表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

雷鳴

雷のなる音

誰しもが思ったこと

誰か、雷にあたるんじゃね?って

          【雷鳴】

視界が揺らぐ、さっきまで前を向いていたのに

疑問に思う前に気づけば頬は濡れたアスファルトに衝突する

何が起こったのか?


そんなことは気にならない、ただ振り続ける雨に打たれながら人間の持つ羞恥心で立ち上がろうとする

手を動かそうとするが力は入らず、手はヒリヒリしている

足も動きそうにない

次の瞬間、明かりに顔が照らされる

その光はどんどん明るくなって、気がつけば真っ黒になっている

濡れたアスファルトに顔をつけて目を閉じる

背中に突き刺さる傷みは雨の音にかき消されている

アスファルトだった真っ黒はまぶたの真っ黒になってそのまま開くことはなかった

人は状況を理解する

それも時が経つほどよく分かる

ただ、5分後に目を開けたときには自分は死んだんだということしか分からなかった


真っ黒だったアスファルトとは対照的にに目を閉じたくなるような白という白が目を覆う

何かが手に触れることは、感じ取れるが目を開けることはできない

目がフラッシュによって焚ききつけられた衝撃はもう一度目を開けることを躊躇させる

50分ぐらいが経ちようやく目を開ける

三度目の目を開ける

黑、白、次の景色は

謎だった

見たことのない色が周りにこれでもかというほどひしめき合っている

ここで多くの人は異変に気づくだろう

だが、多くの視覚的状況に脳は遠い彼方においていかれている

立ちすくんだまま48分ぐらいが経つときだった

体に感じるポツポツとした感覚

これは先程の訳の分からない視覚とは違い、感じたことのあるものだった

いつものように、暗い雲にすこしプールのような雨の匂い

今まで人生で何度も経験したことのあるものだった

雨に流されるように足が動く

雨に導かれるように体が動いた

草木のようなものに触れる感触、

ここで違和感にようやく気づく

さっき、50分前頃には自分は死んだと

たしかに確認した

だが、雨の匂いは変わらず鼻につく

雨の雫は変わらず手についている

手を見つめ、それを確認する

次の瞬間突然来るカメラのフラッシュのような閃光が目を襲う

慌てて目を閉じようとしたが、地面に倒れた感触を感じる

人生で一度体験したことがあるようなヒリヒリ感

体にかかる無気力感

体は恐怖によるアレルギー反応で全く動かない

ただ前回とは違うのは、地面が柔らかいということぐらいだった


雨は額に当たり体は濡れている

そして、目は開かないまま気絶した



それから46分がたったぐらいだろうか、

2日間寝不足だった人間が久し振りに12時間寝たときのような

快感が目を見開けた

だが、その心地よさと違い

眼の前は見たことのない場所だった

風が頬を撫で、髪が揺れている

まるで田舎のような風景だった

先程の訳の分からない色とは違い空は青い

地面は茶色い

ただ、藁葺き屋根の家がたくさん立っている田舎なんて今まで見たことがない

自分の知っている世界とここは違う

それに気づいたのはあの世界からいなくなって100分後のことだった

ただ、こんな異世界転生みたいな事が実際に起こり得るわけないし

それに、確かに雷で俺は死んだけども、

お母さんらしい人は周りに見当たらないし、体はあの世界のままだ。

じゃあ、異世界転移かと言われても女神みたいなやついなし、

何も説明されていない。

そもそも、これは現実なのかというテンプレ的な発想もあの痛みと苦痛では有無も言わせず却下されている

ただ、ここはどこなのかというミステリアスなものに惹かれて、気がつくと藁葺き屋根が覆いかぶさっている家の集り…

いや、これからは村と呼ぼう

に向かっていった

その時だった、一人の黒髪ショートヘア少女がその小屋のような家から出てきた

これは常識的に考えて不審者、侵入者、誘拐犯、空き巣、どれを取ってもいいバイキング的なシチュエーションだった

その少女がこっちを向く前に私は顔を隠すように手を顔に覆いかぶせようとした。

その時だった

大きな雷鳴とともに、光が私を包んだ

これは何回目だろうか

3回目の雷にはさすがに

3食カレーだったときのような飽き飽きとした感情と、

相変わらず体を引きちぎるような傷みが混じり合っていた


ただ、

今までの雷と違ったのはすぐに体が動いたということだった。













次回 【名声】

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ