第27話:現状把握
古代3国同盟って言うのは、イギリス、フランス、スペインの同盟の事だ。
かなり昔から繁栄してるらしい。
まさか同盟しているとは思わなかった。
3国共、ディルファリアに敵対していたはずだ。
その船がオランド海……つまりディルファリア領海に入ってくるって事はディルファリアが負けた事になる。
負けたと仮定すると、何故負けそうだと言う情報が入って来なかったことは、ディルファリアが情報操作をしていた……で納得できるが、何故、今、サンペルシカ島に現れたのかが説明つかない。
船が岸に着くと軍服姿の男が4人降りて来た。
イギリス語、フランス語、スペイン語でそれぞれ話だす。
「は??何言ってるんだよ??」
「順くん!!!ダメですぅ!!!」
いつのまに順くんって読んでるんだよ??
………じゃなくて……。
「何語だよ??」
と言う拓也の腕を朋美が掴む。
「何も言っちゃダメだからね。」
俺が何か言う前に優華が俺の腕にしがみつきながら言う。
その間にも3人で順番ずつにそれぞれの言葉で喋り続けている。
すると、後ろに立っていた男が3ヵ国語で喋り出す。
男が喋り終えると3人はいきなり俺達を掴んだ。
「ちょ!!何するんだよ!!」
「離せって!!!」
「静かにしとけ!!!順!!!絶対攻撃するな!!!」
俺の叫び声に拓也や順どころかその場にいる全員の動きが止まった。
「いいから……今は従え。」
優華が俺の腕を掴みながらこっちを見ている。
今は何も説明してる暇じゃない。
船の上に上がると他の西院の生徒もたくさんいた。
そして、その全員が檻みたいな立方体の所に入れられている。
「えっ??どういう……」
優華の口を俺は塞ぐ。
それからイギリス、フランス、スペイン語で言った。
「まず、俺以外の5人をあそこに入れろ。」
3人の男は後ろの男を見てから俺の言った通りにした。
「優華……大丈夫だから今は従え。」
優華が何か言おうとした様なので先に言った。
優華は口を開いたが何とか黙って従った。
さっき3ヵ国語で喋っていたのは、
「ディルファリアが負けた。ディルファリア国民は直にディルファリア本土に戻れ。」
と言う内容だった。
きっと西院の生徒や本土にいないディルファリア人を本土に返すために派遣されたんだろう。
「で、今から俺達を本土に帰すんだろうな??」
「そうだ。」
「全員の安全は保証できるんだな??」
「この船に不備はない。」
「そんな事聞いてるんじゃない。」
「………保証しよう。」
こんな感じの会話が続いた。
結局は俺も檻の中に入った。
その中で全員に今の状況を説明し、命の危険はないと落ち着かせた。
命に危険がないとわかって皆安心したのかどんどん眠っていった。
拓也と朋美は寄り添って寝ている。
順と綾は反対を向いてはいるもののたぶん手を繋いでいるだろう。
………いつの間にそんな関係になったんだよ………。
「亮……??」
と優華が話かけてくる。
「まだ起きてたのか??疲れてるだろ??」
「亮もじゃない。ずっと起きてるつもりでしょ。」
「…………。」
さすがにこの状況で全員寝るのはマズい。
「サンペルシカ島でだってあんまり寝てなかったでしょ??」
何で知ってるんだろうな??
きちんとカモフラージュしてたはずだけど。
「霊獣いるの知ってたからだよね……。」
「…………。」
「亮はいっつもそうだよね……。何でかは知らないけど何でも1人で解決しようとする。」
優華の俺の腕を掴む力が強くなる。
「少しぐらい頼ってよ。………私じゃ役に立たないかもしれないけど。」
「そんな事ね〜よ。俺より強ぇじゃんか。」
「亮の方が強いよ………。」
こんな優華を見るのは初めてだ。
今にも泣きそうな顔をしている。
「役に立たないかもしれないけど、癒すぐらいだったら私にもできるでしょ??」
「…………。」
「私の前じゃ無理しないで。」
「……優華………。」
「そうだぜ。無理しすぎだ。」
「俺らの事も少しは頼れよ。」
「癒すのは優華しかできないかもしれないけど、他の仕事は私でもできるんじゃない??」
「私だって、漣くんの役に立てますぅ。」
「拓也…順…朋美ちゃん…綾ちゃん…。」
「1人で荷物しょいすぎなんだよ。」
「サンペルシカ島でゆっくり寝かしてもらった分、今度はお前が寝ろよ。」
「優華もですぅ。」
「漣くんを気遣ってあんまし寝てないでしょ。」
ったく………狸寝入りか??
「優華……癒してくれるんだろ??」
優華が笑顔をこっちに向ける。
「うんっ♪♪」
「じゃぁ寝るぞ。」
他の事は4人に任すとでもしよう。
俺と優華は寄り添って眠りについた。
優華の香りと暖かさを感じながら……。
こりゃぁ、かなり癒されるな……。