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未来のために5
私自身は、誰も選んでいない。相手が勝手に近づいてくる。
それから、近づいてきた相手を、喜ばせてあげる。
しばらくすると飽きる。やがて、それだけでは済まなくなる。
彼女は、少し悲しそうにそれだけを言って沈黙した。
「どうしようもないこと」
彼女から、衝動についての率直な告白を伝えられ、私は困惑した。この反社会的な衝動は、彼女自身の根源と分かちがたいものであり、一般社会は全力で排除する。なぜなら彼女は『捕食者』のようなものだ。けれど、私は、その衝動を、すなわち彼女自身を完全に否定することはできなかった。
「最近は、もう、どうなってもいいと」
殺したあとのことも、露見しても構わないと思い始めていた。
「そんな時に、あなたが現れた」
そこで彼女はにっこりと微笑んだ。
「二人目のときは、階段の後ろにいた」
彼女は終わったあとの作業も、こっそり一部始終を見ていた。
彼女から微笑みが消え、真剣な眼差しで私を見つめてくる。
「お願いがあるの」と彼女は言った。




