学生以来見ていない。そんな姉が泣いていた。止まる気配のない涙も拭かずに、泣いていた。今にも落ちそうな携帯電話を片手に、ママの腕のなかで声を荒げ泣いていた。なぜ泣いているのだろうか。その理由は、あまりにも単純で、あまりにも重すぎることだった。星花さんが、あんなに姉と仲のよかった、無二の友だとも言っていた星花さんが、さっき死んだのだ。