僭越ながら義兄ですが
義弟は彼女を愛している。
彼女も義弟を愛している。
愛しているのに、言えないのは義弟には妻がいて。
彼女は義弟の在学中に義弟の子を産んで、
子供は私たち夫婦の子となった。
子を産んだ彼女にはもう用はないと誰もが思った。
しかし、産後から暫く経つと…。
また、弟は彼女との関係をはじめた。
数年前に結婚した義妹には初夜の仕事を放棄して、今も肉体関係は一切ない。
義弟は6歳上の下級貴族の女と毎夜のベッドを軋ませている。
その音を義妹は毎晩隣の部屋から聞かされている。
枕に大量の雫を落として…
義弟は最低な男だと思う。
ふたりの女性を現在進行形で不幸にしている。
ひとりは妻と、愛しい人だ。
義弟は王宮騎士の副団長を勤めている。
異例の早さで副団長に上りつめた男だ。
私生活は釘を刺したくなるが、仕事は勤勉で上司からも部下からも慕われているらしい。
ある時、訪れた妻の実家の侯爵家で一枚のSDカードを見つける。
裏には【♡♡♡】と記されていた。
疑問に思いながら、妻をシアタールームに誘い中身を確認する事にした。
後に見なければ、拾わなければ良かったっと後悔するとは思ってもいなかったが…