第38話:黒征学園
それから2ヶ月で俺達はラオックスを全域制圧した。
4回の内2回だけ護衛隊は実際に戦った。
その2回で拓也と順は圧倒的なコンビプレーを見せた。
この2人は違う部隊に入れた方がいいかもしれない。
そうすればかなりのスピードで出世するだろう。
すぐに俺に追い付いてくるはずだ。
………なんか不満。
あの2人が抜けたらだいぶダメージがでかいから手放すつもりはないけど一応言ってみるか。
「俺は今に不満がないから別にいい。」
「俺も。不満出てきたら言うさ。」
らしい。
よかった、よかった。
正直、『元チーム』に対応できるだけの力を持った『チーム』として独立するつもりだ。
あるいはイギリス軍のトップに立つか……。
まぁそれじゃぁ時間がかかりすぎる……。
それから1ヶ月後に俺達はトールユーザに遠征する事になった。
目的は人材の採掘。
トールユーザを中心としたガンデ―ンズ大陸はこの間イギリスの傘下に入ったばっかで優秀な人材がいるかもしれないらしい。
人材採掘と言っても結構難しい作業だから俺はてっとり早く学校を作る事にした。
優秀な成績で卒業すればキャリアとしてイギリス軍本隊に直接配属されると言う名目の元にかなりの人数が集まった。
学校の名前は黒征学園。
もちろん『黒き征裁』からとった。
黒征学園は拓也に任せて俺は優華と2人で学校に来れなくて埋もれている人材を採掘しているところだ。
なぜ優華と2人かと言うと、……まぁ学園の講師に人数を割かないといけなかったし、人の方が行動力が上がるからだ……と言う事にしといてほしい。
まぁ他にも理由が無かった訳じゃないけど………。
とにかく2人だったので、2ヶ月でガーデンズの半分を調べ終わった。
何人かを黒征学園に行かせる事にも成功した。
「疲れたぁ〜。もうだめ。亮が私を奴隷同然に使うからへとへと。」
ちなみに今は休む為にホテルの一室にいる。
「人聞きの悪い事言うな。今日は大して何もしてないだろ。」
「………前から思ってたんだけどさ。」
「何だよ??」
「このごろ亮、冷たくない??」
「……別に変わってないだろ??」
「そんな事ない!!絶対冷たくなった。冷たいってか冷酷って感じ。」
まぁ『黒き征裁』だった頃は自分でも俺って冷酷だなって思ったけどな。
「そんな事ね〜よ。普通だ。」
「………ま、いいけど。それより今日は一緒の部屋なの??」
「………空き部屋が無かったんだぜ??勘違いしないこと。」
「そんな事言っちゃってさ〜。」
「じゃぁするか??」
「何を??」
「今、優華が考えてた事。」
「………まだ彼女いないって証明されてないからヤだ。」
真剣な顔して答えやがった。
「………。まだかよ。」
「早くしたいんだったら証明しなさい〜。」
「どうやって証明すればいいんだよ??」
「自分で考えてないと意味ないの。」
………なんか疲れるな……。
実際、証明できてないから俺と優華の間にはまだ何もない………はず。
そんな呑気な事考えてたら電話が鳴った。
「はい??漣です。」
優華が勝手に出やがった。
……いろいろややこしくなるからやめろよ。
「亮。上坂。」
拓也かよ。
「もしもし??何だよ??」
「亮か!?ちょっとマズい事になった。今すぐ帰って来てくれ。」
……って事で今すぐ帰らなきゃならねぇ。
優華と2人でイチャラブな夜を過ごす事はできなくなった。
………残念だ………なんつって。