第9節 凡人達は不安よな。天才 動きます。
本日をもって本作は1周年を迎えました。
これも偏に皆さんのおかげではなく僕の力です。
「ていうか暗ッ!まったく、俺の天才眼に入ることを拒むとはシャイなやつめ。」
しかし困った。天才困った。
『めっちゃ聖なる首飾り』のおかげでなんとか魔族の放った最強魔法を回避することはできたものの、とんでも摩訶不思議な場所に飛ばされてしまった。
幸運をもたらすなんて大嘘じゃねえか。
"不運"と"踊"っちまってるよ。
フォルテ・レイン12歳、なんて可憐で儚げでキュートでかわいそうで天才な美少女なんだ…シクシク…
「さて、ようやく眼が慣れてきたな……ッ!?ここはまさか!」
どこだ!?
なんて古典的なギャグはしない。なぜなら、このフォルテちゃんはこの場所を知っているのだから!
そう、ここは!
ありふれた迷宮だ!
ーフォルテの迷宮講座 その①ー
ブンブンアイアムテンサーイ。どうも、天才です。
今日は右も左も誰がバカボンかも分からない凡人の君達に迷宮について説明してあげよう!
この世界には魔物がたくさん住んでいる迷宮という場所がいっぱいあって、凡人達はそこで魔物をガーって狩ったり、宝箱からお宝をゲッツしたりして生活しているのだ!身もふたもない言い方をするとゲームみてえな場所なのだ!
以上!チャンチャン!
「という感じの場所に来てしまった…!」
おいおいおい某クソ雑魚探検家並の貧弱天才ガールのワタクシ様にはちょいとばかしキツすぎるぜよ……。
「だとしても!俺は絶対可憐ジーニアス!必ずや生きて戻ってやろうじゃねえか!」
我ながらカッコいい。キュン。
はっ!?自分(すごく天才)にメロメロハートでキラにちは☆している場合じゃない!
「とりあえずここから動かなきゃ始まらないよな…後ろは行き止まりだし前進あるのみ、か。」
テクテクテクテクテクテクテクテクズバババババババババババババキキーッ!
「分かれ道、だと…!」
とりあえず落ち着いて数字を数えるんだ…!
1…2…3…「今何時か教えてくれねえか!」5時!…6…7…8…9…9…9………うん!
「道は2つ、右と左…どちらかが正解でどちらかが不正解…いやしかしどこかの探偵団が正解はひとつ!じゃない!!って言ってた気がするしなぁ…。」
うーむ………はっ!
「答えは、この壁の向こう側だあああ!」
説明しよう!フォルテ・レインは○✖︎問題で◇を選ぶようなとてもすごーいIQの持ち主!そのとんでも頭脳は我々凡人には到底思いつかない破天荒な答えを導き出したのだ!
「某お米の国横断ウルトラクイズ!」
そう言って彼女は最後のガラスをぶち破った。
「うおおおお!」
ブチッ…♡
「薄い膜を貫通!やはりここが正かブフェイエッ!」
べちょ。
「ううぇ…なぜこんなところに泥が……おかげで顔まで泥まみれじゃねえか……しかーし!帰宅のためと思えばこれくらいの災難──安いもの!」
ブッブー
「へ?」
ブッブー
「ですわ!?もしや間違え…」
ちょいと待てよ、と。
ははーん。さては「べ、別にあんたのことなんか好きじゃないんだからねっ!」的なブッブーだな?
ブッブー
「分かる、分かるぞ俺には分かるぞ。迷宮ちゃんがちょっとツンツンデレデレな子だってことが、ね。」
ブッブー
「そんじゃ、俺は先に進むよ。グッドバーイ、アメリカ語でさようならだ。」
ブッブー
テクテクテクテクテク。
はっ、また俺のファンを増やしちまったぜ。
罪な男。今は女。
通常、小説というものは「」を使います。
しかし、本作は「。」を使っています。
それはなぜか?
皆さんは一度は国語の教科書というものを読んだことがあると思います。
では、その中に掲載されていた小説の文章を覚えているでしょうか。
そうです。「。」が使われているんですね。
現在の国語の教科書には作品を掲載する際、原典にはなかった句点をつけるという慣例が存在しています。
ここまで言えばお分かりでしょう。
『私は既に教科書を視野に入れている。』
そういうことです。




