012
X月X日
キャンプ2日目は洞窟の奥にチャレンジ。
テオドールに案内されて洞窟内を進んでいくと奥に行くにつれて魔素がどんどん濃くなっていくのを感じた。
暗い道を光る苔が照らしてくれて、作ってきたヘッドライトを使わなくても視界は十分だ。
時々飛んでくるコウモリっぽいのとか、物陰から飛び出してくるネズミっぽい生物。イモリみたいなのとか、ムカデやアリっぽい虫も壁を這っているのを沢山見かけた。奥に行けば行くほど巨大化しているようで見た目も毒々しい色や形に変化している。
どのくらい進んだのか分からないけど、途中に広い場所があったので今日はここにテントを張ることにした。
テントを張って、マジックバックからテーブルと椅子を出し、魔光ランプに魔力を流して周囲を明るく照らす。
結界魔法をかけたら(まだ小さい範囲でしか使えないけど)軽く昼食を食べて採掘開始だ。
鑑定で洞窟の壁を調べながら鉱石や魔石があるところを採掘。
ここへ来る途中にあった町で手に入れたツルハシに強化魔法をかけて思いっきり壁を叩く。
自分にも身体強化をかけて、ドッカン、ドッコン、全身の力を込めて壁を叩くとボロボロ砕けた。
コハク、ルビー、トパーズ、鉄鉱石、魔鉱石、なんかよく分からないけど色がキレイな石も、まとめてマジックバックに入れておく。
テオドールも周りを警戒しながら一緒に採掘。
帰ったらどんなモノを作ろうかと話していたら「お前はホームシックにならないのか?」と聞かれた。
少し考えて、「ならないな」と応えた。
うちは父親がけっこう厳しくてちょっと特殊な家庭環境だったから、むしろ自由だー!ひゃっほ~い!という気持ちだ。たしかに妹や友達に会えないのは少し寂しいけれど、今はそれ以上の充実感があるから平気。でもそのうち俺もホームシックになるのかな・・・?
最近のテオドールは性格が変わったかのように笑うようになった。
だからずっと気になっていたことを聞いてみた。
「テオドールこそ、ずっと一緒にいてくれるけど実家に帰らなくていいのか?」と聞いたら、フッと笑って言った。
「帰る気はない。お前達のおかげで契約魔法の効果が薄くなったからな」
えっなにそれコワイ・・・(怯
テオドールの家系は代々、王家の影の仕事をしているそうだ。表向きは普通の貴族だけど裏では反逆者などを取り締まっているとのこと。彼も例外ではなく、影の仕事を手伝うため12歳のときに契約魔法を結んだようだ。
契約に縛られて自由に生きることもできず、情報をもらさないためにも無表情・無口でいたらしい。
自由がないって辛い!!
だがしかし。俺と一緒に暮らし始めてから世界が変わったと言っている。
いつのまにか契約魔法の効果が薄れていて身体も軽く感じられるようになった、ありがとう!と笑ってくれた。
俺、何もしてないよ? 何かした覚えもないよ?
あ、でも、家や服に防御、浄化、回復、解呪、結界など魔法を付与しまくったからな~。毎日解呪を浴びていたら契約魔法の拘束感も薄れるのかもしれない。
テオドールはラッキーかも知れないけど大丈夫かな? バレたらやばいんじゃ・・・
「問題ない。俺は嫡男じゃないからいいように使われてうんざりしてたし、元々縛られるのは嫌いなんだ。他の奴らの前では従っているフリするから大丈夫。こういう育ちだから欺くのは得意なんだ。」
ーーあ、やっぱりこっちが素なんですね。
「お前のことも上手く誤魔化しておくさ、スキルのことは誰にも報告していないから安心しろ。」
ーーありがたいけど本当に大丈夫なのかな?どきどき。。
「お前のことは俺がちゃんと守ってやるよ。自由にしてくれて本当に感謝してるんだぜ。それに一緒にいると楽しいしな!」
ーーうっ笑顔がまぶし・・・。こちらこそ、大感謝だよ。いつもありがとう!頼りになるアニキだぜ。
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