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シェルフィート王族との再開とリリアーヌ

 あれから私は訳の分からないまま、クロードから逃げることもできず強制連行され、シェルフィートの王宮へと連れてこられた。

 転移魔法で逃げようとしたのにがっちり腕を捕まれていた。

 ちなみにエレンたちも一緒に王宮に来た。

 なんでも私の連れという扱いだそうで、今回のことで正式に謝罪をされるそう。

 私はというとクロードにみっちりとお説教を受けた。

 二時間も正座したままで。


「自分がなにをしたのかわかっているんですか?」


「は、はい。」


「勝手にいなくなったのもそうですが、今回一人で突っ走って。もし本当にエルフが罪を犯して連行されていたらどうなさるおつもりですか!」 


「で、でもそんなこと」


「でもではありません!あなたは王だ。状況だけで判断するなど言語道断。例え相手が親しくとも常に偏りなく公正に判断しなくてはならない!」


「うっ。確かにその通りです。私が間違ってました・・・。」


 クロードのいう通りだ。私は王なのだから私の行動は国にも周りにも大きく影響する。

 あの時はエルフたちを助けなきゃと思っていたけど、それじゃあ駄目なんだ。

 ちゃんと調べて証拠を集めて・・・王だからこそ人以上に自分の行動に責任を持って軽はずみな行動を控えるべきだった。


 こうしていつもよりかなり長いお説教が続いた。


 それにしてもいつもより機嫌が悪いしお説教も長いなーと思っていたけど、後から聞けばなんでもクロードとセルジュは私がいない間ノワールから戦闘の特訓を受けたらしい。

「何度も死ぬかと思った」と言うクロードの顔がとてもやつれて見えた。

 それであんなに機嫌が悪かったのか。

 というか、それ完全な八つ当たりじゃんか!

 ・・・とは思ったものの口にだしたりはしません。

 私もそこまで馬鹿じゃないからね。

 これ以上お説教が長引くのは嫌なのだ。

 既に一回余計なことを言ってお説教が長引いてしまったからね、ハハハ。

 それに今回は本当に私が悪かったと私もかなり反省している。


「それにしてもなんでクロードがこっちに?」


 ノワールの特訓から逃げてきただけというわけではない、と思いたい。


「もちろん陛下を連れ戻すために決まっている。」


「よくシェルフィートにいると分かったね。」


「ああ、転移魔法は一度行ったことのあるところしか行けないと聞いていたからな。」


 なるほど、よく知ってたね。

 ちっ、誰だ教えたのは、って私か。


「一人で来たの?」


 私が尋ねるとクロードは「まさか」と答える。


「朱凰に送ってもらったんだ。今頃リリアーヌ殿下に餌付けされていると思う。」


「そ、そうなんだ。」


 まあ、リリアーヌなら少なくとも他の人よりはドラゴンにも慣れているだろうし、翡翠の背中にも乗ったからね。

 でもドラゴンを餌付けって・・・。


「そんなことよりも。陛下、シェルフィート国王がお呼びだそうだから準備を。」


「げっ。王宮に来たからそれもしょうがないけど、この旅ってお忍びだったはずなんだけどなあ。」


 私が「はぁ」とため息をつくとクロードが呆れたような顔を向ける。


「だいたい仮にも一国の女王がお忍びで他国を一人旅っていうのもおかしいだろうに。」


「いや、だってさ。臣下の勧誘も女王の仕事かなって。」


「じゃあ、観光したいという気持ちはこれっぽっちもなかったと?」


「・・・。」


 クロードの言葉に思わず目をそらす。

 たしかにそういう気持ちがほんの少しはあったりなかったりしなかったり?

 目が泳いでいる私を見てまたクロードはため息をつくと、私に早く準備をするように言って出ていってしまった。

 うー!私だってちゃんと仕事はしましたよ!

 遊んでいたわけじゃないのにー!

 もう出ていってしまったクロードに心の中で必死に抗議しながら準備をするのだった。







 シェルフィートの王宮の侍女(身の回りのお世話をしてくれるメイドは侍女というらしい)に着替えや化粧などをしてもらい国王に謁見した。

 とはいっても謁見の間ではない広い執務室みたいなところだけど。

 なのになぜか王族の皆さん全員集合。

 庶民派女王の私はキラキラの王族にびびっちゃったけど、クロードが私の臣下として後ろについていてくれるからちょっと安心。

 ・・・あれ?どっちかというとクロードってキラキラ組なんじゃない?


「ポラリス女王。久しぶりだな。といってもあれからそんなにたっていないが。」


 私がどうでもいいことを考えているとシェフィールド国王が私に話しかけてきた。

 いかんいかん。ぼーっとしてた。


「はい。お久しぶりですね、シェルフィート国王陛下。今回は女王としてではなくただの観光客として訪れていたのですがいろいろありまして。騒ぎを起こしご迷惑をおかけしたことお詫び申し上げます。」


 私がそういうと国王は「とんでもない」というふうに首をふる。


「いや、こちらのほうこそすまなかった。我が国の貴族が迷惑をかけたようで。女王の知り合いにちょっかいをかけただけでなく、女王自身にも無礼をはたらいたとか。こちらでしっかり重い罰を与えることを約束しよう。」


 うーん、暗に貴族は引き渡さないと言っているのか。

 まあ、いらないからいいけど。


「はい。よろしくお願いします。」


 私はにっこりと国王に笑いかけた。





  □□□□□□□□□□□□




「ふー、なんとかなったか。」


 私は少し世間話をしてポラリス女王が部屋から出ていったのを見て安堵した。

 リリアーヌも嬉しそうに女王についていってしまったが。

 仲がよさそうでよかった。


 あの貴族の子息が女王に喧嘩をうったという報告を聞いて生きた心地がしなかったものだ。

 慌てて息子のエドウィンに対応に行かせたが何事もなくて本当に良かったと思う。

 もし同盟を解消すると言われたら今度こそレザラム帝国に・・・

 そう考えて恐ろしくなった。


「父上。今回の件にはたしかに頭を悩まされましたが、邪魔な公爵家の力を削ぐいい機会にもなりました。女王陛下も寛大な方のようですし、いい方向に考えてもよろしいのではないかと思います。」


 第一王子で王太子でもあるセドリックがそう話す。


「うむ。たしかにな。そう考えれば悪くもなかったと言えるか。エドウィン、この件を丸く収めてくれて助かった。ご苦労だったな。」


「いえ。兄上もおっしゃいましたが、女王陛下はとても寛大な方だと思いますよ。最初はお怒りだったようですが、こちらが対応にでるとすぐに引いてくださいましたから。」


 エドウィンの言葉に少し考える。


「お前はポラリス女王のことをどう思う?」


「え?ですから寛大な方だと」


「いや、そうではなく、女性としてということだ。」


「え!?」


 いつも冷静な息子の顔を赤くして慌てている様子に一瞬驚いたものの、その気持ちを察して思わず微笑んでしまう。


「どうした?エドウィン。顔が赤くなっているぞ。憧れの女王陛下のことでも考えていたのか?あのとき助けてもらってからというもの落ち着きがないもんな。やれやれ、男が女性に助けられて恋に落ちるなどどこの乙女だお前は。」


「わ、私はそのようなことは!それにそれをいうなら兄上も助けていただいたではないですか!」


 セドリックがおかしそうにエドウィンをからかって妻も微笑ましそうにそれを見ている。

 私はエドウィンの気持ち次第でポラリス女王に婚約を申し込むのもいいかもしれないと思っていたが、どうやらエドウィンもまんざらでもないようだし、両国にとってもいい婚約になるだろう。

 もう少しあちらが落ち着いてから婚約を申しでてみてもいいかもしれんな。

 まあ、あちら次第ではあるが。

 私は息子の微笑ましい様子を見ながらそう考えるのだった。




  □□□□□□□□□□□□




「女王陛下!またお会いできて嬉しいです!今度はどのくらいこちらにいらっしゃるのですか?」


「おい!花梨!なんで俺を置いていった!旅にでるなら俺も連れていけ!」


「あー、はいはい。」


 私はシェルフィート国王との話を終えてからというもの、リリアーヌと朱凰が次々と話しかけてきて私は少しうんざりしていた。

 クロードは我関せずといった感じだし、私を助けてくれる人は誰もいないのか。


 二人の会話を流しながら部屋につくと、そこには心のオワシスが


「あ!お帰りなさい花梨!じゃなくて、ポラリス女王陛下。」


 私を見たエレンが嬉しそうに私を出迎えてくれた。


「エレン!もう大丈夫なの?」


「うん、じゃなくてはい。あのときは女王陛下が助けにきてくれて安心してしまって。気を失ってしまってごめんなさい。」


 エレンは申し訳なさそうに私に頭を下げた。


「ううん。全然いいの!エレンが無事で良かった。それに女王陛下なんて言わないで名前で呼んで。今まで通りに接して欲しい。私たちは友達なんだからさ。」


 私が笑顔でエレンの手を握りながらそういうとエレンは一瞬驚いたように目を見開いたけど、すぐに嬉しそうに微笑んだ。


「ありがとう。そうだよね、花梨が誰であっても私にとって大切な友達だもんね。花梨が女王陛下だと知って少し不安だったんだ。もう友達としてはいられないかもと思っちゃって。でも私が間違ってた。花梨、改めて助けてくれてありがとう。」


「うん!友達として当たり前のことをしただけだよ。」


 私とエレンが二人で笑いあっていると、横からリリアーヌが身を乗り出してきた。


「はじめましてエレンさん!私、シェルフィート王国第一王女、リリアーヌと申します。ポラリス女王陛下のお友達です!」


「「え?」」


 私とエレンはポカンとしてリリアーヌを見る。

 あれ?私エレンに初めての友達とか言っちゃったけど、そういえばリリアーヌとも友達になったんだっけ?

 やべ!リリアーヌのことすっかり忘れてた!


「あの、女王陛下、もしかして」


 私の「やばい!」というような顔を見て察したのかリリアーヌが「まさか」と呟いた。


「あー、あはは。そういえばリリアーヌとも友達になったんだったなー。そ、そのー、すみませんでした!」


 私は正直にリリアーヌに頭を下げて謝った。

 うん、我ながら綺麗なお辞儀だと思う!


「ひどいです!私は女王陛下のことをお友達だと思ってまた会いに来てくださるのを楽しみにしていたのに!私のことを友達だと思っていらっしゃらなかったのですか!?」


 リリアーヌが泣きそうな顔で私に詰め寄る。


「ご、ごめん!あ、そうだ!リリアーヌも私のことを女王陛下じゃなくて花梨って呼んで。ね?」


「そんなことでは騙されません!」


「じゃ、じゃあ、今度またお出かけしよう!買い物とかさ。あ、それにエレンもきっとリリアーヌの友達になってくれるよ!ね?」


「え?ええ。わ、私でよろしければ。」


 私がエレンにふるとエレンはいきなりふられて慌てて答える。

 巻き込んでごめんよ、エレン。

 でもエレンも友達が増えるからいいよね!

 多分!


「本当ですか!?私にもう一人の友達が!嬉しいです!では、花梨様もお出かけしてくださるとおっしゃいましたから、三人でお出かけしましょう!凄く楽しみです!」


 機嫌をすっかり直してテンションマックスになったリリアーヌは、るんるんスキップをして「お二人とも約束ですよ!」と念を押してから自分の部屋に戻っていった。

 早速準備をして、スケジュールまで組み立てるらしい。

 私とエレンはリリアーヌの勢いに押されてしばらく呆然としていたが、嵐のようなリリアーヌが去ってから私たちは笑い合った。

 凄く嬉しそうなリリアーヌの様子がとても微笑ましかったのだ。

 私は三人のお出かけを考えて大変そうだと思いながらも、楽しみにもしているのだった。

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