地獄とはこのことか。
私は今まで幸せだった。この人生に悔いはない。ホロホロと崩れゆく体。槍に刺され、穴に吸い込まれていく。更にはあつあつに熱された山の上に載せられ、山と一緒に穴に吸い込まれていく。そんな仲間たちの姿を見て、死ぬことを決意した。槍に掴まれた。今度は何だ。白く冷たくねっとりした泥に突っ込まれた。切り離された体には泥がついている。冷たい。残された仲間たちは、天を仰ぎ、悟った表情をしている。皆、死ぬことを決意している。私は最初、大きな一体だった。そこを切り分けられ、炎に熱され、穴に吸い込まれる。砕かれ、崩れていく体。これでもかという程に切り分けられ、穴に落ちる。ジャボン、という音と共に、黄色い液体の中に突っ込まれた。そこで完全に溶けた。人生に悔いはない、という言葉と共に、焼き鮭の人生は終了した。