第7話:雁原優華
昨日、学年最下位の成績を申告されてからは、さすがに順もその話題には触れなかった。
逆に辛ぇっつ〜の。
もし自分からそんな方向に話題を持って行くと虚しくなるだけだからしなかった。
来週の学年序列決定トーナメントとか言うのもどうでもよくなってきた。
こんなにブルーになったのは初めてだ……。
ちゃっかり家で練習してみたけど、部屋が散らかっただけで何の進歩もなかった。
剣技とかなら自信はあるんだけど、霊力でガードされたらこっちにダメージがはねかえってくるらしい。
マジでブルーだ………。
「今日、拓也が奈々原と一緒に飯食うらしいぜ。」
今、そんな事言われてもよけいにテンション下がるだろうが。
「でさ、奈々原といつも一緒にいる女の子がめちゃくちゃ可愛いのよぉ。奈々原より可愛いかな??」
「……………。」
あえてノーコメント。
「俺達も一緒に行かね??」
「是非行きましょう。」
テンション急上昇。
待ちに待った昼休み。
拓也に付いて行くともうすでに朋美達は来ていた。
「拓也〜!!」
と手を振る朋美の所へ拓也は足を進める。
「あっ!!漣くんじゃん!?」
と朋美の隣にいた女の子が声を上げる。
「ほんとだ。漣くん〜!!」
可愛い女の子に手を振られるのは幸せだなぁ。
「初めまして。雁原優華です。よろしくね♪♪」
………可愛い………なんつって。
「漣亮です。よろしく。」
「亮、順知らね??」
「順??」
ってか自己紹介し終わったばっかなのに邪魔すんなよ。
「安永ならさっきあそこで曲がったよ。それより早く食べよ。」
「そうだな。」
拓也と朋美は俺と優華の事なんかおかまいなく歩いて行く。
「今日もラブラブですねぇ。」
「いつもあんなんなのか??」
「うん。……私達も一緒に食べる??」
「あぁ。」
「えぇ!!じゃぁ漣くんて学校初めてな人なの!?」
なんかマズイ方向に話が進みそうだ。
「じゃぁ霊力テスト21点もしかたないね。」
やっぱりかよ。
「ってか何で知ってるんだよ??」
「漣くんは女子練じゃ結構有名なのです。」
「そりぁ光栄だなぁ。で、優華ちゃんはどうだったんだよ??」
一応『ちゃん』付け。
突っ込み禁止。
「私??私、雁原優華ちゃんはなんと77点だったのです!!」
「マジ??すげ〜じゃん。」
「わかんない事あったら教えてあげるよ。」
今日の会話はこんな感じだった。
可愛い女の子とも知り合いになれたし今日はいい日だった。