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地球の防人  作者: 陽伊路
3/7

3話

10機のベクターの誘引に成功したバーガンだったが、それは即ち、10機のベクターに追い回される事を意味していた。

そう遠くないとはいえ、金魚のフンの如く付いてくるベクターを目標地点まで移動させなければならない。

速度性能の差によって、みるみる内に距離を喰らい尽くしていくベクター。その姿は、黒のカラーリングも相まってまるで死神である。しかし、例え相手が神だとしても、タダで殺されてやる道理はない。

バーガンはコクピットの中で、どうと言う事はないかのように不敵に笑う。

ここで、不意に甲高い音がコクピット内に鳴り響いた。ベクターからのロックオンを受けた事を知らせる警報である。

バーガンは即座に機体を左右へジグザグに動かし、ベクターからのロックオンを逃れる。バーガン以外の17機も、バーニアを全開にしてベクターの手から逃れ続けていた。

しかし、バルカンとベクターの性能差は歴然としている。数分と経たない内に、ベクターの攻撃を食らうものが出始めた。

背後から伸びる一本の光線がベクターとバルカンを結び、そのままバルカンを消し去る寸前、光の盾がそれを阻む。パイロット達の最後の命綱であるラリオスシールドである。ラリオスシールドに阻まれた光は拡散し、その威力を失う。

だが、次々と命中するレーザーに対し、ラリオスシールドの限界は着々と近づいていた。


『各機、連携を忘れるな!ロックオンされたら全力回避、僚機はベクターのロックオンを妨害しろ!目標ポイントまで、必ず生きて到達しろよ!』


バーガンは無線に向けて大声で怒鳴る。

しかし、その余裕も段々と失われてきていた。

現在、バーガンをロックオンしているベクターは2機である。どうやら、1機にロックオンされつつも味方を援護し続けたバーガンは、ベクターのお目に留まったようである。2機は執拗にバーガンを追い続け、味方を援護する余裕を奪っていた。

バーガンは既に数回被弾している。ラリオスシールドは約5回程度までしかベクターのレーザーを防げないため、限界は近い。

武装へのエネルギー供給がないとはいえ、ラリオスシールドの消費するエネルギーは莫大である。そう簡単にラリオスシールドのエネルギーは回復しない。


突如として、閃光が暗闇を照した。

レーダーへ目を落としたバーガンは、小さく舌打ちをし、報告を待つ。


『こちらモルト11、モルト12が撃墜された!クソッ』


バーガンはレーダーで位置を確認し、直ぐに指示を出す。


『モルト11はモルト7、8と合流。新たに編隊を組直せ。目標ポイントまであと2分30秒だ。各機、気を引きしめろ!』


僚機を破壊されたモルト11は、編隊を組み直したことでなんとか安定を取り戻した。しかし、依然として状況は厳しい。ほとんどのバルカンは既に被弾し、ラリオスシールドが限界に近い機体もいる。そして、撃墜されるバルカンが多いほど、各機の負担は増えることになる。


バーガンは、最早何度目かも分からないロックオン警報を聞き、直ぐさまバルカンを右へ滑らせる。

直後、直ぐ左を光か通り過ぎる。

ベクターとの距離が詰まったためか、ベクターの攻撃はより正確になり、その危険性を増していく。

右に避けることでベクターの1撃を回避したバーガンだが、直ぐさまもう一機こベクターにロックオンされ、機体を上方へと動かす。

バーガンの操縦がバルカンへ伝わり、指示通りにバルカンが動いた。

その刹那、ロックオン警報よりもさらに大きな音が響き、バーガンへ警告が伝えられる。

回避は僅に遅く、ラリオスシールドが起動したのである。

幸いにも、回避行動を実行していたためにベクターのレーザーは掠る程度でラリオスシールドへの負荷は抑えられた。


近距離で2機のベクターに追い回されるバーガンに余裕など既になく、必死に操縦桿を操作し続けていた。


そして、遂には3機ものベクターに狙われ始めたバーガンは、限界に達しようとしていた。

いくつもの戦場を潜り抜け、生き抜いてきたバーガンでも、3機ものベクターの相手は不可能である。

3機のベクターは舌舐めずりするようにバーガンを後方から同時にロックオンし、その牙を突き立てようとしていた。

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