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特別任務と誕生

黒いドラゴンの名前を変更しました。

「ノワールくん、ブランくん。君たちに特別任務を与えます!」


 宝物庫から出た私は、ブランの何があったのかという問いかけには答えず、二人に特別任務を言い渡す。

 いきなりの私の言葉に、ポカーンとした顔のブランと無表情のノワール。

 ・・・鎧だもんね、仕方ないよね。


「こほん。まずはこれを見て欲しいの。」


 そう言って二人に見せたのは、黒い卵と白い卵。


「陛下、これは・・・?」


「宝物庫の奥に大事そうに置いてあったの。」


「ふむ、こんなものがあったとは。これはなにかの卵か?」


 ノワールとブランはそれぞれ卵を手にとり、不思議そうに観察している。


「そうなの。まだなんの卵かは分からないけど、二人にはそれぞれその卵のお世話をして欲しいの。」


「「げっ・・・。」」


 卵を手に固まる二人。

 そりゃ、なにが生まれてくるかも分からないのに世話をしろって言われても困るよね。

 分かる。

 分かるんだけれども、私はそれが三つですよ!

 一つぐらいで文句を言うんじゃない!と私は思ってしまうわけです。


「で、ですが、貴重な物なのでは?それに宝物庫の物は陛下の物ですし・・・。」


 ブランがさりげなく特別任務を断ろうとする。

 ふん!そうはさせるもんか!

 人には決して譲れないことの一つや二つはあるものだ!


「ちなみにあと3つ、赤と青と緑の卵があります。文句を言う度に一つずつ増えて・・・」


「よし!我はこの黒い卵を預かろう。ブランも三つか四つかは分からぬが、決して割らないように気をつけるのだぞ。」


「ちょ、なんで三つか四つになっているんだ!へ、陛下!私は決して文句を言ったわけではありません!この白い卵は是非、私にお任せください!」


 そう言って二人は逃げるように私を置いて戻って行ってしまった。

 ・・・うん、せめてこの三つの卵、運ぶだけでも手伝って欲しかったな。















 卵を見つけてから約一週間。

 私は魔法の勉強や練習をしたり、ブランにこの世界の一般常識を教えてもらったり、城の中を探検して迷子になってノワールに救出されたりと忙しい毎日を過ごしていた。

 魔法の練習は火、水、土、風、光、闇の全六属性の属性魔法よりも、一人が一つは持つという固有属性魔法の練習をしている。

 だって凄く便利なんだよ。

 私の固有属性魔法は『創造魔法』。

 こんな魔法が欲しいなって思った魔法を好きなように作れるんです。

 これはもうチートってやつですね、多分。

 私がこれまで作った魔法は『念話』と『転移』の魔法。

『念話』はノワールとブランを呼び出すのに便利で、『転移』は迷子になる度にノワールにお世話にならなくてもいいようにつくった。

 ちなみに『創造魔法』はとても珍しく、前例がないらしい。

 ほとんどの人が『身体強化』だそうだ。

 そんな感じにまったり・・・じゃなくて、忙しく働いていた(?)私は、ある日目が覚めると直ぐに異変に気がついた。

 なんと!

 棚の上に置いていた卵がなくなっている!

 そして!

 なぜか布団が膨らんでもぞもぞと動いている!


「・・・。」


 これ、この部屋ごと封印しちゃダメかな?

 そう思いつつも気になって、布団をゆっくりとめくってみる。


「・・・え?」


 そこにいたのは人間の赤ちゃんくらいの大きさで翼の生えた三体の生き物・・・。


「これって、ドラゴン、なの・・・?」


 小さいけど、なんか可愛いいけど、これってまさしくドラゴンだよね?

 ファンタジーの世界でお馴染みのあのドラゴンだよね!

 私が一人で盛り上がっていると、遠くの方から悲鳴が聞こえたような気がした。


「うん、気のせいかな。」


 あー、それにしてもちっちゃくて可愛いな。

 ドラゴンの赤ちゃんってこんなのなんだ。

 もっとリアルなトカゲっぽいのを想像していたけど、どっちかというと人形みたいな見た目だ。

 三匹の赤ちゃんドラゴンは、卵の色がそのままのようで、それぞれ赤と青と緑色をしている。


「えーと、たしか名前をつけなくちゃいけないんだよね?」


 最近私は名前をつける機会が多かったからネーミングセンスが良くなっているはず!

 きっと今までの名付けの試練は今日のためにあるんだ!

 ありがとう、ブラン、ノワール。

 私、絶対に素敵な名前をつけてみせるわ!


「陛下!陛下!陛下ー!」


 私が静かに闘志を燃やしていると、城中にブランの声が響き渡ったのだった。










「ブランは慌てすぎなのだ。卵が孵って嬉しいのは分かるが、もう少し落ち着いてはどうだ?」


「そうよ、ブラン。朝から大きな声を出して。この子たちがびっくりしちゃったじゃない。」


「逆にどうして二人はそんなに落ち着いているんですかね?」


 私たち三人はひとつの部屋に集まり、それぞれドラゴンを連れてきた。

 三匹のドラゴンは私の膝の上に。

 黒のドラゴンはノワールの腕の中に。

 そして白いドラゴンはブランの頭の上に。

 私たちは可愛いドラゴンを愛でながら幸せな時間を過ごしていた。


「ドラゴンっていったら一瞬で国を滅ぼすほどの生き物のはずなんですが。どうしてそんなに可愛がっているんですかね?」


「だって可愛いじゃない。」


「うむ、その通りだ。この子らを前に愛でずにいられるとは、ブランは変わっているな。」


「私が、私の方がおかしいのか・・・!っていうかそろそろ頭から降りてくれないか。か、髪が凄いことに・・・。」


 ブランも白いドラゴンと仲がいいようで良かった、良かった。


「ところで二人とも。この子たちに名前をつけてあげたいんだけど、なにかつけたい名前はある?」


 ノワールもブランもそれぞれドラゴンの面倒をこれから見るんだから、自分で名前をつけてあげた方がいいと思のよね。


「我は主につけてもらいたい。我が主には名付けの才能があるからな。」


「私も陛下にお願いしたいです。いい名前をつけられる自信がありません。」


「んー、そっかぁ。ま、私もいい名前が思いつくかは分からないけど、一応考えてみるか。二人もなにか思いついたら言ってね。」


 赤と青と緑のドラゴンの名前はもう考えてあるんだけど、どうせならみんな一緒につけた方がいいよね。











 遅い朝食を終えた私たちは、今、外で遊んでじゃれているドラゴンたちを眺めて癒されています。

 やっぱり子供は外で遊ぶのが一番よね。


「いやー、最初はドラゴンだと思ってびびっていましたが、こうして見ると確かに可愛いですね。」


「でしょ?癒されるよね!」


 かーちゃんは本当に素晴らしいプレゼントをくれたよね。

 さすが私の親友だね!

 ・・・後で破った手紙を修復しときます。


「それにしてもあと二匹の名前、どうしようかなー?」


 三匹はノワールとブランに習って、色の名前をなんか格好いい和名でつけようと思ったんだけど・・・。

 白と黒にいたっては、白は白という色しかないし、黒は黒しかないんだよね。

 他の色みたいに、例えば青と水色とか、緑と黄緑とか色の濃淡があるわけじゃないし。

 という訳で、色々悩んでいるわけですが。

 ま、別に色にこだわらなくてもいいか!


「よし!全員集合~。一列に並べ!」


 五匹の赤ちゃんドラゴンはピタッと動きを止めてそのままじっと私を見つめてくる。

 そして有難いことに、ノワールとブランがドラゴンたちを一列に並べてくれる。

 あ、ありがとう二人とも。

 でも二人まで並ばなくていいから!

 確かに全員っていったけどさ!


「こほん。では、只今よりドラゴンたちの名前を発表したいと思います。」


 右から順に赤、青、緑、白、黒の順で並んでいる。

 ドラゴンたちは全然動かずに固まって、まるで私の言葉を待っているみたい。


「右から順に、『朱凰すおう』『青蘭せいらん』『翡翠ひすい』『琥珀こはく』『柘榴ざくろ』!」


 朱凰だけ元々蘇芳っていう色から漢字を変えて名前にしてみたみたけど、こっちの方が格好いいし、どうせ漢字は私しか分からないからいいよね?


「うん、なかなかいいんじゃない?漢字も格好いいしッ!?」


 ドラゴンに名前をつけて私が納得すると、ドラゴンたちが急に光だした。

 どんどんその光が強くなり、眩しくて目を開けていられなくなって。

 そして再び目を開けた私の目に飛び込んできたのは・・・。


「「「・・・。」」」


 大きく成長して大人の姿になった五匹のドラゴンだった。

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