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地図を作っていたら炎鳥に遭遇しました(地図画像アリ)

すみません、いつもより少し長いです。


※こちらの番外編は「精霊王子と漆黒の姫」の「閑話/旅する異世界人」に加筆・編集したものです。

《精霊王子と漆黒の姫》https://ncode.syosetu.com/n5138jp/

精霊の森を出た俺とヒナは、森の西側にある国へ遊びに来ていた。


交易が盛んな国、ヴォルテア皇国。


大陸の南側に陣取る海岸沿いの国で、海鮮料理が美味しい。テンション上がる。

草原の向こうにある王都を超えると砂丘が広がっていた。

陸側はいろんな小国と接しているため貿易が盛んらしく、珍しい物も沢山売っていた。


そしてなんと! この国の北側にはモールド領という獣人族が住む地域がある。

いやぁもう、いかにもファンタジーの世界ってかんじで、初めて獣人を見たときは大興奮だったよ!

けれどこの国では種族差別が激しく獣人族は虐げられているのが残念だ。


これまでの歴史とか、信仰する宗教とか、いろんな要因はあると思う。

獣人族を助けてあげられたら良いけれど、余所者の俺達が口を出したら余計にこじれそうで怖い。

日本で育った俺達はここまで激しい差別を直接目にしたことはないから、ちょっと⋯⋯というか、全く受け入れることができなくて、早々にこの国を出ようと話をしていた。



「ねぇショウ、次はどこへ行くの?」


「そうだなぁ⋯⋯このまま西のほうへ行ってみる?」

「でも西側って戦争中じゃなかった?」

「西側のどのへんが戦争中なのか分からないんだよね。飛んで抜ければ大丈夫かとは思うけど」

「地図があれば行き先も決めやすいのにね」


この世界の地図はザックリしていて目安くらいにしかならない。

地球でいえば西暦が始まった頃くらいの生活水準のようだから仕方がない。

日本で見ていた地図ほどじゃなくても良いから、もう少し分かりやすい地図が欲しい。


「そうだ、俺達で地図を作っちゃおうか!」




大陸の形を確認するために、空飛ぶ絨毯で高く飛び上がる。

それでも大陸全体は見えなかった。

なかなか大きな大陸のようだ。


絨毯に付与した魔法をいじって魔石も追加し、もっともっと空高く飛べるように改良した。

うん、今度は大陸の形がなんとなく分かるくらいにはなったぞ。

ただし、北には巨大な聖山がド〜ンと構えていてその先は分からない。


大陸の形だけじゃなく、次元の亀裂もいくつか確認できた。

海上と大陸の中心に多く発生しているようだ。

亀裂の中では粒子がぶつかりあっているのか稲妻が見える。あの亀裂って防げないのかなぁ?



見えた地形を簡略しながらサラサラと紙に書き起こしていく。


地図の中心には大きな大陸。

南の海には小さな島がいくつか点在していて、その中の一番大きな島が魔王領となっている。


大陸の中心あたりから下側には縦に連なる山脈があって、東と西を分断していた。

南側の海岸は砂丘だけれど、東側は少し入組んでいてリアス海岸のようだ。

西側と北側の海岸はここからだと良く見えない。



大陸の中で今分かっている場所だと、南東にある精霊の森。

そこから西へ順番に、ヴォルテア国、ラバルト国、あと小さい国がいくつか。

南西には火山が見える。

あの辺は生活も過酷そうだ。


その北、山脈の西側にある国々は戦争中とのこと。

南部にある小さい国々と連合軍と、北部にかまえている帝国は昔からよく戦争を起こしているそうだ。


山脈の東側には中くらいの国々がある。こちらは比較的平和そうだ。

港町や交易が盛んで、南方とはまた違う文化が発展している。


それを更に北に進むと、穀倉地帯が広がっている。

以前食べた米もあの辺にあったりするのかな?


俺達が召喚された国は大陸の中心付近。

山に囲まれた平野となっていて、商業が盛んらしい。

次元の亀裂もいくつか見えたため、なるほど救世主の力を欲するわけだと納得した。


北方にも小さな国がいくつかあって、大陸の北側は聖山で占められている。


うん、だいたいはこんなかんじ。

細かいところや国名は現地に行かないとちょっと分かんないな⋯⋯


「ヒナ、このまま西側の小さな国を見に行こうと思うんだけど、どうかな?」

「帝国方面に行かないなら良いよ」

「よし、じゃあ決まりだね!」


砂丘を歩いてみたり、地元の露天で珍しいものを購入したりと、観光を楽しみながら隣国ラバルト国へ入ろうとしたときだった。



ピューーーーーーィ



甲高い鳴き声が聞こえた。


ピューーーーィ ピュロロロロ⋯⋯


空を見上げると大きな鳥の影。

太陽が眩しくてハッキリと姿を見ることはできないけれど、旋回しながら、ゆっくり飛んでいる。

誰かを呼んでいるような悲痛な鳴き声が響いていた。


よくよく目を凝らして見ていると、それは炎の鳥だった。


「あれって火山に住んでる炎鳥じゃないのか!?」

「ばかな!! なんでこんな所に!」

「このままじゃ店が燃えちまうよ」

「早く隠れろ!」

「隠れたって燃えちまうぞ。逃げたほうがいい!」


火山は国をふたつ挟んだ向こう側だ。

ここまで飛来することは今までなかったのだろう。

周りの人々はどう対応すれば良いのか分からずに騒然として逃げ惑っていた。


ただでも暑い砂丘が、炎鳥の熱のせいでいつも以上に熱くなっている。


やばい。暑い。ひからびる⋯⋯

ヒナが耐えきれず空に水魔法を展開してシャワーのように雨を降らせた。

ああ。ぬるいけど助かったよ。


ほっとしたのも束の間、誰かが炎鳥に向かって矢を射ったのが見えた。

遠距離を飛ぶように魔力を込められたその矢は、グングン炎鳥に迫って行く。

けれど炎鳥の翼であっさりと焼き払われた。


ーー何してんだよ。あんなの炎鳥を怒らせるだけじゃないか。


炎鳥は八つ当たりするかのように空へ向かって大きな炎を吐き出す。その大きな炎は、渦を巻いて雲を突き破り空の向こうに消えていった。

皆、唖然として空を見守る。


怒りを目に宿した炎鳥はヴォルテア皇国の王都にも炎を向け、その炎はモールド領にも迫っていた。

渦巻く炎に襲われた防壁は崩れ落ち、その先にも炎が上がる。

大変だ、このままでは一帯が火の海となってしまうかもしれない!


けれど炎鳥はそれ以上攻撃をせず、高度を落として旋回する。


ーーなんだろう。何かを探している?



「おい、早く逃げよう!」

「もっと矢を用意しろ! 当たらなくても目をくらませればいい」

「せっかくここまで来たのに」

「その箱を落とすんじゃないぞ。苦労して手に入れたんだからな!」


声がした方向には、慌てて逃げようとしているガラの悪い連中と行商人。

先ほど矢を射ったのも彼らだろう。


ーーあ、なんかわかった気がする。


炎鳥が探し物をしていて、ガラの悪い連中が大きな荷物を抱えて逃げようとしている。

きっと、漫画でよくあるアレじゃないか?


様子を伺っていると、慌てていた彼らの荷運び用砂ソリが横転して木箱が倒れてしまった。

ころころと転がり出る大きな卵。


ーーああ、やっぱり。彼らは大馬鹿者だ。欲に目がくらんで炎鳥の卵を盗んできたのだろう。


卵を見つけた親鳥は彼らに炎を吐きながら急降下を始めた。

それでも彼らはまだ炎鳥に抵抗しようと足掻く。

低空飛行から吐き出された炎は地を這うように砂丘を赤く染めて進む。

彼らの自分勝手な行動のお陰でヴォルテア皇国は火に包まれてしまった。

どう責任を取るつもりなのだろう。



「ショウ! 火は私がどうにかするから卵をお願い!」


ヒナが叫びならがら広範囲に水魔法で雨を降らせる。

さすがのヒナといえど、全てを鎮火するには時間がかかるだろう。

とにかく早く炎鳥をこの場から遠ざけなくては!


俺は急いでパワーアップした魔法の絨毯を引っ張り出す。

全速力で卵に向かい、炎鳥が吐いた炎を躱し、すれ違いざまに卵をふわふわ毛布でくるんで引っ張り上げた。

ヒナの回復魔法を付与した特性毛布である。

そのまま卵を抱えて火山に向かって飛ぶ。

全速力で飛んで炎鳥を誘導できれば成功だ。


時々振り返って炎鳥がついてきているのを確認しながらなんとか火山にたどり着いた。

炎鳥の巣がどこか分からなかったので安全そうな窪みに毛布ごと卵を置き、隠れて様子を伺う。

追いついてきた親鳥が卵に寄り添って落ち着いたのを確認したことでやっと安堵した。

良かった。あとは親鳥に任せることにしよう。


それにしても暑い。

火山の熱だけではないだろう。

魔素が異常に濃い。

この世界の火山ってこんなものなの?

この魔素の濃度なら獣が魔獣化していてもおかしくはない。

凶暴な魔獣が溢れてしまうのも時間の問題だろう。

どうにか魔素をコントロールしないと危険だ。


マジックバックを漁り、即席だが魔素を吸収する魔道具を作って設置した。

せっかく魔素を吸収するなら何か有効活用できないかなぁ。

そんなことも考えたが、今はヒナが心配なので一旦戻ることにする。


□□□□□


皇国に戻ると、人間も獣人も協力しながら鎮火にあたっていた。

身体能力の高い獣人族は瓦礫を撤去したり、救助作業を進んで行っている。

嗅覚や聴覚も優れているから要救助者の発見に貢献しているようだ。

彼らは身体が頑丈なだけじゃなく、正義感も強くて情に熱いのだろう。

救助された人達は涙を流して感謝していた。


力仕事は獣人族にまかせて、人族は薬や食料をかき集めてけが人や家を失った人達をサポートしていた。

治療所では種族に関係なく対応していて、ヒナも火を消したあとに手伝っていた。

中には獣人に対して差別的な態度をとる者もいたが、逆に他の人達に叱られているのを目にした。

瓦礫の撤去も、被害者の救助も、獣人族の活躍なくしては進まなかっただろう。


半壊した皇国は恩人である彼らに感謝し、国名も改めて再出発することにしたようだ。


ヴォルテア皇国とモールド領の名前から少しづつ文字をとって「ヴォルモール国」となり新たな歴史を刻み始めた。

お互いに敬意を払えるようになったのだ、これからは仲良く共存していけることだろう。




俺達はその後、火山にある洞窟にしばらく滞在した。

魔素がたまりすぎてダンジョン化していたので調査するためだ。

状況を悪化させないために魔素を吸収する大型魔道具を作って設置。せっかく集まった魔素がもったいないから何かに使えないかと試行錯誤していたら、結果、創造魔法を習得しちゃいました。

なんかチートマシマシになったかんじで怖いです。


ダンジョン内を探索したり、奥で魔獣退治したあとに出口に戻ってくるのが大変だったので、ダンジョンの入口に「転移扉」を作ってみた。

今のところはダンジョン内から帰還するための出口専用。

そのうち他の場所にも扉を作って行き来できるようにしたいな。


生まれたばかりの赤ちゃん炎鳥が親鳥に甘えてピュィピュィ鳴くのを遠目で見ながら、そんなことを思いました。



その転移扉を大陸のあちこちに設置することになるのですが、それはまた別のお話で。



挿絵(By みてみん)

いつも読んでいただきありがとうございます! 

なろう投稿を初めて半年が経ちました。半年記念に向けて書き始めたおはなしなのですが・・・先に精霊王子の連載の方にアップしてました・・・おかしいな?

少しでも楽しんでいただけましたら幸いです。


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