閑話・大公たちの屋敷
「ふぉーーー!」
なんなのじゃこれはー!
こんな素晴らしい屋敷は今まで見たことがないのじゃ。
妾は今自分の屋敷を眺めて猛烈に感動しているのじゃ。
「お、お待ちくださいエレオノーラ様!」
「早く来るのじゃバトラー!置いていってしまうのじゃ!」
妾は胸を高鳴らせながら門を潜り屋敷の扉を開けた。
「ふぉーーー!キラキラなのじゃー!」
まさに豪華絢爛。
これはもう屋敷ではなく城なのじゃ。
この屋敷を選んだ妾に間違いはなかったのじゃ!
どれも素晴らしく美しいデザインで見ているだけで楽しくなる。
「これはまた・・・」
後から来たバトラーもさすがにこれには驚いたようで目を丸くしている。
妾はわくわくしながら屋敷を探検する。
「風呂が広いのじゃー!トイレが不思議な形なのじゃー!魔道具がたくさんなのじゃー!」
妾は色々周り珍しいものもたくさん見つけた。
一番気に入った部屋を自分の部屋にして荷物をしまう。
ふふふ。と思わず笑みがこぼれる。
「今日は楽しかったのじゃ。バトラーがこれから屋敷にある食材で料理を作ってくれるから楽しみなのじゃ。明日は庭を探検するのじゃ。」
エレオノーラの屋敷の探検はまだまだ終わらない。
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セリオンは目の前にある屋敷を見て言葉を失っている。
いや、他のエルフたちも同様だった。
その屋敷は本当に屋敷なのだろうか?
この見たこともないぐらい巨大な木は
「・・・世界樹だ。」
それはエルフに伝わる失われた宝。
それが今目の前にある。
しかも屋敷に加工された状態で。
「と、とりあえず中に入ってみよう。」
意を決して門を潜り扉を開ける。
そこに広がっていたのは優しさと温もりだった。
誰もが言葉を失う。
初めて来た場所のはずなのに不思議と懐かしさが胸に込み上げた。
帰るべき場所に帰ってきたような不思議な感覚だった。
これも世界樹の影響なのだろうか?
「・・・この場所を与えてくださった陛下に感謝を。ずっとこの地を守り続けよう。それが陛下に対する我らなりの感謝の示しかただ。」
決意を新たにしたエルフたちは、この後この屋敷の快適な設備に感動し、花梨を崇拝するものが現れたとか。
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「きゃー!なにこれ素敵すぎるわ!」
目の前に広がる透き通った青い海。
屋敷の中なのに海を眺めることができるこの部屋を見て花梨がいたなら「オーシャンビューだ!」と叫んでいたに違いない。
「素敵ね。ここから出られなくなってしまいそうだわ。陛下がおっしゃるには南国リゾートというらしいけど。設備も快適だし、なぜか食料もあるのは謎だけど。」
そう。他の屋敷もそうだが、なぜか不思議なことに食料まで準備されていた。
「まああって困るものじゃないし。そうね、後でこのプールに入りましょう。そのあとはあの広いお風呂も楽しみね。久しぶりに料理でもしましょうか。」
レティシアはのんびりと自分の屋敷を満喫したのだった。
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「なんだこれは。」
カミロの屋敷を見ての第一声はそれだった。
たしかに陛下に任せると言った。
領主の屋敷だしそれなりに立派なものだとも思っていた。
しかし、これは
「屋敷というより、城だな。」
豪華すぎるのではないかと思ったが、屋敷を見て珍しくはしゃぐ一族の者たちを見てそれもまあいいかと思い直す。
連れてきたワイバーンたちもこの国に来てからのびのびと飛ぶことができて嬉しそうだ。
きちんと飛ぶ場所を躾なければと考える。
しかし王都にはドラゴンがいるのでそちらには絶対に近づこうとはしない。
「それにしても異国風だとは聞いていたが変わった形の建物だな。これも異国のおしゃれとかいうやつだろうか。」
カミロは花梨が大公の屋敷を観光地にしようと企んでいたことは知るよしもない。
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「おお。これは素晴らしい。写真で見るよりも実物は感動もひとしおですね。」
ローランは出来上がった屋敷を見て「ほう。」と息をついた。
これほど素晴らしい建築を一体誰が考え造り上げたのだろう?
「陛下の故郷の建造物は目を見張る技術ですね。しかも派手ではないこの美しさ。何度見ても飽きません。」
ローランは部屋から庭を眺め心穏やかな気分になる。
池があるのも驚きだが静かな水音が耳に心地よい。
この庭も見たこともないデザインだが不思議と心が落ち着いてくる。
「そうですね。せっかくですから陛下のお薦めの温泉に入ってみましょう。楽しみです。」
ローランは早速温泉に向かう。
不思議な臭いがして少し顔をしかめるが、服を脱ぎ温泉への扉を開ける。
「・・・広いですね。木の風呂ですか。このデザインも陛下の故郷のものなのでしょうね。」
ローランは体を洗いゆっくり湯につかる。
「・・・ほぅ。」
思わず息がもれる。
心地よい温かさに包まれて気持ちよさに目を細める。
先ほどまで気になっていた臭いも今では全然気にならない。
「たしか傷や病にいいと聞きましたね。その他にも美容や疲労回復にも効果があるとか。たしかにこれは体がほぐれるようです。陛下が力説なさるのも無理もありませんね。・・・おや?外にも温泉がありますね。」
窓から見えた外の温泉に興味を惹かれ思いきって外に出る。
寒かったので慌てて温泉につかる。
「はあ。濡れた体に風が冷たかったですね。・・・ん?これは」
ローランは目の前の光景に絶句する。
そこには美しい和風の庭があった。
夜だったのでライトアップされさらに美しい。
「なるほど。景色を眺めながらの温泉ですか。考えましたね。」
しばらく景色を眺めながら温泉を楽しみ、ようやく温泉から出た。
「私としたことがあまりの心地さにのぼせるところでした。・・・おや?これは陛下の故郷の衣装ですか。たしかあの本でも着ていましたね。」
ローランはせっかくなので浴衣を着てみた。
「ふふ。なんだかこの屋敷に雰囲気が合っていますね。私もこの和風といいましたか、それの一部になった気分です。」
ローランはご機嫌で浴衣を眺める。
「まだ1日ですが既にこの屋敷の虜になってしまいそうです。せっかくですからこの領地まるごと陛下の故郷のようにいたしましょうか。和風の建物に和服。なかなかいい考えです。陛下も喜んでくださるでしょう。温泉もこの地の強みになりますね。明日陛下に故郷の料理を教えていただきましょう。」
ローランは自分のようにこの地の魅力に取りつかれる人々が現れるだろうと笑みを深めた。
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その頃クロードは・・・
「たしかに立派だけど、普通だ。」




