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未来のために3
二人目の掃除を終えた次の日、ニュースに何も取り上げられていないことを確認した。大きな町では人が一人消えてもそれほど話題にならない。
今日は、あの人を追いかける予定はない。
なんだかひどく疲れていた。
いつもは使わないファミレスに行き、窓際の席でコーヒーを頼んで、ぼーっと窓の外を眺めていた。いつの間にか雨が降っていた。様々な色と大きさの傘が目の前を通り過ぎてゆく。緑色の傘が横切った。あのネクタイの色に似ていた。
ネクタイは捨てずに取って置いた。もちろん最初の日のナイフも。本当ならアイスピックも持っていたかったが、その当時はまだ手慣れていなかった。
あの人は、これからも同じようなことを続けるだろうか。
私はふと思い、眼を閉じ、うつむいた。
「ここ、よろしいですか」
と声がして、眼を開け、私は息をのんだ。
あの人が、目の前にいた。




