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日本の近代史は侵略か?

作者: 鈴木美脳

 Q. 世界で最も優れた人は?


 私の父です。寡黙で決して自らを宣伝しませんが、その心の内にある正義感は鋼よりも硬く、どんなに大きな者を相手にしても恐怖を感じず、いつも必ず勝利を手にするまで揺るぎなく戦いつづけます。私と母の心身の健康と幸福をいつも深く気づかい、自分自身のことよりもずっと優先して、しかしたった一度も威張り散らしたことがありません。


 Q. この世界で最も好きな人は?


 母です。海よりも深い慈しみを私に注ぎ込んでくれました。苦しむものを見れば、どんな小さな動物や草木や虫であっても、憐れみの気持ちを忘れない、そんな深い愛情の温もりの中で私を育ててくれました。母は私に、本当の強さとは優しさであること、強い者は優しくなければいけないことを教えてくださいました。


 Q. そのような父母があなたにいるという根拠は?


 直観的にわかるのです。もしそのような父母がいなければ、このように明確に直観的にわかるはずがありません。


 Q. それは主観的な空想では?


 それでも構いません。人間は誰しも、生きるためには追いかける夢や模範を必要とするものであり、現実の中を生きているようでいてファンタジーの中を生きているのです。偉大な父母の恩義を背負って生きることは、私自身の性質としての、生き方の形です。


 Q. では一番好きな地域や国は?


 自分自身の生まれ育った郷土、そして祖国である日本が好きです。一億の民が暮らすこの島国の土地と人間、文化と言葉が好きです。

 かつて第二次世界大戦において、ヨーロッパで近代化した金融と兵器の支配と搾取のシステムが、東側からは米国として日本に到達し、西側からは英国や共産主義として日本に到達しました。私の祖国である日本は、非西洋でありながら近代兵器を国産して総力戦を戦うという奇跡を唯一実現し、結果的に敗れはしましたが大東亜共栄圏実現のため、アジア人のためのアジアを実現するため、団結し勇敢に力を尽くし一丸となって死闘を繰り広げました。それは、私が誇る、祖国の歴史です。


 Q. 今の日本がそんなにいい国かな?


 第二次世界大戦においては核兵器が出現し、それは実際に広島と長崎に実用され、戦後日本は相互確証破壊の階層構造に組み込まれ、米英勢力の末端として搾取されながら思想教育の主権もまた奪われました。

 庶民を搾取するなら、それはもはや政治ではありません。女達の涙を見て立ち上がらないなら、それは男ではありません。死を恐れて戦わないなら、日本人ではありません。その意味では、日本はすでに滅んだのです。

 日本人の肉体があっても日本人の精神がなければそれは日本の死だから、当時の日本人は戦後教育から見れば不毛でしかない戦争を戦ったのです。それが、戦争目的は国体護持だということなのです。

 国籍だけ日本人であっても日本人ではありません。パレスチナなどの不条理を見て憤らないなら、人間の皮をかぶっていても人間ではありません。

 民主主義や個人主義や資本主義として美化されて語られる近代とは、すべての人間を人間ではなくすシステム、構造化、我欲礼賛による家畜化なのです。

 したがって、最も勇敢に戦って、それゆえ精神の支柱から奪われ最も虐げられている祖国の現状を切り取って、嘲笑されたくはありません。

 確かに、現代の日本はブラック企業の違法行為つまり不正義を国と警察が守るなど、倫理的に理想的な状態ではまったくありません。

 私の祖国は滅びました。私の両親は死にました。しかしそれらは、私の内側では永遠です。私の生き方を意味づける物語として、私という人間の一部でありつづけるからです。祖先が戦って残してくれたものが、そこにあるのです。


 Q. でも日本の近代史は侵略、現代史は没落でしょ?


 あなたがそう思うなら、それはあなたの考えであり、そしてそれはグローバリズムに加担するものです。

 すでに述べたように、日本の近代史は欧米を中心とした搾取構造への正当な反旗であり、自律した東亜ブロック形成のため、日本以外の東アジア諸国に産業技術能力が皆無だった当時においては、植民地化され代理戦争に飲み込まれていた周辺諸国に進出したことは、倫理的に説明できます。のみならず、第二次世界大戦において、枢軸国の側こそが実は反グローバリズムであり、だからこそ戦後支配構造において徹底的に悪魔化されている事実もまた明白です。

 私が祖国、そして父母や祖先をどれほど深く敬愛しているかは、すでに申し上げたと思います。そして、私に慈しみを注いでくれた者達をほんの少しでも侮辱する者達を、私は決して許しません。

 ただちに反撃ができないとしても、すべての悪事は恨みとして蓄え、適切な時機が来たら報いを与えることになります。不義や非道を行っておいて、長く時間が経てば少しは忘れてくれるだろうと思わないほうがいい。

 だってそうでしょう。私の母が非道によって虐げられる者を見て捨て置くことがあったでしょうか? 我が父が不正義を目撃して邪悪な力に妥協したことが一度でもあったか?

 私は、父と母の子です。彼らに承認される生を歩む者です。我が祖国の国体は、まだこの血液の中に生きながらえている。

 それを没落と笑うなら笑えばいい。ただ、グローバリズムに堕落した人間もどきが、私からの敬愛を向けられることはない。尊敬に値する形はそこに一切ないから。

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― 新着の感想 ―
 タイトルを見ると大東亜戦争の視点に物を言う話に思えるが、中身は熱く、それは大日本帝国を言うものであり、江戸幕府を言うものでもあり、日本人が日本人たる大和魂を叫ぶ内容に思えました。  ただ、兵器や機械…
 なんとなく最近感じるのですが、もしかすると尖った思想を書くことでストレスを発散してませんか?  理想は理想、どこかで現実と折り合いをつけないと社会不適合者となるだけです。まあ、こんなことをいえば社会…
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