003
X月X日
この世界に慣れてきた頃、城下町で生活したいと思う気持ちはどんどん強くなっていった。
そりゃあさ、魔法はまだ生活魔法に毛が生えたくらいしか使えなかったし、不慣れで手伝いしても失敗が多かったけど、あの頃は召喚からまだ1ヶ月くらいなんだぞ。そんな簡単にホイホイすぐに出来るかっつーの!
なのに錬金塔のやつらは俺を見下して嫌味ばかり。
「こんな簡単なこともできないのか。救世主候補が聞いて呆れる」「なぜ錬金塔にこの程度のやつがいるのか」「オマケで召喚されただけだろう。場違いじゃないか」ーーーって。
知るかよ。うるさいな。俺が決めたわけじゃないからな!
だから配属を決めた宰相さんに相談してみた。城を出たいって。
そしたら即OKもらえた。やっぱり俺は邪魔だと思われてたか~
けどカイとヒナには反対された。知らない場所で一人暮らしは危ないって。
心配してくれるのは有り難いんだけど、このまま錬金塔にいるのはストレスが溜まる一方だ。
どうしてもここを出たいと言ったら、城を出る条件をいくつか約束させられた。
1)1年間は余裕で暮らせる資金を準備してから城を出ること
2)生計を立てられるくらいの技術を身に着けておくこと
3)カイとヒナがいつでも遊びに行ける距離のところに住むこと
1と2は・・・まあ、本気で心配してくれてるんだなって思った。
とりあえず日本の記憶をフル活用して何か作れば、この世界では目新しいだろうし売れるだろう。
カイとヒナも魔獣討伐の素材等を提供してくれて感謝だ。
でも3は・・・え?救世主のふたりが城下町に遊びにくるの?って思ったよ。
宰相が渋い顔をしてたけど、ヒナは頑なに譲らなかった。
まあ、あいつらも息抜きする場所は必要だろうしね。
たまに遊びに来てお互いの近況を語ったり、一緒にご飯でも食べてのんびりしてくれたら俺も嬉しい。
そう思って3つの条件を受け入れた。
そんなワケで、「目指せ!城下町に工房を作ろう!」ミッションスタートだぜっ!!
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