木漏れ日と優しさに包まれて
眠い、意識があるような気がする。暖かい。眠り日和だ、暖かくて風が吹いて爽やかで草の匂いも、草の匂い?
そう言えば不思議な夢を見た。心を読むとても綺麗な女性と嘘みたいな話、異世界転移とありえない力、色々な種族に魔法、自分の身体と種族を変えたのには笑える。
作った肉体はどれもありえないくらい美しい容姿だった。どれも夢に思えた。
そうだ、異世界で生きていく為に知識を貰ったんだっけ?あれも笑えた。そんなこと気にするか?でも綺麗な女性の笑顔はとても素敵だった。死んでも忘れないだろう。
名前まで変えたときには驚いた。 ペスト・エクスマキナだっけ?確かに教科書で見た、骸骨と人が踊っているように見えた絵が頭から離れなかったが、その名前にしたことも。
余りにも非現実的で機械仕掛けの神の名前も借りたことも。
女神様に剣を教わった、剣の振りも剣を振る女神様も綺麗だった。生きてくださいと言われた、もう会うことはないと言われた。寂しかった。
最後に名前を教えてくれた。アリステア様だ。悲しげな顔をさせたくなかったから生きて見せると言った。笑ってくれてよかった。最後に感謝した。したと思う。伝えられたかな?
目を開ける。木の枝と葉と空が見える。木漏れ日と空が綺麗だ、はっきり見えた。上半身を起こす。
頭に土がついた気がして、手で払う。サラサラの感触がした。そんな筈ない、自分は短髪で硬い髪質だ。手を見る。
透き通るような白い肌と綺麗で長く以前の自分より細く見える指がある。
流れるように手首から肘を見る。ヒートテック、肘の辺りからは布の服、布の服?
全身を見た。驚いた。夢じゃなかったのか?アリステア様の言葉を思い出す。
『これは現実です』
綺麗な声でそう言っていた。思い出す。
『ひゃぁーーー!?』
目を開けて心の声を聞かせたときの驚き。思い出す、思い出す。
『あぅ・・・あっありがとうございます』
容姿を褒めたときの照れた顔。可愛かった。思い出す、思い出す
『落ち着いてよかったです』
離れて行く
『いえ、落ち着いて何よりです』
微笑みが綺麗だった
『これで知識は貴方のものです』
大輪の花が咲いたような笑顔
『ふふっいえ、すみません』
笑った顔
『もう会うことはないでしょう。ですが大丈夫です、貴方は掴み取りました』
抱きしめてくれた
『貴方と居れてよかったです、楽しい時間でした』
自分も楽しかったです
『アリステアです』
聞かなかった名前
思い返す
『もう会うことはないでしょう』
泣きそうだ
『生きてください』
泣いた
もう会えない
『生きてください』
そう聞こえた
泣いた