必要なこととホッヘルの街
手頃な石を拾い収納しながらしばらく歩いていると踏みしめられた土の道があった。人の使っている道だ。幅がある。道の上を歩いていく。
しばらく歩いて考えたことが幾つかある。4つに分けた。
1.街への到着、冒険者になる
2.冒険者として活動していくための情報収集
3.自分の実力の確認
4.自分の実力の向上
これらをする必要がある。1は絶対条件だ。安全な街に入って冒険者になり、宿を取りたい。夜目が効くみたいだから野宿でもいいが、魔物がいる。安全なベットで寝たい。
2も必要だ。知らなかったから、さっきのゴブリンみたいなやつを追い払った。本当に殺せるか分からないが、どう対処すべきか確認を取る必要がある。更に、鑑定能力で物の名前は分かるが植物などをどう採取すればいいかは全く知らない、このままだとアリステア様の好意の力が無駄になる。採取方法の情報も欲しい。金銭も稼がないと暮らしていけない。
3も重要だ。比較することは好きではないが重要だ。現状の自分の実力が分からないのは危険だ。冒険者になってこれも確認する。情報を集めて、初見の魔物相手でも逃げられるか、戦えるか検証する。これは手探りになるだろう。
そして4だ。身体能力や技術を向上できるか分からないが、魔力量は魔力を半分以上使えば絶対に増やせる。魔力を使い切っても悪影響はないから遠慮することなく使える。ただ、常に魔力を空にしても増えないそうだ。半分は回復させる必要がある。
安全な場所で魔力を使い切りたい。その為には街に入る必要がある。魔法で色々試したいこともあるから、しばらくは魔法の検証と魔力量を増やすことを優先するべきだろう。天使族になったから魔力回復は早い。成長の力と併せて早く増加することができるはずだ。
そうして道を歩いていると街の壁みたいなものが目に入った。あれが恐らく街だろう。まだ遠くて分かりづらいが大きいような気がする。日はまだ高いが真上は過ぎてる。歩こう。
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近くまで来ると、向こうから馬車が来て通り過ぎていく。馬車だった。こっちでも馬車が使われていることに安心した。御者がこっちを見たが驚いたような顔をしている。手を挙げて会釈する。こっちでの簡単な挨拶は頭を下げることはしない。そのまま通り過ぎた。
街はもうすぐだ。
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街の壁にたどり着き、門で通行料を払った。冒険者になれば通行料を払うことはなくなるらしい。払うときに門兵がこっちをじっと見ていた。さっきの御者も見ていたが、とんでもない美青年だからなこの顔。
「通ってもいいでしょうか?」
「あ、ああ、ようこそ、ホッヘルの街へ」
言葉が通じでいることを確認した。首手首から出ているヒートテックは気にされなかった、街に入ったので次は冒険者ギルドに向かおう。
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街中を少し歩いて、通行人の女性に目があったから話しかけた。というかがっつり見られた。
「少し聞きたいのですが」
「あら、何かしら」
「冒険者ギルドはどっちにありますか?」
「あっちよ。歩いていけばすぐにわかるわ」
指差しで教えてくれた。
「ありがとう」
お礼を言い、冒険者ギルドに向かう。
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冒険者ギルドに着いた。看板に絵と名前がある。着くまでにいくらか人とすれ違ったが、皆こっちの顔を見てきた。
冒険者ギルドに入る。扉の音を聞いて冒険者や恐らく受付嬢がこっちを見た、驚いたような顔でこっちを見ている。
受付まで進む。
「こんにちは。ここが受付で合ってますか?」
「は、はい、冒険者ギルドに何のご用件で?」
「冒険者に成りに来ました」
目を見て微笑みながら言ったら、受付嬢の顔が真っ赤になった。可愛い。