第25話:修学旅行3
昨日、優華と綾は1時間ぐらい話し合いで決めようと思ったらしく話していたのだけど、どうやら最終的にはジャンケンで決めたらしい。
どうなんだよ。
で、結局俺達は待機する事になった。
暇そうだから嫌だったんだけどな……。
「意外と暇だねぇ。」
自分で待機を勝ち取ったくせにこんなことまで言いやがった。
「我慢しろって。昨日歩き疲れたんだろ??」
「ぶ〜。」
だから可愛いって………なんつって。
それから1時間ぐらいたっていきなり草むらから気配がした。
「……ねぇ…。このジャングルって獣とかいるの??」
優華のこの言葉で思い出したんだけど、昔、知り合いからどっかの政府が霊力を持った獣……霊獣を作って実験としてある島に放したって話を聞いたことが……あったような、なかったような……。
「でも、ロードワーク中、獣どころかウサギとかもいなかったもんね。大丈夫大丈夫。」
優華は自分で自分を納得させたいらしい。
「ウサギもいなかったからこそ何かいるかもしれないな。」
その気配は動かないが、ずいぶん殺気を持ってる。
「優華……武器。」
優華は立掛けてあった自分の細身の剣と俺の刀をとる。
俺が刀を持つのを見計らっていたように獣は草むらを飛び出した。
「うっわ〜。優華ちゃんは少し怖いです。」
もうちょっと女の子らしい怖がり方してほしいです。
大きさはライオンを一回り大きくしたぐらい、体の格所に青い先が入っている。
「あいつ…霊力持ってるから気をつけろよ。」
「霊力持ってるの??」
「たぶんな……。」
そんな会話をしてる暇はなかったようだ。
いきなり飛びかかってきた。
一回の跳躍で一気に俺達のところまで飛んで来る。
「うわっ!!爪伸びた!!!」
まずは優華に遅いかかる。
「牙も長くなるはずだから注意しとけよ!!!」
さすがにこんな状況だからか、
「何で知ってるの??」
とは突っ込んで来ない。
後ろから攻撃しようとするとしっぽがムチの様に襲ってくる。
「後ろにも目が付いてんのかよ!?」
ってぐらい正確に足下を狙ってくる。
次の瞬間、優華が細長く針の様な霊力弾を発射した。
当たる面積が小さい分少量で威力も高い。
近距離だったので獣は避けようがなく、後ろに後退した。
「やっと俺の特訓の成果を読者諸君に見せれるぜ。」
「特訓??、補習じゃなかったっけ??」
…………。
優華とほのぼの喋ってると、獣が口から霊力弾を出した。
優華が前に出て霊力壁を作る。
「霊力戦は任せた!!」
俺はそう言って霊力を足に圧縮して地面を蹴った。
次の瞬間には、俺の攻撃範囲まで近付く。
フェイントを入れて刀を振り下ろす。
その瞬間に後ろに吹っ飛ばされた。
「痛って〜。霊力壁の事忘れてた。」
「もう1回補習受けなきゃね。」
優華は言いながら霊力の玉を作り出す。
「援護お願い!!!」
言われた次の瞬間には俺は獣の近くにいる。
次は霊力壁に吹っ飛ばされないように刀にも霊力を圧縮する。
ものに圧縮した霊力は本来の霊力とは全く違う性質になる。
そのため、霊力壁などの並大抵の霊力では全く太刀打ちできない(らしい)。
今回もその例外ではなかった。
さっきと同じ形で刀を振り下ろす。
獣は叫び声を上げて後退しる。
「亮!!!どいてっ!!!」
と言う声が後ろから聞こえたので俺はその場を離れる。
その直後に1メートルぐらいの大きさになった霊力の玉が獣に向かう。
首筋を傷付けられて、大量に血を流している獣はふらふらしながらも避けようとしている。
優華は少し霊力の軌道を変えた。
獣はそれと反対に逃げようとする。
そこに優華が小さな霊力弾を撃つ。
それを避けた獣は自分から霊力の玉に突っ込んだ。
それから獣は動かなかった。