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未来のために4

あの人は微笑みながら向かいの席に座った。コーヒーを頼むと、じっと私を見つめた。

ああ、美しい。こんな間近で眼にするのは、飼われていた時以来だ。

「初めまして、ではないのよね」

と彼女は、額にかかる長い髪を指で整えた。

彼女がいう「初めまして」がどの時を指すのかは判らない。おそらく、昔の売り物だった少年のことなど覚えていないだろう。ただ一人の目撃者だったとしても。

「お礼をいうべきかしら」といい、彼女はコーヒーをゆっくりと口にした。

「全部自分がやりたいからやったことなので」と私は伝え、からからになった喉にコーヒーを流し込んだ。そのままじっと自分の腕を見た。彼女に初めて出会った頃は、細く枝のような腕が、こんなに太くなっている。毛だって生えている。ふと、彼女が私の腕に美しい指先を乗せた。

「この手で後片付けをしてくれてたのね」

顔が真っ赤になるのを感じた。


ああ、あの人が、私に会いに来てくれたのだ。

と同時に、会いに来た理由があるのだな、とも思った。




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