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ウクライナ戦争の黒幕

作者: 湖灯

 ロシアによるウクライナ侵攻には違和感しかありません。

 それは今回の戦争に限って、世界各地の紛争地域に必ずと言っていいほど顔を出すアメリカが動かない事です。

 動かないどころか、バイデン大統領は早い時期からロシアの進行を予想しながら「アメリカはロシアとは戦わない」と開戦前からメディアを通じてコメントを出していました。

 ロシアにとってアメリカの動きは脅威だったことでしょう。

 空母打撃群を地中海か黒海に展開させ、そして戦争には断固反対すると言う強いメッセージにより相手を威嚇するのが、今までのアメリカのやり方。

 それが今回は全く違います。

 何故?


 今回の戦争でウクライナは大きな被害を被っています。

 侵略を行っているロシアもウクライナの予想以上の激しい抵抗と経済制裁で同じように被害を被っていますし、その経済制裁を行っているEU諸国や日本も物価の高騰などで少なからず被害を受けています。

 一体誰のための、何のための戦争なのでしょう?


●ウクライナ軍の弾薬備蓄量の凄さ。

 戦争を起こしたプーチン大統領が悪いのは確かですが、アメリカやNATOが手を出さない以上、ウクライナは簡単に降伏すると思っていたに違いありません。

 ロシア側からこの戦争を見た場合、“何故ウクライナ軍は、そこまで抵抗できるの??”と、不思議に思っているに違いありません。

 例えば自衛隊の場合、概ね2~3週間程度の弾薬備蓄量しかないとされています。

 これは火薬類取締法に乗っ取って規定された量で、一番多く備蓄できる1級火薬庫をもってしても実包だけを備蓄したとしても8千万個しか備蓄出ません。

 陸上自衛隊普通科の隊員は1人180発の銃弾を携帯し、概ね1人当たり400発以上の補給計画に基づいて運用されると聞いていますので、1個師団(6~9千人)を8千人とした場合25日間の戦闘が出来る計算になります。

 ただ火薬庫に備蓄されるのは銃弾以外も有りますので、先に出した2~3週間の戦闘に耐える程度の備蓄になるのだと思います。

 もちろんウクライナと日本の法律は違うので、陸上自衛隊の備蓄量は何の参考にもなりませんが、これほど激しい戦闘を1ヶ月以上継続出来ている事に驚きを隠せません。


●ウクライナの戦争で一番得をするのは誰?

 ウクライナは被害国なので得はしませんし、加害国であるロシアも経済制裁や莫大な軍事費の消費と自国の戦車や装甲車が簡単に個人携帯ミサイルの餌食になっていますので、武器輸出大国としてはかなりの痛手だと思います。

 EUなど、経済制裁を行っている国々も、燃料費を中心に物価が上がっていますので、損をする事は有っても得をする国は無いでしょう。

 制裁に加わっていない中国やインド、ブラジルなどはどうでしょう?

 EU諸国が買わなくなったロシア産燃料を安く買えるメリットは出て来るでしょうが、パイプラインなどのインフラが未だ整備されていませんので、効果が出るのはマダマダ先の事に成ると思います。

 結局、戦争によって得をする国は無いのでしょうか?


●アメリカの思惑通り?

 ところがここに来て、あるヒントがポーランドからもたらされました。

 それはポーランド陸軍がアメリカ製M1エイブラムス戦車を250輌購入に踏み切ったと言うもの。

 調達費用は、約5900億円!

 ポーランドは現在T-72を380輌、T-72ベースのPT-91を230輌とレオパルドⅡを250装備しています。

 何故レオパルドⅡじゃないの?

 M1エイブラムスは湾岸戦争とイラク戦争で、そのT-72を一方的に撃破した実績を持つ戦車です。

 それに比べてレオパルドⅡは実戦経験が殆どありません。

 しかもロシア軍のT-72などの戦車を破壊しまくっているのはアメリカ製のジャベリンミサイル。

 更にイギリスのジョンソン首相がウクライナに電撃訪問した際にゼレンスキー大統領に譲渡を約束したハープーン対艦ミサイルもアメリカ製。

 そしてチェコなどが購入を検討しているとされるパトリオット地対空ミサイルもアメリカ製。

 戦車に各種ミサイル、武器輸出大国アメリカにとって嬉しい限りですね。

 とは言え、これらは想定された副産物に過ぎません。

 アメリカの本当の狙いは中国への“けん制”なのですから。

 悪い言い方かも知れませんが、プーチンはまんまとバイデンに騙されたのだと思います。


 つまりロシアによるウクライナへの攻撃によって、どの様な制裁が行われるのかと言う事をアメリカは中国に見せつけたのです。

 制裁はロシア国家に留まらず、政府関係者や富裕層へも拡大しています。

 もし最初から自分の資産が取り上げられると言う事が分かって居たら、戦争に協力をするでしょうか?

 台湾を併合しようと試みていた中国にとって、今回のロシアへの措置は考え直すチャンスを与えたのも同然。

 結局アメリカにとって、ウクライナなんてどうでもいい国だったのでしょう。

 逆に台湾を中国に獲られる事による太平洋の安全問題と、台湾有事の際にも中国と戦いたくないアメリカにとって、日本や韓国、それに東南アジア諸国のアメリカ離れを抑えるためにも先にロシアを動かせておいて、中国をけん制したのではないかと思っています。


●ロシアが是が非でも戦争に勝利して終わりたいわけ。

 たしかにロシアの行いは許しがたいものです。

 ですがプーチンにしてみれば、バイデンが「どうぞご自由に」と手を引いたも同然の状況で踏み切った戦争。

 1人だけ悪人にされて……そう言えばイラクのフセインもそうだったし、リビアのカダフィーもそう。

 すべて死人に口なし。

 戦争に勝利する事によって、先の2人の様な末路だけは避けたいと思ったとしても無理はありません。

 そしてそれが余計戦争を長引かせているのだと思います。


 いずれにしても、人々が安心して過ごせる世の中を一刻も早く実現させてほしいと思います。

 Stop the war!

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― 新着の感想 ―
[一言] アメリカの軍需産業、と言うか世界的にも軍需産業って斜陽もいいとこなんですよね。 経済規模から考えてもそのために戦争は考えられない。エネルギーを原因とした方がまだ現実味がある。 戦車250輌で…
[一言] これは戦争開始直後である商社にお勤めの著者様が自論を上げていましました。 <英米のメジャー中心による資源供給先の変更> ロシアはEUの経済的<鵜飼>とも言える立場であり、<F1種の種><…
[良い点] ●ロシアが是が非でも戦争に勝利して終わりたいわけ。 ⬆ 本当、ピエロで終ってしまう。 世界を敵に回すと解って戦争行為するなんて 考えられない まだまだ裏がありそうですね。 アメリカ経済が…
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