4わ!好きな女子と仲良くなるには?
終わったことをいつまでも友達に絡まれるからほんとうざい。
こう見えてもけっこう傷ついたし悩んだんだって。
でも、、なにもしなかったより良かったと思っているよ。
放課後、
階段脇廊下で他のクラス数名の男子が何やら談笑中。恐らくろくな内容ではないってことは察した。陸上部の渡辺もいた。僕は渡辺とは電車帰宅方面一緒友達だ。
でも今日は帰るわ、ほんと。定期考査前だから大急ぎで帰る。
「おっ!挽田じゃん!」
なんだよ、今日はいいよ、、、。
「、、お、よう。」
僕は今気づいた風に渡辺に挨拶した。
すると渡辺が僕の方に駆け寄って僕の右肩をだき、もう一人が左肩をホールドしてきた。男子生徒二人に抱え込まれ、そのまま廊下脇の階段ホールの壁際までつれていかれた。3人でなぜか壁に向かって体を屈め、なんだよ、秘密の相談か?
渡辺が嬉しそうに僕の耳元に顔を近づけて中途半端に声を殺して言ってきた。
「あのさ、学年女子のバストコンテスト絶賛実施中だったんだけどさ、ほんのさっき結果出て斉木優菜1位だったぞぉ。おめでとう!挽田ぁ!」
「はぁぁっ?!」
うわ、やめろっての、ほんとうにくだらねぇな!
やっぱろくでもなかったわぁ、こいつら!
定期考査目前だってのに阿呆だな!マジで勘弁して欲しい!
関係ある?その報告!要らねーわ。
3位まで聞いたけど忘れた!とにかく1位が斉木さんだって事だったんだけど、僕はそんな事をいちいちあんな形で報告されることに腹が立ったのと、それにしても、「バストコンテスト」だなんて、別に女子には内緒でやってる事だっていうのに、他にもっとダイレクトな言葉があるってのに、ちょっと遠慮がちにその辺使うっていうのが「うちの学校の生徒ってまだ品がいいよな」、と思ってしまった。
が、
「前山はただのデブだから除外な。」
って言って仕切ってたやつがいたのでやっぱ駄目だなって思った。
斉木さんと仲良くなったきっかけは、クラスのラインのタイムラインに斉木さんのやつが上がって、内容が彼女の好きなユーチューバーだったのを見たことだった。
僕は好きで動画チェックしているユーチューバーがいくつかいるんだけど、「あ、この人もユーチューバー好きなのかなぁ?」と趣味合うんじゃないかなくらいに思って斉木さんに声をかけたんだ。
「あ、斉木さん、ライン交換してーーー。」
「え、いいよーー。」
って感じ。ほんとに気軽な感じ。
斉木さんは2年のクラス替えで初めて存在の確認できた女子生徒だ。
これは学年の全員がそうなのだが、入学時は小学校から友達とか知ってるとか一人もいない状態なので、とにかく一年生の時は人間関係作りに奔走した。友達とか、知り合いとか早く作らなければって感じで気ぜわしかった。公立中学へ進学した浩介は地元の友達がそのまま持ち上がるのでその点は少し気楽かもしれない。
ちょっと、クラス以外の女子を見ている余裕なんて全くなかったんだよね。
で、斉木さんって、どっちかっていうとおとなしい感じの人なんじゃないかなぁ、って思ってたんだ。
ところが、ラインで会話していて思ったけど、なんか、ぶっ飛んでた。
ラインの内容が、、、。ぶっ飛んでたんだ。
詳しくは秘密だけど、普通じゃないんだなぁって思った。
ラインとか弁慶な人っているけど、そういう感じかな。
それと、学校で会ったときはぽわーとしてて、
「ギャップ、すごな!」と思った。
斉木さんの学校での見た感じっていうのは、色白で、背中まである髪を校則通り二つに分けてしばっていて、うーーん、ぽーーーとしてる。
学校帰りは同じ方向だったからライン交換してからはよく一緒に帰ったんだ。
約束とかしてたんじゃないけど、斉木さん、いつも一人で帰ることが多いみたいで、僕が後ろから声をかけてい同じ方向だからそのまま一緒に帰るの。
斉木さんって声が赤ちゃんみたいで可愛いんだよね。
それと、僕が後ろから声をかけるきって
「ねぇねぇ、斉木さん!」
って言って肩をポンって軽くたたくんだけど、
そうすると必ず、
「ひ、ひゃぁぁあ!」
ってすごく驚くんだよ。
斉木さんと仲良くなり始めのころなんて、毎日浩介に些細なことでもなんでも報告してたよな。自分でも楽しかったんだと思う。僕が、好きな女の子がクラスにできたって報告したときも、「おぉ、よかったな!」って聞いてくれて、毎日のように斉木さんとの嬉しい出来事を報告したときも、「、、、なんかさ、二次元的な人だね」って感想をくれた。きっとなにか、斉木さんを褒めてくれていたんだと思う。
僕が斉木さんと仲良くなってきたころ、清水さんが何となく気付いて僕に近づいてきて、放課後二人でこっそり恋バナで盛り上がった。
「挽田の好きな人ってさ、優菜でしょ?」
「え?そうだよ。」
「やっぱり。」
「清水さんは?」
「誰だと思う?」
「え?上野。」
「、、、、、。」(///はにかむ清水さん)
「わかるでしょ、そりゃ。」
「えーーーー。ほんと?」
って、
もう結構クラスではバレてるらしい、好きな人の名前を言い合ってぼんやりする会を時々開催していた。僕たちはきっとさ、二人ともお互いに好きな相手と両想いっぽいよね、って確認して喜んでいたんだ。
清水さんからのアドバイスは、斉木さんはどうも体が丈夫ではないらしく、よく体育を途中で抜けたりするので気を遣うあげてほしいということだった。早速のアドバイスだったので、僕は斉木さんと一緒に帰ることになるときは、「持つよ!」と言って斉木さんの重そうなかばんを持ってあげた。斉木さんはいつも恥ずかしそうで、ちょっと嬉しそうにも見えたんだ。
斉木さんともっと仲良くなりたいと思った僕は、学校外で会うことを画策していた。
もう二度とこのメンバーでは遊ばないかもしれないと思うグループを即席で結成した。市内の水族館へ行こうっていう企画を立てて、魚類とか水の生物好きの男子3名揃えた。僕は水の生き物とか古代生物が好きなのだが、斉木さんはペンギンとか水辺の生物が好きだということだった。水族館とか、いいよね、って一緒に帰るときに話していたのでうまくやればきっとくるはずだ。
「俺たち、非リアじゃん、だからさ、女子誘おうぜ。」
メンバーにはこのように言っておいた。みんな、いいよっていうのに一人佐々木だけが、女子を誘おうってことになったら学校外で人に会うのは嫌だとか、着ていく服がないとかうるさい。じゃあ、制服で来いよ!別に僕だって特別におしゃれしていくわけじゃないしさ、体操着でもなんでも着て来いよ、考えすぎなんだよ。
斉木さんをダイレクトに誘うのではきっとおとなしい彼女は来ない。1年の時同じクラスでよく男子3,4人、女子3,4人くらいで図書館や映画なんかに行って遊んでた時、女子をまとめてくれた小野さんがこのクラスにはいる。当然、小野さんはもう押さえてある。小野さんにも僕が斉木さん誘いたいって伝えてある。根回しは完了している。
すべてを順調に整え、いよいよ斉木さんを誘う日が来た。休み時間、今、水族館行こう会のメンバーと一緒に小野さんと他女子は誰誘うかっていう話しをはじめた。一人は小野さんと仲の良い田中さん、もう一人は清水さんが来るって言ってる。清水さんと田中さんの仲の良い男子が今回ピックアップした水の生物好きメンバーに入っているのでちょうどよかった。
そして僕の希望を伝える、
「あ、僕最近、斉木さん仲いいから斉木さん誘いたいわー。」
強引だ。強引な流れだけど、あと一人は斉木さんを希望している事を伝えて話を持っていく。そのタイミングで小野さんがうなずいて
「あ、そうだよね、最近仲いいし、さそうかぁ。ちょっと待ってって、聞いてくるね!」
早速小野さんが、休み時間机に座って一人でぼーっとしている斉木さんにかけよって話しかけた。
水族館行こうメンバー全員、小野さんが斉木さんを誘うところを見守っている。
小野さんが斉木さんに話を持ち掛けた。斉木さんはうなずきながら小野さんの話を聞いている。
斉木さん、大きなわっかを両手で作ってこっちを見ている。
「水族館行こうぜ企画、斉木さん!絶対に誘うんだ、プロジェクト★」成功だ!