クラスメイトと話
「落ち着いた?」
「え、ええ・・・」
しばらくして彼女達も落ち着いたように見える。
「分解されている事実に気付いて聞いたから肉体を変えられたんだ。さっきも見てたが、この顔どう思う?」
最後に笑いかけながら聞く。こっちを見て固まった。
「ずっるー!ずるすぎるよ!」
ツインテが批判してくる。どうやら立ち直ったようだ。明るい口調で振舞ってる。
「確かにずるいわね。羨ましいわ」
ロングも肯定してじっと見てくる。
「そんな顔、映画でもドラマでもいないよ、なにその顔、とんでもない美青年じゃん」
ショートカットが褒めてきた。素直に喜べる。
「・・・妬ましい」
ボソリと目鏡が言う。目鏡怖っ。口元が笑っているから冗談なのは分かる。
「さて、こっちからも聞いていいか?」
「ええ、そうね」
ロングが答える。やっぱりリーダーはロングみたいだ。
「起きたときにはいなかったけど、白い空間で何があった?クラスメイト達はちゃんと話し合えたか?」
心配そうな声で聞く。
彼女達全員が浮かない顔になった。長い話になりそうだ。仕方なかったが、アリステア様に迷惑かけてそうだなこいつら。
情報収集と迷惑かけてないか確認だ。
ーーーーー
聞いだが、やっぱり話し合いにはならなかったそうだ。不安と混乱でアリステア様が来るまで口々にうるさかったそうだ。寝ていて良かった。
アリステア様が来てから、アリステア様の姿と異世界転移する話を聞いて男子の多くは興奮していたそうだ。あいつら・・・
この手の話だとチートを貰える展開だが、転移が事故で起きたことやもらえる力が少ない事実を聞いてパニックになった。男子も女子も阿鼻叫喚だった。怒鳴り、叫び、泣きと、まさに混乱だった。よく寝てたな俺・・・
アリステア様の救済策を聞いて一旦は落ち着いたが、無双できるわけではない事実に男子がまた騒いだそうだ。女子も不安で、男子の態度に苛立った。
このままだと話が進まないのでもっとも重要なことに絞って話を聞いたそうだ。詳しい話は省いたそうだ。
それで、選択で貰える力で三十九人全員が収納を選んだ。小説の影響を受けた男子の助言で。後は便利そうな力を皆が選んで異世界の物と持ち込み物を交換して、居心地の悪い空間とギスギスした空気に耐えられず、全員がさっさと転移したらしい。だからいなかったのか。
単独で転移したやつも、グループになって転移したやつもいる。女子は女子だけの仲のいいグループで転移したそうだ。男子は信用できなかった。
今回の事態でクラスメイト達はバラバラになった。転移先も、なんとなくの信用や信頼も。
「あー、うん、大変だったね。寝てて本当に良かったー」
のんびりと感想と本音を言ったら、全員からジト目で見られた。
「よく寝てられたわね、あんなにうるさかったのに」
「ホントだよ!一人だけ離れてあっという間に寝ちゃってたから驚いたよ!その後全く起きないし!」
「しかも教室から出ようとしたときはリュック背負って真っ先に逃げようとしてたし」
「あれには驚いた、何の躊躇いもなくドアを壊そうとしてた、凄い動きだった」
「いやー、照れるなー」
笑いながら言ったら、
「「「「褒めてない(わよ)(よ)(し)(・・)!」」」」
「冗談だ」
「「「「・・・」」」」
調子も戻ったようだし、良かった。
「それで良いの?俺も男子だけど?」
「別にもういいわよ、貴方マイペースだし」
「こんな事態だし!」
「他の男子よりは信用できるし」
「情報が欲しい」
最後は言わないのかし・・・
「「「「それに・・・」」」」
「それに?」
「「「「目の保養になる(((し)))」」」」
お、おう。意外と逞しい。話し合いもできそうだ。素直でよかった。
「じゃあ、女神様に聞いたこの世界の種族の話や、挨拶や食事、マナー、種族のタブー、やると危険なやつ優先で聞いたから完全じゃないけど、聞く?」
「「「「聞く」」」」
素直だ。それなら教えよう。
「あと、お嬢様方後ろをご覧ください」
手を向ける。
「「「「?」」」」
全員が後ろを向く。
「魔物と植物などの資料が御座います。この地域の魔物の生態系と植物の植生も御座います。持ち出し紛失厳禁ですが、何なりとご勉強ください」
そう言ってやった。最後の方は少し意地悪そうに。彼女達の苦い顔を見るのは面白かった。