ビビり一家で救済作業
☆
風呂あがり。
と、言ったら?
銭湯ならビン入り牛乳かフルーツ牛乳のスライです。
しかし今日は牛乳は無いので、氷水割オレンジジュースで水分補給。
今年やっと収穫できたミカン。
摘花と摘果をしなかったからちょっと小振りで酸っぱい。
沢山取れたけども。
うーん、流通の仕事で離れてたタイミングだなー。
農業も楽しい。
自分で出来る範囲と言わず、素材が増えたから色々試したい事が多いんだよね。
「……ぷはー」
腰に手を当てる姿勢は、もはやマナーだと思う。
「父さんが居てくれて、良かったよ」
「俺は睨まれたがな……」
二人が背中を流すとか言い出したので。
全力でごめんなさいした。
父さんと一緒に入るからと。
「母さんが乱入しかけてこなくて良かった」
「アイツは入りすぎだ」
ふふふ、喜んでくれてるなら作った甲斐があるよ。
(作り手の喜びを知りやがって)
[? 前の世界でもこんな仕組みのモノは無いですよね]
そうかな?
色々試したから、何をどうこうしたかとか、参考にしたかとか、よくわからないよ。
「じゃあ、父さん、またね」
「忙しいな…… 気を付けていけよ」
[すみませんね、休む暇もなく]
手早く服を着て、風呂場から出る。
これからまた仕事。
風呂に入る前に、大地母神からの連絡があって。
精霊達が大きな境界の穴を見付けた、と。
北の大陸だが南寄りで、空を行けば一時間はかからない。
状態は悪く、小さな精霊では無駄に消えるだけの規模。
仮に塞ぐだけでもして欲しい、と。
仕方がないよね、状況が悪化しているんだから。
「あっ、出たのねスライ」
「ミカン食べる?」
「ありがとう、持っていくよ。二人とも、ゆっくりしていってね」
今夜は泊まっていくらしい。
母さんとパジャマdeトーク?
何を喋るのかは聞かないよ。
二人が楽しんでくれたら良いな。
(ん? 母さんの様子が……)
「私、一緒に行くわ」
[またこの母親は]
……言い出しちゃったよ。
「母さん……」
愛用の槍を持ち出してる。
鎧は足元にある。
すっかり臨戦態勢じゃないですかやだー。
「だぁって」
可愛く言っても、ねえ。
(なあ)
「遠いし、夜も遅いよ」
「それを子供が言うかな」
「場所もきっと地下になるし……」
「もしもの時に我が子を助けたいの」
「……本気なんだね」
今回は、いつになく譲らない。
少しも目を逸らさない。
「いつも割と本気なんだけど」
(じゃあ可愛すぎて食べちゃいたい、も?)
それは冗談以外ではないよ。
[仕方がない、急ぎましょう]
……良いの?
カレンさん。
[今回は、最大限急いで行かないと]
言い合う位なら連れて行った方が早い、か。
(スピードで母さんに勝る者なんて居ないよ)
それはそうだけど。
「無理を言うもんじゃない。ホントは俺も行きたいんだ」
あ、父さん。
ちゃんと言ってあげてよ。
「ダメよ。今回は…… 勘が、働いてる」
「……母さん?」
「無理って言っても、付いていくわよ?」
成る程、何かを感じているのか。
……なら仕方ないか。
「北の帝国内の街道から外れた場所の、『穴』の開いた場所まで真っ直ぐ飛ぶから。母さんの全速力だと追い越されちゃうので、加減して付いてきて」
「やったねアリガト女神様」
[仕方なくなんですからね]
(デレてない?)
仕方ない。
「えーっ、ズルい」
「お義母様だけなの?」
お泊まり二人からはブーイングだが、もう時間が無いんだ。
ごめんね。
世界へ持ち帰った天柱は解析も調整もまるで出来ていないから、今回現れた境界部には展開出来ない。
じゃあどうするか。
そりゃ出来るだけ、ですよ。
吸い込まれるだけの一方通行だと言うので、頼まれた通り「塞ぐだけ」をやります。
空間内歪曲、極点の抹消、歪曲面の平面化。
どれも空間魔法の上級です。
父さんに手伝ってもらえたら楽だったんだけど。
まあ『魔力吸気』を並列発動して、悪かった所を洗い出すのもやりたいし。
「じゃあバァンは抱えて持っていくよ」
「……え」
(おうふ、力業)
[鳥目で動きが鈍くなるのはライトアップでは防げないですよ]
うん、承知の上でしょ……。
マイナススキルという、負担や、負荷となるスキルがあります。
父さんの「鳥目」がそう。
明るさが減る度に肉体反応速度や精神活動レベルが下がります。
ずっと明るくなっていたら大丈夫らしいんですが、一度暗さを見てしまうと、もう低下状態になるのだとか。
「あ、戦力にしたいワケじゃないよ。両親が子供達を心配するのは当たり前なんだから」
「助かる。流石は俺の妻だ」
しかし立場逆じゃない?
「お姫様抱っこしてあげよーか?」
「お米様抱っこで頼む」
…あ、脇に抱えて持っていくか、肩に担いで持っていくか?
分かりにくい。
(俵担ぎって言えば分かる?)
あぁ、成る程。
じゃあ家族で出動決定だね。
「じゃあ、二人は留守番を頼むよ」
「私も行きたかった~」
「気を付けてね?」
玄関を出たら、「よっ」て声が聞こえたので振り向くと。
うあ。本当に父さんを肩に担いでる。
……母さんスゲエ…。
「いつでもいーよー」
(しかも余裕)
んんっ。
じゃ、まず風の精霊召喚。
上昇気流と追い風を作って、ガンガン加速。
「行っくよ~」
……最大限加速して、方向を確認、位置を捕捉、最短で目指します。
海の上を真っ直ぐに飛んで、風の音が喧しい中……。
「ねえスライ」
母が並走してきた。
速すぎい!
母のギフト、「空気の階段」で上空へ昇り、自由落下で加速、途中から足場をスロープ状の滑走路にして、スケート靴みたいなヒールで滑り進む。
ジャンピングスラストって言ってたね。
応用で、色々出来そう。
スゴいなあ、二人分の落下加速でこんなに速くなるんだ。
[日中だったら、この二人でも良かったワケですね]
「母さん速い~っ」
「いえいっ」
「父さん平~気?」
「掴まっているのがロギーなら安心だ」
逆転してるけど割とラブラブな様で。
(鳥目って種族スキルだっけ)
うん。
僕には発現しなかったけれど、翼人には付きもので、呪いと考えられていたみたい。
太陽光を浴びるまで、治らないって。
(夜は何かと不利になるもんなあ)
うん。
夜中なのに本を読み聞かせてくれたのが、どれだけ負担だったか。
感謝しかないよ。
[スライさん、もう少し……]
あ、呼び捨てでいいですよ。高度を上げますね。
目の前に北の大陸の山脈が聳え立っている。
この山があるから、北から海を越えて来る人間はいないんだよね。
「先に、あの山まで行って斥候するから」
「アリガト母さん」
母さんがこちらの上昇より高く、速く上がっていく。
そして滑走して進む。
(竜騎士のジャンプを彷彿とさせる)
あー、それかぁ。
僕は逆マスドライバーだと思ったよ。
僕は風の精霊の助けで滑らかに上昇。
『夏の突風』
冬だけど。
追い風を起こして尾根を越える。
(んで、やれそう?)
まっ、技術が足りなかったら…… 明るくなってから父さんに助けてもらうしかないよね。
とにかく精霊を犠牲にしないために陣を敷いて、しんぷう特攻隊をやめさせないと。
母さんと父さんが手を上げている。
尾根を、越えた。
肌がぞわっとした。
寒さではない、何だろ。
前方に異様な気配がある。
塊の様に大きな。
魔力とは違う、重たい……?
睨まれているみたいな…… これが異界の瘴気……。
[この汚染状態…… 新しくはない。悪化して見つかったのね]
カレンさん、早く行こう。
これは、体に悪そうだよ。
スライ・オーニス Level=15
年齢=6才 状態=臨戦態勢(疲労)
職業=精霊使い見習い 称号=神の愛し子・無属性魔法の確立者
ギフト=「壁無き友垣」対話、心理学、人類学、生物学、多言語の優良性
「狙い違わぬ指」目星、回避、隠密、追跡、投擲、技能数値への補助
スキル=「全種族魅了」封印中
「構成編集」
精神力向上(特)
集中力向上(特)
状態異常耐性(特)
常時体力回復(上)
常時魔力回復(上)
身体強化(特)
スキル倍加(特)
魔法倍加(特)
常時詠唱破棄
命の加護(周囲の闘争禁止)
稀人の加護(幸運)
英霊の加護(呪い無効)
学習指導(中)
悪戯耐性(中)
身体俊敏化level.5/10
片手剣術level.6/10
盾・両手操作level.6/10
演算強化level.2/10
魔法=無属性魔法
空間魔術(中級)
黒魔術(上級)
白魔術(上級)
精霊魔法(上級)
ミュゼラ・オーニス Level=0
年齢=6才? 状態=魂(スライの中)
職業=なし 称号=なし
ギフト=「狙い違わぬ指」目星、回避、隠密、追跡、投擲、技能数値への補助
「壁無き友垣」対話、心理学、人類学、生物学、多言語の優良性
スキル=「構成編集」
魔法=?
レモテトラ・ゴォド Level=21
年齢=19才 状態=恋愛(充実)
職業=鍛治士見習い 称号=なし
ギフト=「研鑽の重ね」目星、聞き耳、投擲
スキル=「眼の魔法」
炉の護り手(小)
道具整備(大)
併せの呼吸level.6/10
耐熱・耐火(中)
調理(小)
縫製(中)
身体機能向上(小)
調理師Level.3/10
活力付与level.4/10
魔法=無属性魔術(中級)
黒魔術(初級)
目線の魔法(中級)
テレコ・レクラス Level=14
年齢=12才 状態=恋愛(充実)
職業=治癒師見習い 称号=水耕の担い手
ギフト=「弛まぬ水車」回避、聞き耳、水泳
スキル=水流操作level.8/10
泉精霊魔術level.8/10
農作業(中)
調理(大)
縫製(中)
清掃(大)
調理師Level.7/10
魔法=無属性魔術(中級)
黒魔術(中級)
白魔術(中級)
バァン・オーニス Level=78
年齢=45才 状態=溺愛(永続化)
職業=魔術学校長 称号=賢者
ギフト=「遠き呼び声」気配察知、聞き耳、神学
スキル=黒、白、空間、精神魔術強化
常時異常回復
常時魔力微量回復
調理師Level.5/10
狩猟採集level.7/10
経営学(大)
鳥目(夜間視力低下)
魔法=黒魔術
白魔術
空間魔術
精神魔術
召喚魔術
ロギー・オーニス Level=74
年齢=35才 状態=溺愛(永続化)
職業=兼業農家 称号=騎士
ギフト=「空気の階段」高低差無効、跳躍、登攀
スキル=跳躍力向上(大)
剣術特化
槍術特化(大)
防御力増加(大)
弓術特化
調理(中)
直観力(小)
魔法=?




