ヒッチハイカーみちお
「やだ!アレ何!?」助手席に座った花子は思わず叫んだ
それに驚いたのは、後部座席で電子書籍を読んでいた次郎
だった。あまりに驚き思わずスマホを放り出した
「何だよ大きな声出して?」スマホを拾い上げながら花子
が指差した先を見て次郎も驚いた。物々しい風貌で道端で
片手を上げ、ヒッチハイクしてるそれはもはや性別も特定
できない「何か」の横を走り抜けた
髪は、ボサボサ、着てる服はボロボロ・・肌は真っ黒に日
焼けしていて日本人であるかさえも怪しい空気は、通過す
るほんの数秒間の間にも感じとれた
「あー、アレ、みちおだよ。ヒッチハイカーみちお。」そ
れまで黙って運転していた太郎が突然答えた
「あいつアレで、凄いんだぜ。ギネス記録持ってんだから
な。」太郎の予想だにしなかった言葉に花子も次郎も言葉
を失った
「ギネス記録!?。嘘だろ、あんな奴が!?」次郎は、振
り返り小さくなってゆくみちおを今一度確認していた
「何の、何でギネス認定されたのよ?」花子が不信な目付
きで太郎に問いただす
「話せば長くなるんだけど・・・」太郎は、煙草を咥え火
を点けた
僕は、みちお。高校を卒業したばかりの将来有望な青年だ
就職先も決まって今は、言ってみれば充電期間中だ。その
時間を有効活用したくてある事を思いついた。ヒッチハイ
クで生まれ育った東京から北海道まで行ってみようと。予
測出来ない人との出会いが立派な財産、社会勉強になると
確信したからだ。だが両親は、反対した。犯罪に巻き込ま
れるからと。その気持ちも分らないでもない、だが僕は決
めたら引き返せない典型的な猪年生まれだ。早々に準備に
取り掛かり卒業式2日後には路上に立っていた
私は、腕を上げ続けた。何時間も、何日も。そして月日は
丸20年が経った。週1回親が差し入れを山の様に運んで来
て僕を支えてくれてる。就職先の入社式も特例でリモート
参加し既に入社20年目のベテラン社員だ。
道端でヒッチハイクし続ける僕は、会社にとっても恰好の
宣伝材料になっている。取材を受けテレビや雑誌さらには
ネットでも騒がれた。ヒッチハイク中に書籍の執筆、販売
、大手メーカーのCM撮影、ユーチューバーデビュー全てを
ヒッチハイク場所でこなし続けている
そして僕は、ある日訪ねて来た見知らぬ男性に助言されギ
ネス記録への登録を決心した。そうすれば良い記念にもな
るし、より商品価値が上がると思ったからだ
ヒッチハイクを始めて20年間、車を1台も停められなかっ
た人として
ギネスは、認定した。
途中、オチバレしてないか心配しながら書き進めました。