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冒険者ギルドと宿

 受付嬢さんが顔を真っ赤にしながら紙を渡してくれた。可愛いから受付嬢さんと呼ぶことにしよう。ここに必要なことを書くみたいだ。頭にこっちの文字が浮かんだので書いていく。書いてる途中・・・


『見たか?』

『ああ、すげえ綺麗な顔だった』

『何しに来たんだ?』

『冒険者に成りに来たってよ』

『はあ!?マジか!?ありえねえ!』

ガヤガヤヒソヒソ


『あの顔で冒険者って』

『本当か?』

『よその貴族か?ここいらじゃ見たことねぇ』

『いや、あの顔なら噂になってるはずだ』

『よっぽど遠いところから来たんじゃ・:・』

『冒険者にならずにか?』

ガヤガヤヒソヒソ

 

 ヒソヒソ話してるみたいだけど全部聞こえてるよ。この身体はやはり耳も良くなっている。知識にも有ったが、やっぱりいるんだな貴族。書き終えたので渡す。


「はい、ペストさんですね。年齢は十八、出身はなし、特技は剣術と魔法ですか」

「旅人ですので」


 出身に記入しなかったことや魔法とだけ書いたことに含みを感じられたが、微笑んではぐらかす。


 エクスマキナは書かなかった。出身もだ。書かなくてもいいらしい。種族は基本見れば分かるので記入欄にはなかった。翼を出さなければ天使族だとバレることはないだろう。特技も剣術と魔法だけにした。


 異世界出身や全属性魔法を使えることや収納を書くのはどう見てもまずい。自分が強いかどうかも分からない状態で書く気はなかった。余分な情報は出さない。


「はい、できました。こちらが冒険者証です、登録料は銀貨一枚です。紛失したら再発行で大銀貨一枚になります」


 金属製のカードを渡される。


「ありがとうございます」

 笑顔で受け取る。受付嬢さんの顔がまた赤らんだ。登録料を払う。


「冒険者の説明を聞かれますか?」

「お願いします」


ーーーーー


「・・・で以上です」

「丁寧にありがとうございました、受付嬢さん」


 冒険者の説明を受けた。分かりやすくて本当に助かった。


 まとめるとこうなる。冒険者ギルドは基本どの国にも存在する。冒険者ギルドは冒険者同士の諍いには介入するし、一般人に手出しは御法度だ。問題を起こしたらギルドカードにもそれが書かれる。まあ、街の外だと発覚しにくいが。


 国同士の戦争には冒険者ギルドは介入しないらしい。前に痛い目にあってから止めたそうだ。しかし、冒険者に対して自己責任での募集はあるし、高名な冒険者には打診や、個人間で依頼されることもあるらしい。


 冒険者は冒険者ギルドに貼られる依頼を自由に受けて達成して報酬を受け取る。依頼は様々で、討伐から護衛、採取、調査と豊富で他にもある。


 冒険者でも税金は発生するので報酬からいくらか引かれる。その代わり門の出入りは自由になる。冒険者ギルドを通さない依頼には冒険者ギルドは介入しない。できない。


 依頼にも指名依頼や緊急依頼、非常依頼があり、指名依頼は断れるが、緊急依頼は断りにくく、非常依頼を断ることはまずできない。うわー


 冒険者ランクは青胴から始まり、胴、鉄、銀、金、白銀ミスリル神銀(オリハルコン)と上がっていく。金、白銀は人外とも呼ばれ、神銀の冒険者は現在存在しない。ランクが上に行く程、待遇も良くなり、知れる情報も多いそうだ。


 青銅は入りたて、銅が初心者、鉄が中堅、銀がベテランと呼ばれる。普通の冒険者は銀が限界と言われ、金から上は特別枠に近い。金は街一つ壊滅しかねない事態に対応できる冒険者がなる。白銀からはそれ以上だ。災害や天災とも呼ばれる事態に対応する。


 冒険者はランクで受けられる依頼が変わり、基本そのランクと上下のランクしか受けられない。上のランクはその依頼をこなせるか確認される。


 常駐依頼は依頼書を受付に持っていく必要はなく、ランクは関係なしで受けられる。塩漬け依頼は確認されるが、受けられる。


 ランクを上げるには、依頼の達成回数や成功度、働きぶりで細かく評価されるようだ。失敗すると違約金、何度も失敗するとランクが下がる。冒険者ギルドに背く行為は罰則、除名され、最悪懸賞金をかけられる。懸賞金をかけられた者は捕縛、討伐される。


 他でも可能だが、冒険者ギルドでは魔石や素材、採取物の買い取りも行なっている。依頼を受けずともランクを鉄級までならあげることは可能らしい。鉄級からは試験があるが。


 魔物や植物などの資料はギルドの二階で見ることができる。持ち出し不可能で、盗難や紛失には厳しい罰則、罰金がある。


 今日資料を見るのは止めよう。もう時間だ。お礼を言い、冒険者ギルドを出て宿に向かう。去り際に受付嬢さんと他にいた受付嬢や冒険者の騒がしい声が聞こえたが気にしないようにする。


ーーーーー


 受付嬢さんから聞いたお勧めの宿に着いた。宿代を払って鍵をもらい部屋に行く。食事は朝晩二回で、街の鐘が鳴ったら食事の時間だ。時間に遅れると食事はなしだ。


 街は朝昼晩深夜の計四回、鐘が鳴る。日が昇る頃には街の門が開き、日が沈むと門が閉まる。夜に街に着いたら、門の前で野宿するところだった。


 ここでも顔を見て驚かれた、理想の自分になりたくてなったが少し後悔した。ここの人達の顔つきやら背を見たが、彫りが深く背が高かった。


 部屋に入って鍵をかける。ベッドにタンス、机と椅子があり、洗面器と鏡もあった。彼処で髪も洗える。水が自動で出て驚いたが、これが魔道具のようで、魔石で水を出せるタイプだ。


 受付嬢さんから聞いた話だと結構良い宿だそうだ。条件にあった良い宿を教えてくれたので受付嬢さんには本当に感謝だ。食事にも期待しよう。


 ベットで倒れるように横になり思う。


 これから冒険者生活が始まる。ゲーム機やスマホが恋しいがもうない。取り敢えず今は情報収集して依頼をこなし、武器魔法の練習と魔力量を増やすこと、お金を稼ぐことに集中しよう。


 異世界で生きていく為に。


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