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スマホ・ディアボロス  作者: 黒霧白葉(くろぎりしらは)
スマホショップから始まるプロローグ
3/35

序章 三話

 

 「そういう訳で、異世界要素としてこの魔導書(スマホ)をお渡しします」

 「え、本当にスマホなのかよ。異世界要素が皆無じゃねーか」


 軽いノリでカウンターの下からするりと取り出した箱、その中身を神様から受け渡されたスマホは、どう見てもよくある高性能携帯電話(スマホ)である。赤と銀のカラーでややゴツい見た目とか、どっかで見た事あるタイプのヤツだ。というか、この場所がスマホショップなのもこういった理由があったからなのか。


 「略称ですけどね。スマートな本、略してスマホです」

 「スマホンとかスマブじゃないのか」

 「最初はスマートブック、つまりスマブって略称で売り出してたんですけどね、言いにくかったのか魔導書(スマホ)で定着しましたんです。あぁ、庵さんが思ってるスマホとは別物ですよ。ファンタジー要素の定番中の定番、魔法を使うための魔導書の事をそう呼びます」


 「え? これ魔導書なのか!?」


 異世界転移で魔法を覚える手段がスマホ!? 何その現代ファンタジー!?


 「おや、いいとこ付きますねぇ! 平行世界(パラレルワールド)は所謂現代ファンタジーって場所なんですよ! 庵さんの所と同レベルの発達した科学文明に突如として見つかる新たなエネルギー問題の解決策、つまりは魔導書の発見により電気から様々な魔法を生み出す事が可能になったのです!」

 「そりゃスゲーな、電気万能過ぎるだ…ろ…おい待て、今気づいたけどちょいちょい心を読んでやがるな?」

 「神様ですからね」

 「それで全部通ると思うなよ」

 

 いやーバレましたかー、とか言って誤魔化す神様。まぁ()()()()()()が必要な理由は検討が付いてるので、これ以上ツッコまないけどさ。だけどな、


 「…つまりは、知識チート壊滅じゃねーか!?」


 こっちはツッコまざるを得ない。

 そう、神様からの異世界転移とかってまず初めにチート貰って何とかするのが定番なのに、同レベルの科学文明の現代って事は、俺なんかが持っている様な知識は意味が無いに等しい。もしかしたらその平行世界の方が魔法によって進んでいる可能性がある。

 残された可能性としては能力チートとかだが…スマホが俺が知ってる通りのモノなら、一般的に普及されているって事になる。それが魔導書って事は、魔法そのものは誰にでも使える世界なんだろう。なら寧ろ俺にとっては不利になる要素になり得る。何せ魔法を使った事の無い人間が、魔法が普及されている世界に行くのだから。


 「そうでもないですよ? 魔導書(スマホ)を得れるのは十五歳からと決まっていますし、能力チートも庵さん次第ですからね」

 「そうなのか? でも年齢的なアドバンテージはあんまり無いって事は有り難いが…俺次第ってどういう事だ? まさかファンタジー要素の適正職業が教会で分かるとかみたく、スマホの契約時に適正魔法が分かるみたいなシステムじゃないだろうな」


 おい神様。眼を丸くして驚くな。よりにもよって正解かよ。

 

 「え? なんで分かるんですか? というよりやたら詳しいですね」

 「そりゃな○うとかでありふれてるし…ってマジかー」

 「まじですよ? その方が色々と手続きが簡単ですし」


 そりゃそうだが、身も蓋もないな。俺の知ってるファンタジーと違う。


 「庵さんの契約も既に完了してます」

 「いや、はえーよ。もっとこうさ、契約の魔法陣が下から表れて光が包み込む演出とか期待したのに凄く残念なんだが」

 「この場所ではその演出機能は無いんですよ。アレ高くて」


 演出なのかよ。しかも神様なのに金銭事情の問題が関わるってどうなんだ。世知辛いのは世界を越えても変わらないのか。


 「高いって…聞きたくない事実だけがどんどん重なってきた」

 「まぁまぁ、魔導書名や能力でテンションが上がりますって」

 「名だと? 適正魔法が分かるとかって話だったろ?」

 「正確には適正の魔導書と能力が分かる、というモノです。それが庵さんの適正魔法として使用できるので意味合いとしては間違ってないと思いますよ」

 「そうなのか。てっきりステータス画面みたいなので炎属性に適正がある、みたいな感じかと思ってた」

 「その辺の曖昧さは同じですけどね。魔導書名も同じ人がいたり、別の魔導書でも能力が似たようなのだったりしますから」


 確かにそうだ。属性の適正が分かったからといってどの様に使うかは人それぞれだろうし。


 「じゃあ、俺の魔導書の名前とかはどうやって分かるんだ?」

 「魔導書(スマホ)を起動して、専用アプリケーションを起動してください。そうしたら分かりますよ」

 「アプリって辺りがスマホと変わらないな」

 「庵さんの感覚ではスマホに魔法が使える機能が付いた程度のモノですよ」

 「言ってる事は凄いのに…そう聞くと大したことなさそうに聞こえる」


 そう言いながら起動したスマホは、聞いたことない会社の名前が表示された後、慣れ親しんだ画面が表示される。ロックを外して画面を開く。本当にスマホのよくある画面に見えるが、画面の真ん中に見知らぬアプリケーションが大きく表示されていた。


 「あぁ、それです。起動してください」


 そのアプリケーションを言われるがままに押す。画面にはこう表示された。




 魔導書の魔王(スマホ・ディアボロス)と。







 

ファンタジー「タイトル回収の代償が我の存在意義だと…!?」

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