side青年
短いです。
今日はかなりの遠出で気候の変化についていけてない。大陸の端から端への出張は体調を崩しやすい。
うっとうしげに金色の長い前髪をかきあげた。うねる金髪は色香を醸し出している。横を通る年頃の女性は必ずうっとりとした表情で青年を振り返る。
その青年がちょうど街から外れ1人木々の間をぬって歩いていた時。
―――見間違いかと思った。
自分の心すら疑っていた彼は自分の妄想が現実に写ったかと思ったが、それは違った。
理解するよりも速く足は動いていた。
間違いない。
木々の間から見え隠れする透明な水色の髪。
知っています、あの場所には貴方が必要なんだと。
知っています、貴方は僕のことを知らないと。
けれども溢れ出す感情は貴方に受け取ってそもらわなければ意味を成さない。
白く冷たい手を取ると驚いたように貴方は澄んだ青い瞳で僕を見下ろす。
さすがクラゲ族。
空に漂う妖精のようだった。
頭のどこかで音が鳴る。
カチンと
何かのスイッチかはたまたパズルのようにあるべき姿に戻った音なのか。
今の自分には分からない。
ただ、あそこにはあなたが必要なのだと、それだけしか、僕は分からない。