第9章:森を越えて
夜明けの光が木々の梢を透かして差し込んできたとき、何かが私を突いた。
優しくではなかった。
足だ。私の脚を蹴っている。
「おい、ガキ。起きろ。もう十分時間を無駄にした」
目を開けた。フェイタンが立っていた。すでに準備万端だ。焚き火は消され、リュックを背負っている。
まるで眠っていなかったかのように。
「あと五分」私は呟いた。
「駄目だ」彼は私の腕を引っ張った。力任せではない。だが、しっかりと。「お前は十時間寝た。十分すぎる。起きろ」
立ち上がろうとした。
脚が震えた。
全身が痛い。あらゆる筋肉が抗議している。ヴォルカンに殴られた肋骨がズキズキと痛む。
「くそ」膝から崩れ落ちた。
フェイタンがため息をついた。大きく。大袈裟に。
「こうなると思ってたよ」彼は私のリュックを取った。いつやったんだ?そして自分のと一緒に肩に担いだ。「まあ、仕方ない。お前のカタツムリペースで行くか」
彼は手を差し出した。
その手を見た。それから彼を見た。
「ずっと背負って歩くわけじゃないぞ」彼は言った。少し優しい口調で。「だが、始めるのに助けが必要なら、構わない」
彼の手を取った。
彼は私を引き上げた。しっかりと。安定して。
そして目覚めてから初めて、倒れずに立っていられた。
**一日目、朝**
歩くことは拷問だった。
一歩ごとに脚に痛みの波が走る。深呼吸すると肋骨が痛む。
だが歩き続けた。
フェイタンが先を行く。そんなに速くはない。だが遅くもない。
時々振り返る。私がまだそこにいるか確認するために。
「大丈夫か?」二十分後に彼が尋ねた。
「ええ」
明らかな嘘だ。
彼は笑った。短く。乾いた笑いだ。
「お前、嘘が下手だな」
答えなかった。ただ歩き続けた。
根っこに躓いた。もう少しで転ぶところだった。
フェイタンの手が地面に叩きつけられる前に私を掴んだ。
「気をつけろ」彼は私のバランスを取るのを手伝った。「森はお前が怪我してるからって容赦しないぞ」
バランスが取れるとすぐに手を離した。
歩き続けた。
**正午**
小川の近くで止まった。
きれいな水。穏やかな流れ。落ち着く音。
フェイタンはリュックを地面に投げ、平らな石に身を投げ出した。
「休憩だ。十五分」
座った。ゆっくりと。慎重に。
どんな動きも身体との交渉だった。
両手で水をすくった。飲んだ。冷たい。美味しい。
フェイタンは何かを噛んでいる。また干し肉のようだ。
しばらく沈黙が続いた。
そして、なぜかわからないが、尋ねた。
「アクソランドってどんなところ?」
彼は噛むのを止めた。私を見た。
「なんで知りたい?」
「そこに住むことになる。何か知っておいた方がいい」
彼は考えた。そして肩をすくめた。
「キツミとは違う」もう少し噛んだ。「あそこには男だけとか女だけが統治できるなんてクソみたいな決まりはない。最初に生まれた者が継ぐ。それだけだ。くだらない政治も少ない」
「今は誰が統治してるの?」
「ハーヴェン王だ」その名前を言う時の言い方が違っていた。皮肉なしだ。ほとんど敬意を込めて。「まともな人間だ。外交的だ。誰とでも敵を作らずに話せる。珍しいことだ」
彼は水筒から水を飲んだ。
「俺がまだガキだった頃、王になる前に会った。市場で食べ物を盗んでるのを見たんだが、騎士を呼ぶ代わりに俺の隣に座って昼飯を分けてくれた」
フェイタンはしばらく空を見上げた。
「それから魔法騎士になった。階級を上げた。そして彼は一度もそのことを恩着せがましく言わなかった。一度もだ。良い男だ。良い友人でもある」
そこには何かがあった。単なる尊敬だけではない。感謝かもしれない。本物の忠誠心だ。
「彼は戦うの?」
「いや。あの人は剣に関しては最悪だ」フェイタンは笑った。「だが必要ない。キューセイがいるからな」
「キューセイ?」
「王国の最高位の九人の魔法騎士だ。軍の部隊を指揮する」声に誇りはなかった。ただの事実だ。「それぞれ異なる専門分野を持っている。俺は、まあ、厄介な脅威を処理する」
彼は私を見た。意味ありげに。
「隣国領土にいる悪魔とかな」
ああ。
「王家の他の人たちは?」
「カリオペ王妃」フェイタンは笑った。今度は本当の笑顔だ。「ハーヴェンとは正反対だ。陽気だ。カリスマがある。みんなを笑わせる。だが騙されるな、クソ強い。魔法も剣も。俺が見た中で最高の一人だ」
彼はもう少し肉を取った。
「それからメイベル王女がいる」
その名前を言う時の言い方。
まるで酸っぱいレモンを噛んだかのようだった。
「彼女の何が問題なの?」
「全部だ」彼は明らかに震えた。「あのガキは十一歳だ。十一だぞ。なのに大人の兵士を汗一つかかずに倒せる。バカみたいな力だ。怪物級だ」
彼は神に忍耐を乞うかのように空を見上げた。
「そして耐えられない。陽気すぎる。傲慢だ。決闘を挑んでくる。十一歳のガキが。俺に挑んでくるんだ。この俺に」
全てにもかかわらず、私の中で何かがほとんど笑いそうになった。
ほとんど。
「彼女があなたを怖がらせてる」
「当然怖いだろ!」彼は否定しなかった。「あいつがもっと小さかった頃、六、七歳くらいの時、死んだような目をしてた。威圧的だった。お前が寝てる間にどうやって刺すのが一番いいか計算してるみたいな」
彼は首を振った。
「良くなった。今はただうるさいだけだ。だがまだ背筋が凍る。そして最悪なのは?まだ自分の属性を完全にコントロールできてない。エンチャントもだ。習得したらどうなるか想像してみろ」
沈黙。
そして、もっと低い声で尋ねた。
「あなたは?あなたの家族は?」
彼の表情が固くなった。
「クソみたいな貴族の家族だ。話す価値もない」
最終的な口調。話題は終わりだ。
メッセージは理解した。
**午後**
歩き始めた。
フェイタンが話し始めた。家族についてではない。生存についてだ。
「あそこを見ろ」彼は赤い葉の植物を指した。「毒だ。触ったら一週間発疹が出る」
それから白いキノコを指した。
「これは食える。だが黒い斑点がある似たやつは数時間で死ぬ」
彼は続けた。木から木へ。植物から植物へ。
「あの木の傷跡が見えるか?爪痕だ。熊が通った。昨日かもしれない。新鮮な糞を見たら、走れ。わかったか?走るんだ」
「間に合わなかったら?」
「死ぬ」彼はとても平然と言った。「だが少なくとも早く死ねる。熊はサディストじゃない。ただ腹が減ってるだけだ」
なんて心強い。
「水の流れる音は小川を意味する。飲むにはいい。だが捕食者も来るってことだ。だから気をつけろ」
「鳥が静かなのは近くに捕食者がいるってことだ。鳥がうるさいのは安全だ」
「風向きが変わる?嵐が来る。避難場所を探せ」
授業だった。即興の。粗野な。だが授業だ。
そして私は一言一句に注意を払った。
なぜなら彼は正しかったから。
森は私を容赦しない。
**遭遇**
開けた場所を横切っている時に聞こえた。
唸り声。
低い。喉の奥から。
凍りついた。
フェイタンは違った。
ゆっくりと頭を向けただけだ。
「俺の後ろにいろ」
すぐに従った。
森の端から、何かが出てきた。
狼。いや。
狼より大きい。黒い毛皮。赤い目。長すぎる牙からよだれが垂れている。
「獣だ」フェイタンが呟いた。「小さい。おそらく子供だ」
子供?
あれは馬くらいの大きさだ。
その生き物がより大きく唸った。
そして襲いかかってきた。
速い。真っ直ぐに。
フェイタンは最後の瞬間まで動かなかった。
それから彼は単に避けた。
最小限の動き。最大の効率。
獣は彼の横を通り過ぎた。
そして彼は斬った。
一度。綺麗な動き。正確に。
その生き物の頭が胴体から離れた。
両方が落ちた。別々に。
血が噴き出した。
全てが三秒で起きた。
フェイタンは草で剣を拭いた。
「見たか?小さい。大人だったら面倒だった」
私は死体を見た。頭を見た。
彼がどれだけ簡単に殺したかを見た。
「あなたは強い」
「俺はキューセイだ。強くなかったら恥だ」彼は剣を鞘に収めた。「だが強さは純粋な力だけじゃない。いつ使うかを知ることだ」
死体まで歩いていった。特定の部分を切り始めた。
「獣の肉は良い。硬いが、栄養がある。持っていこう」
彼は布で切り身を包んだ。
それから私を見た。
「いつかお前もこれをする必要がある」
「殺すこと?」
「生き延びること」彼は訂正した。「殺すのはその一部に過ぎない」
**夜、野営地**
フェイタンは新しい焚き火を作った。前のより大きい。
「新鮮な肉がある。ちゃんと調理した方がいい」
彼は枝に切り身を刺した。火の上に置いた。
驚くほど良い匂いだった。
火の近くに座った。炎を見つめながら。
「フェイタン」
「ん?」
「魔法を教えて」
彼は止まった。私を見た。
「今?」
「ええ」
彼は考えた。そして肩をすくめた。
「わかった。だが基本だけだ。お前の正式な教師になるつもりはない」
彼は火の向こう側に座った。
「まず最初に。お前にやった石のテストは?ゴミだ。完全なゴミだ」
まばたきした。
「あれは基本属性しか検出しない。火、水、雷、土、風。基本的なもの。一般的なもの」
「他には?」
「属性は何十種類もある。何百かもしれない。氷。金属。影。光。血。骨。音。空間」彼は大きく身振りをした。「リストはほぼ無限だ。だが石は五つの基本属性しか拾わない」
彼は火の肉をかき混ぜた。
「だからお前は光らなかった。お前の属性は基本属性じゃない」
「変成」私は呟いた。
彼は眉を上げた。
「自分で気づいたのか?」
「迷宮で。石を別のものに変えた」
「へえ」彼は感心したようだった。「それは珍しい。そしてクソ便利だ」
彼は小枝を取って地面に描き始めた。
「さて。マナ。何か知ってるか?」
「魔法のエネルギー」
「まあそんなところだ。マナは全てを流れるエネルギーだ。空気。大地。水。お前。俺。あの死んだ獣。全てがマナを持っている」
彼は円を描いた。
「お前の中には核がある。そこにマナが蓄えられている。核が大きく発達しているほど、より多くのマナを持てる」
「どうやって発達させるの?」
「使用。訓練。時間」彼は円から線を追加した。「魔法を使う時、マナは核から流れ、体内の経路を通って、外に出る」
「エンチャントは?」
「ああ、そうだ。エンチャント」彼は小枝を投げ捨てた。「お前が意識的に構築する構造だ。ただマナを放出するだけじゃない。特定のパターンに織り込んで効果を生み出す」
彼は手を上げた。マナが輝き始めた。淡い緑色。
だが光だけではなかった。
形があった。層があった。複雑な網のように絡み合っている。
「見えるか?構造。目的。意図」
マナが消えた。
「エンチャントが複雑であればあるほど、維持するのが難しい。より多くのマナを消費する。だがより強力でもある」
彼は火の肉をひっくり返した。
「エンチャントには構築に数分かかるほど複雑なものもある。他は単純だ。速い。何をしたいかによる」
黙っていた。処理している。
「やってみてもいい?」
「何を?」
「マナを感じること。エンチャントをすること」
フェイタンは私を見た。それから空を見た。ため息をついた。
「わかった。だが痛くても文句を言うな。初めてはいつも痛い」
**最初の試み**
あぐらをかいて座った。昔のアニメで見たように。
目を閉じた。
その存在を探した。胸の中心に。
核を。
時間がかかった。迷宮の時より。
だが見つけた。
小さい。眠っている。だがそこにあった。
引っ張ろうとした。
ゆっくりと。慎重に。
その存在が動いた。
腕に流れた。
だが以前とは違った。
今回は形を与えようとした。
構造を。
フェイタンが見せたように。
パターンを織る。
マナが震えた。ためらいがちに。
もう一度試した。より強い意図で。
形。目的。構造。
マナが反応し始めた。
遅い。とても遅い。
だが反応していた。
そして何かが起きた。
マナが出た。
迷宮の時のような爆発ではない。
だが制御された流れ。
小さい。弱い。
だが制御されていた。
目を開けた。
私の手が光っていた。かすかに。ほとんど見えないほどだ。
だがそこにあった。
フェイタンを見た。
彼は見ていた。無表情だ。
そして彼は頷いた。
一度。
「悪くない。本当の初めてにしては」
彼からすれば、それは褒め言葉だった。
**三日後、国境**
三日が過ぎた。
歩行。生存の授業。魔法の試み。
私の体はまだ痛かった。だが以前よりは少ない。
五分ごとに躓かずに歩けるようになった。
そして三日目の午後、着いた。
国境に。
壁はなかった。門もなかった。
ただ石の標識。シンプルだ。刻まれた紋章がある。
翼を持つライオン。
「アクソランドだ」フェイタンが言った。「ようこそ」
標識を通り過ぎた。
そして全てが変わった。
劇的にではない。魔法のようにでもない。
だが違いがあった。
道が良かった。ただの踏み固められた土ではない。はめ込まれた石だ。平らになっている。
木々の間隔が広い。より整理されている。
そして見えた。
遠くに。
村が。
小さい。おそらく五十軒ほどの家。
だが本物の家だ。
崩れかけの小屋ではない。継ぎ接ぎの屋根ではない。
だがしっかりした構造だ。手入れされている。
花の庭。生存のための野菜だけではない。
通りで遊ぶ子供たち。笑っている。恐れずに。
穏やかに会話する人々。信者たちのあのガラスのような目つきではない。
懐疑派たちのあの恐怖でもない。
ただの人々だ。
生きている。
止まった。
村を見た。
それからフェイタンを見た。
「これがここでは普通なの?」
「何が?」
「人々。家。全て」
彼は村を見た。それから私に戻った。
そして理解した。
「ああ。これが普通だ」
喉が締め付けられた。
なぜならあれは。
あれはキツミのどんなものより百倍良かったから。
そしてそれはただの平民の村だった。
普通の。
通常の。
「セキレ」
彼を見た。
「まだ首都まで一日半ある。だがここは?」彼は村を示した。「これが標準だ。例外じゃない」
私の中で何かが震えた。
まだ希望ではない。
だが可能性だ。
もしかしたら。
ただもしかしたら。
私はここでやり直せるかもしれない。
本当に。




