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王都の開拓とホムンクルス

 大公の屋敷を完成させた次の日。

 今日も私は忙しく仕事をしておりました。

 あー、女王って忙しい。

 屋敷を建てたり土地の開拓をしたり。

 ・・・あれ?これって女王の仕事だっけ?

 ま、まあいいじゃないか。

 たまには建築する女王がいたって。


 今日は王都の建設をしている。

 大公領地の町並みはだいたい構図が出来上がっているので、次は王都の町並みをどうするかなんだけど、どうせなら近代的な町並みにしようと思っている。

 近代的といってもSFといえるほどのものではなく、この世界にとっての近代的なもの。

 ガラス張りの建物とかね。


 最初は王都の貴族区に大公たちの屋敷を建てる。

 上下水道完備、魔道具あり、庭つきの高級住宅です。

 別に女王らしい仕事をしたいわけではないけどなんか虚しくなる。

 今頃大公たちは新しい屋敷を満喫しているんだろうなあ。


「陛下。お疲れではございませんか?いっそ今日はお休みになられては?」


「ああ、ありがとうセルジュ。私は大丈夫。早く終わらせないと。この国を開放したら休むから。」


「承知しました。ですがご無理はなさいませんよう。」


 セルジュの心遣いが身に染みる。

 全く後ろの毒舌メイドも見習って欲しいものだ。


「・・・なんでございましょう?」


「いえ、なんでもありません。」


 さて、仕事しよかなー。

 大公の王都の屋敷はもう終わった。

 領地の屋敷ほど凄いものではないけどなかなか立派な屋敷だ。

 ほとんど見た目は同じだけどね。

 次は全ての領地に造ろうと思っている公共施設に取りかかろう。

 まず王都は貴族区、商業区、住宅区、学校区、公共区を設けた。

 今から取りかかるのは公共区だ。

 私は特別な地図を取り出す。

 この地図は王都のジオラマのようになっていて創造した建物をこの地図で配置することができる。

 昨日シルキーが教えてくれた。

 というかなんで屋敷が造り終わってから教えるんだよ。

 もっと早くに教えて欲しかった!


 こほん。

 それで公共区はどんな場所かというとその名の通り公共の場所だ。

 まず中央に噴水広場を造ります。

 飲めるくらい綺麗な水にする。

 次は役所だ。

 役所は住民登録をしたり(戸籍カードを作る)暮らしの相談を受けたり旅の案内(実際に案内するわけではない)、戸籍カードへの現金のチャージ(指定のお店での支払いや税金の支払いもできる)、仕事の提供をする。

 あと自分の家や店が欲しいときとか、借りたいときも役所で手続きができる。

 戸籍カードについては魔道具を使って登録するので誤魔化しはできない。

 また不思議なことにわざわざ更新しなくても戸籍カードは常に持ち主の情報を読み取っているらしく勝手に更新される。

 まあ、住む領地を変えるときは戸籍カードを新しくしないといけないけど。

 戸籍カードに表示される項目は、名前、種族、年齢、誕生日、学歴(ポラリス王国の学校)、戸籍カードの残高。

 誕生日については孤児の子供たちに自分の誕生日を知っていて欲しいから設定した。

 また、本人以外の人が持つと戸籍カードに名前しか表示されない。

 エレオノーラに相談して裏に登録した領主の紋章がでるように設定しようと思う。

 また、貴族の戸籍カードは見た目がちょっと豪華になっていて爵位によって色を変える仕組みだ。

 その人が誰なのか戸籍カードですぐ分かるようにしようと思っている。

 次は衛兵の詰所。

 まだ衛兵は誰もいないけど治安を守るために設置しようと思う。

 今度人を募集しなくちゃね。

 ちなみに地下には牢屋があって犯罪者をここに入れるようになっている。

 次は病院。

 病院はポラリス王国の国民なら戸籍カードを提出して無料で治療を受けられる。

 怪我くらいなら魔法で治せるんだけど病気になるとそうはいかない。

 お医者さんをどうしようかと思ったけどこの世界はあまり医療が進歩していない。

 下手すればそこら辺の医者よりも私の方が詳しいくらいだ。

 というわけでどうしようか。


 〈ホムンクルスをつくることをお薦めします。〉


「うわあ!」


「どうされましたか陛下!」


「ああ、いやなんでもない。」


 私がいきなり声を出したものだからセルジュが慌てて駆け寄る。

 本当に大丈夫なんですごめんなさい。


 ええと、久しぶりだねヘルプさん。


 〈お久しぶりぶりでございます。〉


 突然どうしたの?


 〈悩んでいらしたようなので助言させていただきました。マスターは私のことをすっかり忘れていらっしゃるようでしたから私の方から発言させていただきました。申し訳ございません。〉


 あ、いやこちらこそごめんなさい。

 すっかり忘れてました。

 それでさっきのホムンクルスとは?


 〈人工生命体のことです。マスターはホムンクルスに必要な知識を植え付けて生み出すことができます。これはダンジョン機能でホムンクルスを魔物、魔族として生み出すことが可能だからです。〉


 ほうほう。なるほど。

 それは凄い機能だね。

 まさかホムンクルスが魔族扱いだったとは。

 魔族ってシルキーみたいな存在だよね。

 それはまた毒舌キャラが増えたりしないか不安だ。


 〈ご安心ください。ホムンクルスには感情がありません。ですから性格や個性というものもありません。時間が経てば感情が生まれる個体もあるかもしれませんが。〉


 うーん、そうなんだ。どうしようかな。

 でも私は医療知識をそんなに持っているわけでもないし。

 ヘルプさんは医療の知識や技術をもったホムンクルスを生み出せる?


 〈マスターの魔力さえいただければあとは私が調節いたします。〉


 それは助かる。さすがヘルプさん。

 じゃあよろしくお願いします。


 〈かしこまりました。何体お造りしましょうか?〉


 それぞれの領地に配置する医者が欲しいから8人かな。


 〈かしこまりました。〉


 魔力が今までにないくらいごっそりと抜かれふらっとするとセルジュが慌てて支えてくれる。

 お礼を言って前を見ると光が8つ現れ人の形になっていく。

 光が収まるとそこには顔がそっくりの8人の美女が白衣を着て立っていた。


「陛下、これは・・・」


「ほう。一番初めに生み出した魔族がホムンクルスとは。意外でしたね。陛下は世界征服を始めるおつもりですか?」


「なんでそうなるシルキー。私は優秀な医者が欲しかったの。」


 シルキーが何故か物騒なことをいい始めた。


「いえ。ホムンクルスとは昔から戦争に使われてきたので。それにしても医者ですか。なんとも陛下らしいですね。」


「な、なによ。別にいいじゃん。平和のためのホムンクルスがいたって。」


「はい。いいと思いますよ。」


 シルキーの無表情の顔が一瞬優しい顔になった気がした。


「え?もしかしてからかわれてる?」


「素直に言葉が受け止められないとは。ひねくれていますね。」


「いやだっていつものシルキーからしたら考えられないんだけど。」


「これだからひねくり曲がって1回転して心も腐りきっているマスターは。」


「ひどい!なんか凄くひどいこと言われてる!というか心もってなに!?それ以前にいつものシルキーで安心している自分が怖い!」


「ドMですか?」


「うるさいよ!」


 私たちがギャーギャーと言い合っているとセルジュが申し訳なさそうに言葉を挟んでくる。


「盛り上がりのところ申し訳ありません。この方たちはいかがしましょう?」


 ふと8人の美女を見るとみんな無表情で突っ立っていた。

 よく見ると全員種族が違うのかケモミミやエルフ耳などを持っている。

 ドワーフの女性の特徴ってなんだろう?

 背も低くないし女性だから髭もない。

 一見すると人間と変わらないように見えるけど。

 ・・・ああ!一体だけ胸が貧乳だ!


 〈それぞれの領地に配置するということでしたので種族を全員バラバラにしてみました。顔が同じなのでこれで区別ができると思います。2体人間がおりますが一人だけ髪型が違うのでお分かりになるかと。〉


 おお!さすが細やかな気遣いありがとう!

 そこのシルキーに爪の垢を煎じて飲ませたいくらいだよ!

 ヘルプさん爪ないけど。


 〈お褒めの言葉ありがとうございます。あとは名前はつければホムンクルスたちは仕事を始められますよ。医療以外の知識も技術もありませんが学習能力はあります。回復魔法も使えます。あと不老不死で食事も必要ありません。〉


 分かった。ありがとうヘルプさん。

 今回は助かったよ。


 〈いえ、それが私の役目ですから。これからはもっと仕事をいただけると有難いです。では。〉


 ヘルプさんのこと忘れてて申し訳ないな。

 こんなに仕事ができて優秀なのに。

 今度からちょくちょく頼ることにしよう。

 さてと、それでこの子たちの名前だけど。

 右から人間が二人、ドワーフ、エルフ、龍人族、獣人、人魚、吸血鬼のホムンクルス。


「じゃあ右から、アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、イプシロン、ゼータ、エータ、シータにします。」


「「「「「「「了解しましたマスター」」」」」」」


 ホムンクルスたちが返事をして礼をする。


「みんなには医者として働いてもらうから。これからよろしくね。シルキーは彼女たちを空いている部屋に案内してアネットに事情を説明して世話を頼んできてくれる?」


「かしこまりました。」


 シルキーはホムンクルスたちを連れて部屋から出ていった。

 シルキーって毒舌だけど仕事はしっかりしてくれるんだよね。


 医者も確保できたし病院を造ろう。

 診察室と手術室と病室それから職員室があればいいだろう。

 ちゃんとトイレやお風呂、調理場などの水周りも整備する。

 あ!赤ちゃんを病院で産むことになるかもしれないからそのための設備も整えておこう。

 これでいいかな?

 足りないときはまた足していこう。

 次は銭湯だ。

 ポラリス王国の国民には清潔でいてもらいたい。

 病気を防ぐことにもなるしね。

 シャンプー、リンス、ボディーソープも完備。

 今さらだけどなんでもありだなダンジョン機能。

 元々登録されていたもの以外は私が見たことがあるものなら大抵のものはつくれる。

 次は裁判所だ。

 裁判は領官が行う。弁護士はいない。

 裁判の様子は記録が撮られるようにする。

 裁かれる人物が貴族だったり事件が大事だったりすると大公や私がでてくるときもある。

 次は孤児院。

 孤児はいない方がいいけどいつの時代でもいなくならない。

 日本だってそうだったし。

 せめて孤児たちがのびのびと生活できるように大きい台所やお風呂、トイレ、庭、家庭菜園ができる畑を作った。

 後でおもちゃや人形、絵本などを置いておこう。

 孤児でも戸籍カードさえあれば学校にも通える。

 ポラリス王国の国民なら誰でも通えるようになっているからね。

 ただし孤児は税金を払えないので戸籍カードを作るとき孤児であることを登録しなければならない。

 成人すると自動的に孤児の登録も消え、2年後税金の支払いが始まるようになっている。

 最後に図書館だ。

 本はとても貴重で高価なものだ。

 図書館はポラリス王国の国民だけ戸籍カードで貸し出しができる。

 誰が借りたかすぐにわかるからね。

 期間内に返さないと罰金だけど。

 ちなみにポラリス王国の国民ではない、つまり戸籍カードを持っていない人は本の持ち出しは禁止、入館にもそんなに高くはないけどお金がかかる。

 ちなみに紛失や本を駄目にすると誰だろうと罰金になる。

 公共区はこれくらいかな。

 あとは冒険者ギルドをここに誘致しようと思っている。

 冒険者ギルド以外の施設はどの領地も絶対に造らなければならない。


 公共区が終わったので学校区に取りかる。

 王都にある学校は小学部が平民と貴族の2つがあり、中学部と大学部もある。

 貴族用の学校は王都しかない。

 中学部はそれぞれの大公が学科を決める。

 だから中学部だけはそれぞれの領地で学科が違うけど今のところ王都の中学部で考えているのは、領官、衛兵、農業、商業、医療、給仕、料理の7つだ。

 王都は大学部があるからこの7つだけだけど、ゴードンの領地なら鍛冶、エレオノーラの領地なら魔法工学などの学科を考えているそうだ。

 大学部は王宮で働くような学科がある。

 例えばそれぞれ大公の役職の学科や騎士、魔術師だ。

 といっても大学部だからといって王宮で仕事をしないといけないわけじゃない。

 それ以外の仕事をしても全然OKだ。

 こんなことが学習できるよってだけだから。

 さてと、色々説明しているうちに学校が完成した。

 段々建物を造るのも慣れてきた気がする。

 貴族の小学部は貴族が文句を言わないくらいのちょっぴり豪華なものにした。

 ちなみに平民の小学部だけは給食があり、それ以外の学校は全て学食になっている。


 学校区が終了したので次は商業区だ。

 商業区には商業ギルドを誘致する予定だ。

 そして個人的に必要だと思う店をいくつか造る。

 宿は絶対に必要だから、国営の高級と一般向けの宿を造る。

 高級な宿は他国の貴族が訪れるかもしれないので気合いを入れた。

 でもちょっぴりやり過ぎたかもしれない。

 あと食堂と服屋とお菓子屋を造った。

 この店はしばらく私が経営して人を雇うことにする。

 あとは貸し店舗にするための店をいくつか造る。

 人が来たときにすぐに商売を始められるようにだ。

 貸し店舗は改装を自由にできるようにする。

 しかし元々あったものは持って行ったりできないし、出ていくときも元通りにする必要はないけどすぐに次に入る人が商売を始められる状態でなければならない。

 もしこれを破った場合はかなりの罰金を支払うことになる。

 よし、こんなもんでいいでしょう。

 結構の数の色々な店ができた。

 でも人がいないのはやっぱり寂しく感じるから早く人で一杯に賑わうところを見てみたいな。


 最後は住宅区。

 住宅区も貸し店舗のように貸家を建てていく。

 ・・・これだけあれば大丈夫なはず。

 あとそれから私が考えている施設がある。

 それは無料のアパートだ。

 なんで無料?と思うかもしれないけど、それはスラム防止のためだ。

 スラムがあると治安が悪くなるし衛生的にも問題がある。

 だから無料アパートを設置する。

 アパートといっても公共のトイレがいくつかはあるけどそれ以外は鍵と窓しかついていない小さな部屋があるだけ。

 それでもスラムよりはましなはず。

 システムとしては、お金がないポラリス王国の住民が戸籍カードを使って受付で部屋を借りる。

 戸籍カードは部屋の鍵にも使われる。

 家族が一緒の場合は同じ部屋に戸籍カードで登録できる。

 宿にも泊まれない人が戸籍カードを持てるのかということについては、戸籍カードは無料。

 戸籍カードを持つ以上ポラリス王国の住民と認識されるので税金を支払わなければならない。

 しかし、どうしてもお金がなくて払えない場合は役所に行って手続きをすれば労働で税金を払うことができる。

 アパートを出ていくときは綺麗にして出なくてはならない。

 これが守れない場合は罰金かお金がなければ国外追放になる。

 国外追放は厳しいかもしれないけど、まあ面倒がらずに掃除すればいいだけだもんね。

 よし、こんなもんか。

 なかなかいい感じになってきたんじゃないかな?まだ誰もいないけど。

 あとは他の領地も王都と同じように整備すればもうすぐ移民の受け入れを始めることができる!

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