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008

X月X日


深夜、日付をまたいだ頃、カーテンの隙間の月明かりが陰ったような気がした。

俺はなんだか寝付けなくて次に作るものをアレコレ思案していたのだが、外から物音が聞こえてきたのでカーテンを少しだけめくって覗いてみた。


端っこだけど一応ここも王都内だから魔獣が入り込んだってことはないよな?

なんて心配しながら覗いてみたら、戦っているらしい人影が見えた。

えっ人間?異世界だしアンデットってことはないよな??ガクブル。

不安になった俺はあたふたしながら周りを見回し、いざという時のために作っておいてた防御魔法を付与したタンスの中に隠れた。


そして昨日作った防御特化イヤリングを強く握りしめながら必死に祈る。

神様!仏様!ご先祖様!どうかボクをお守りください・・・っっ!!!


子供のころ、泣いていた俺に婆ちゃんが教えてくれたおまじないだ。

異世界でも効果があるか分からないがすがれるものには何でもすがりたい。

困ったときの神頼みはこの世界の神様にも有効だろうか?

そんなことを考えながら必死に祈っていたら、そのまま眠ってしまったらしい。

翌朝、タンスをノックする音で目を覚ました。


「う・・・眩しい・・・おはよう、テオドールさん」

「おはようございます、ショウ様。お身体の調子はいかがですか?」

「んー・・・バッキバキだけど大丈夫。昨夜は外が少し騒がしかっけど何かあったんですか?」

凝り固まった身体をグーッ伸ばしながら質問したら、想像を超えた説明が返ってきた。




状況を整理すると、自分が本当に危ない立場にあったのだと自覚する。


この世界はまだ政治や生活水準がそんなに発展していないため治安も悪いようで、国同士の争いも多く国も民も疲弊していたところに、魔界と通じる亀裂が生じた。魔物や魔族が侵入してきては悪さをするので、世界を救ってくれる存在を召喚しようということになったらしい。

腕に自信のある魔法師達が一ヶ月がかりで召喚したのが俺達3人というわけである。


魔法剣士と白魔道士は当然の戦力として、問題は俺だ。

不要と思われる存在を城に留まらせることに不満を訴える者も多かったという。

そいつらは、いわゆる貴族派と呼ばれる貴族至上主義。錬金塔に多くいた思考のような連中だ。


実は、初級とはいえ複数の属性魔法を使える俺は非常に珍しい存在だったらしく。

最初は召喚の「おまけ」と見下していた奴がもしかしたら自分達より優れているかも・・・

なんてのを認めたくない連中が、暗殺者を送ってきたらしい。

貴族お抱えの暗殺者だからそれなりに強いはずだが、テオドールはその上を行く強さだったということだ。スゴイ。無口だし良くわかんない人だけど、頼れる味方がいて嬉しいよ!

テオドールを紹介してくれてありがとう、宰相さん!


神様!仏様!ご先祖様!テオドール様!本当にありがとうございます!!



国の上層部の中では「救世主候補は3人」という認識だけど、戦闘に参加できない者は違うのではないかと意見も増えているらしい。

錬金塔に居続けるよりも市井で生活したほうが安全だろうということで守りやすい立地の住居が与えられた。

俺の身に何かあれば救世主の2人が国を出ていくと言っているらしいので最重要案件だっただろう。

ありがとう、ふたりとも!


テオドールとはあの日以来、気負わずに会話できるようになって今では頼れるアニキだと思っている。

あの襲撃事件はきっと、宰相さんを蹴落としたいという貴族連中の思惑もあったんじゃないのかな。

読んでくださり有難うございます!

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