名声
名声とは…
広く称えられ、賞賛されている状態もしくは特質
ただ、
今までの雷と違ったのは、
すぐに体が動いたということだった。
【名声】
目は眩しさに慣れてしまったように軽く、
すぐに開くようになっていた。
ただ、先程まで見ていた少女の前姿は
今の視界には後ろ姿が映っていた
少女はただ唖然としていて動いていない
まるで、時がとまったように雷に打たれた自分のように
ただ藁葺き屋根の前で立ち尽くしていた
正直何が起きているのかなんてこっちだって聞きたい
今の構図は後ろに立って少女を誘拐する誘拐犯のようだが
声をかけるしか方法はなかった
固まった角砂糖に優しくスプーンを入れるように、経験がない甘い口調で話しかけた。
『おーい。君ー、怪しい人じゃないから教えてほしいんだけど、』
『ここはどこかな?』
頑張って作った外向きの声
異世界あるあるで言語が通じないなんてことがある。
もしそれならば、ここは異世界で雷に異世界に連れて行かれたことになりここは異世界ということになる。
だが、返答は違った。
期待していた返事でも、
誘拐犯だと思って助けを呼ぶ声でもなく
返ってきた言葉は、
「すんげぇ…」
「カミサマだぁ…!!」
明らかに他言語ではない発音だったが、少女は何か感動しているようだった。
まるで、推のアイドルにウィンクを送られたように彼女の目はキラキラ光っていた。
そして、彼女は藁葺き屋根の家を走り回り何かを叫んでいた。
これは、想定していた展開と違った。
ここから逃げたらいいのか、のこったらいいのか、
どうきたらいいのか判断することはできずにその場に固まっていた。
すると、ぞろぞろと藁葺き屋根から人が出てきてたちまち野次馬の集まりのように俺を一周に囲んだのだった。
明らかに、少女だけでなく見慣れない言い方はあれだが小汚い服装している集まりを見て余計に混乱した。
確かに言葉は聞き取れた。だが、あのような人間がこんなにわんさかいるなんて知らない。
脳は混乱してスムージーになっている。
そんな中だった。
一人きれいな服装をした老人が小汚い中からひょこっと現れた。
一目でわかる。
これはこのグループの長なんだろう。と、
「そこの男。」
「この子がそなたをカミサマだと言っておる。」
「それは真か?」
先程から、ちらつくカミサマが何なのか全くわからないせいで単語の意味を知らないまま問題を解こうとするような気持ちになる。
ただ、やはり聞き間違えではなく。
はっきりと、この人の声は聞こえる。
「黙ってないで!!
なんとかいわんか!」
『…っはい!』
叫んだその鋭い言葉にビクッとして、前を向く
明らかに不満そうな顔をしているのだが…
さっき何か声に出してしまった気がする。
あまりのピリッとした空気に戸惑いが隠せない
「おい、ピリル本当なんじゃろうな
この男があの神話にあるカミサマというのは」
明らかに何かを疑っている長らしい人物の横に立っていた
あの少女はこくりと頭を縦にふる。
「うん、
ボク見たんだ…」
「この人が雷を落としたの」
「ふむ…そうか、
だが、やはりそのようには見えん。」
明らかに俺が会話に一人だけ置き去りにさせられているのは分かる。
が、カミサマというのは何なのかは全くわからない。
老人はこっちを下目でみながらも威圧している。
おい男衆の中で最も腕っぷしがいい奴は誰だ?
皆さっきまで沈黙を守っていたせいかすこしざわざわして、こういう
「ピリルです」
明らかにこの小さな少女が力が強いはずがないと内申驚きながらも、体はまだこの状況になりきってないらしいように全くといっていいほど動かない。
「おい、
ピリル。この者と手合わせせよ。」
「ただし、手を抜いたら分かっておるな。」
その少女は少し怯えたように頷く
やはりこのか弱い女の子が強いはずがないなと思いながら、女子トイレの中に男性がいるかのように立ち尽くす。
少女は対決の姿勢で、
相撲を取るかのようにさっきまで老人の横にしがみついていたのが嘘かのように、眼の前10メートル前に移動した。
小さな子を相手にするのは昔から良くしていたことだが、さすがにこれは大人げない。
そう思いながら、まだこの状況に慣れない体はその場所に立ち尽くしている。
静まり返った、
その空間には、よくわからない生物の声がただ響くように跳ね返っている。
次のときだった。
老人は大きく
「始めぇ!」と、叫んだのだった。
ここで、想定外のことが2つ起きた。
一つは、少女のスピードが尋常じゃなかったということだった。
勢いよく飛び出したその少女は勢いよく飛び出した弾丸のように眺めるだけしかできなかった。
ただ、急に飛んできた水から目を閉じるように、体に秘められていた原子反射が発動された。
腕を上げ目を閉じる。
その時だった、
勢いよく、雲一つなかった空から雷が落ちてきたのだった。
まぁ、目を閉じていたので耳に轟く雷鳴しか聞こえなかったが、
体は傷みを患うことはなかった。
ただ、目を開けると先程自分の方へ勢いよく飛んでいっ少女の背後に自分がいた。
いまので、2回目。
これが何を表しているのか大体見当はついていた。
が、今は体をすりつぶすような傷みをなぜ感じなかったことだけが疑問として残っていた。
その場に突っ立っていると老人の長はさっきまで不機嫌そうな顔をやめ
にこやかに
口を開いた
「確かにこの方はカミサマである」
「皆の衆、手厚くこの方をモテなし無礼の無いようにせよ」
この態度の急変になにか気味悪いものを感じながら、
藁の屋根小屋で一晩過ごす事になった。
もちろん最上級の藁のベッドで寝ることになった。
次回 名声(後編)