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女神の間と説明

「あなた方は異世界に行くことになりました」。


 (異世界ですか?)


「ええ、名称は異界、別世界など他にも複数ありますが」


 (本当ですか?)


「・・・本当です・・・」


 女神様は消え入りそうな声で私の疑問を肯定しました。異世界、異界、別世界、新世界、異次元世界・・・


ーーーーー


少々お待ちください


ーーーーー


 ええ、少し動転しましたがようやく意識が戻ってきた気がします。しかし異世界ですか、こうして言われてみると、極めて現実的ではありません。


 百人中百人が言われたことに耳を疑う程の話です。少々気が動転して頭の中をいくらかの記憶が駆け巡った感じがします。


 そして今も申し訳なさそうな顔でこちらを見ている女神様を見て、一つの嫌な予感が沸いてきました。


 (もしかして?)


「ええ、元の世界には戻れません」


 やはり、そうですか、あいにくこういったことは小説やら映画、アニメ、漫画で知ることが多いのでもしかしたらと思いましたが、戻れませんか。


 あのおいしい食事にお風呂と暖かな寝床を元の世界ではもう二度と味わうことができないという事実に気分が暗くなりますが、それよりも、


 (女神様、浮かない顔ですが、他にも悪い報せがあるのでしょうか?)


「ええ、こちらの方が悪いです・・・」


 (お聞かせ願えますか?)


「本来であれば、あなた方ではなく、別の方に異世界に行ってもらう筈だったのですが、異世界からの転移魔法の誤作動のせいで、あなた方に行ってもらうことになってしまいました。本当に、本当にごめんなさい・・・」


 女神様は涙声でそう謝ってきました。


 (しばらく待ちますのでその後事情をお聞かせ願えますか?)


「は、はい」


ーーーーー


事情聴取中


ーーーーー


 そうして事情を聞いたのですが、結構驚いています。ですが本当のことでしょう。嘘をつく理由がないですから。


 事情はこうです。本来であれば、転移魔法で転移するのは私たちのような平和に暮らしている学生などではなく、紛争地域で暮らす方や、重篤な病を患った方など、これから命を失う方が命の救済も含めて転移対象になるそうです。


 危険すぎる知識や思想を持った人は対象になりませんが。


 普通に考えると、平和な国の平和な学生が異世界転移するわけがないのです。


 そして本来は一人、もしくは数人が転移するのですが、転移魔法の誤作動により四十人の学生が転移対象になったので本来与えられる力が四十分の一になってしまったそうです。


 さらに困ったことに転移魔法が誤作動を起こした理由があります。


 本来、転移魔法を行う道具があるのですが、転移を行う状況、すなわちその世界の危機的状況を打破するために、数百年かけて世界中から集められ、蓄積された魔力を消費して使うようです。


 ですが、世界は危機的状況ではなく、さらには蓄積された魔力に上乗せで別の魔力が注がれたみたいです。


 恐らく魔力を追加で注げばより強い者が召喚されてくるだろうという考えから魔力を注いだのだと推測できます。


 その状態で無理やり転移魔法を発動させたので誤作動を起こし、転移者を強化するために消費される筈だった世界の魔力が別の魔力の影響で減少、霧散。


 そして魔力が減った状態で人数割されたまま、私たちが強化されたみたいです。そして、私たちの誰か一人は聖剣の力を得る筈だったみたいです。


 魔力が減少しないで人数割されれば、戦うことを生業にしている異世界の人たち、つまり、一般的な兵士や冒険者よりは強くなれたようなのですが、減少したせいで兵士や冒険者の成り立て位の力量になってしまったようです。


 そして誰かは得る筈だった聖剣の力も得られないようです。


 それと、転移魔法を発動するような状態でないのに無理やり発動した国に召喚されることになるので、このままでは概ね良くないことが、起きることになるであろうとも。


 具体的には、召喚を行った国の思惑が判らないことと、霧散した魔力の影響で魔物が召喚した場所を中心に吸い寄せられるようです。


 (今回の事情の顛末はこれで合っていますでしょうか、女神様?)


 「はい・・・そうです・・・」



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