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冒険は推奨レベルを超えてから~ビビりだけど幸せ求めてがんばります!~  作者: 爆微風


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33/50

ビビりの村はお祭り騒ぎ(収束)

毎年恒例。

それは、変わらないからいいのか、少しずつ変わっているからいいのか。




 ☆




 秋月の終わり。

つまり、収穫祭の終りです。

今日は収穫祭の最終日。

隠れ里ならぬ隠れ村では、宴をするにも騒がしさとは本来縁遠い。

しかしそれはそれ。

ここはここ。

この村には、元気を持て余した方々が沢山おりまして。

農作業が一段落した解放感と祭りの風に、気分も尚良くなりまして。


事が『飲み比べ』に至っては、騒がないわけが無い。

人狼(ワーウルフ)が倒れ、山羊人(パーン)が潰れ、半魚人(マーフォーク)がドミノ倒しになり。

人馬族(ケンタウロス)は既に眠り。

ドワーフとミノタウロスの一騎打ち。

僅差で今回はドワーフが勝ちましたが。

20秒後に笑いながら潰れていった。


ガラス工房の目途も立って、嬉しかったんだろーなー。

でも気炎を吐く鬼武者みたいな表情だった。


「さっき迄の酩酊者には治療が済みましたー」


はいはい、回復魔法はいらんかねー。


「いーのよほっとけば。明日地獄を見させてからで充分」


ミノタウロスの奥様はこんな辛口。


「こちらも、そのままにしておいてねえ……。苦〜いお茶を飲ませるわ」


キュクロプスの奥様まで辛口…… いや苦口。

あはは…… 怖。


そんな騒動の後、父が祭りの最後にやる事がある。

精霊への感謝の謳い。


神官達の祝詞奏上より後にやるというのがね。


多種族があまり神に敬意を持っていないのは分かっていたけれど、精霊崇拝に近い感覚があるとは思っても見なかった。


[ノーム達が隣人として居るのに、不思議ですか]


そうそれ。

楢のノームさん御一行様、我が村の地下に居住決定。

やったね父さん。

それは、まぁ置いといて。


精霊に属するニンフやノームがご近所さんなのに、何でかな?


[では、精霊を一緒に学びましょう]


はいっ、宜しくお願いしますカレンさん。

魔法や妖精や精霊が混じり会うこの世界、歴史の中に信仰がどういった形であるのかを知る材料があるというので、歴史のお復習(さらい)をします。


魔法上位のこの世界において、魔法の先達であり協力者の精霊は人々にとって隣人であり、神より身近な敬意を払うべき存在だった。


精霊は戦前まで知られていなかった。

技術的には高度成長時代。

南極圏のある洞窟の中で発見された光の精霊。

その存在に世界がひっくり返り、同時期に他種族達が公の場へと姿を現す。


更に大混乱。


他種族は協議交渉、保証制度の獲得など色々な軋轢もあったが、精霊に関しては観測と観察と歩み寄る程度の実験を繰り返すしかなかった。


その観察からもたらされた、魔素の存在。

魔法の技術。

世界の中の魔素を『どうにか利用する』機構の理解と、人への転用、実現性の可否。


……これもまた、神の要らん事しいが……?


[はい。理解出来そうなら魔術器官は人類に全部備えてやるよ、と]


うーん。

上から目線も神だから仕方無し。

人もソレが可能だと、魔術器官とその研究が始まり、魔術は高い権威と確かな現実味を広めていった。

最初期は『軍事利用』が主な研究者ばかりだったが、日常生活への展望、活用方法が見付かり、更に世界へと普及する。

他種族間での交流等も、魔法への適性が高い者からもたらされる解析結果も相まって深まっていった。


そんな時風に、魔法の研究者や人体解剖学から神秘主義も、魔法使いへの道筋を作り出すという意味から『魔導師』と呼ばれ、魔道具という言葉もこの頃生まれた。


それが、科学と魔法技術との入り混じったこの世界の歴史。


そして、精霊達は魔法と共に世界に無くてはならない存在として、人々に受け容れられている訳だ。


[神より親しく、生活に寄り添い、隣人でもありうるならば、敵対性より親和性を持ちますよね]


あ、そうだ。

質問が。

実体の無い精霊って、どんな在り方で存在しているの?

精霊魔法って、召喚って言うより呼ぶと近付いてくる感覚で、ポンッと出てくるって言うよりは、走ってきて『こンちゃ~っ』って感じだし?

分かり難いかな。


[幽体(アニマ)という一種の投影体ですね]


投影…… 体?

本体がズレた世界に居る、って言うか在るんだね。


[それは本体と言うわけではなく根幹に至る路と言いますか、その物の状態と認識してください。

精霊が世界に関わって居る時は、幽体(アニマ)と言う半励起状態ですが、世界に魔力を放つ、魔力を操作するという『行動』をしている時は現体(フェスタイ)へ変化するので、打撃を低減化等の防御手段は無くなります]


……触れるの?


[はい。とは言え精霊の在り方に起因するものですから、詳しくはまた解説しましょう。過去にあった精霊の観察も、観察者以外への敵対時の行動から色々と発見された様です]


認識し害意を持たれた瞬間に状態が変わる……。

精霊に敵対行動をしたり、害意を持たれている間はこちらから攻撃も出来るが、敵意を失った瞬間、攻撃は届き難くなる?


[そうですね、根幹は不滅ですし]


はぐれたアレみたいに逃げ出されたら追撃は出来ない、と。

しかし、物理無効ってワケでは無いのか……。


[世界への関わりで形が定まっていますから。其処に在るとなれば、一方的に加虐される事はないですよ]


うーん。

触れないイメージでした。


[触られるのを嫌がる精霊の方が主ですね]


あ、それはイメージ通り。

……あれ。

何で触れないのに触られるのを嫌がるのは思い付いた?

幽霊とかのホラー映画か?

固定観念、だな。

イカンイカン。


何かで得たイメージに引っ張り回されるのは、良くない。

一回、深呼吸。

目の前に、祭りの最後の『感謝の謳い』が始まっていた。


「……我らは

乾いた風から

掬われた

砂粒より生まれ

水に育まれ

大地に支えられ

火を愛し

森を愛し

海を愛し

空を愛し

世の巡りと理を信じ

陽射しと

月光に

一年の感謝を捧げる」


暫くの沈黙。

その場の皆が、思い思いに祈りの姿勢を取る。

篝火が爆ぜる音だけ、響く。


長い祈りの時間を終えて。


「……祭り火は

照らさる皆の

思いを運ぶ

世界よ暫し

静寂を」


広場中心の納火(ヒヌカザ)、これは村の家々の竈から分けられた灰を盛り、村長がご霊木を削いで作られた(やぐら)で囲んだもの。

竈の神様の居場所らしい。

火の精霊に香木と藁や籾殻、麦の茎や殻を焼いてもらい、そこから火を移して、松炭を燃している。


「眠り

目覚め

働き

食し

語らい

唄い

笑い

生きて行く我らに

自然からの恵みを分け与え

豊かなる糧を

共に育て

暖かな眠りを

守り 寄り添いくださり

感謝の 終得る事は無い」


……さあ終いの「謳い」の言葉だ。

と、その時。


「スーライっ」


どむんっ、と。

後ろから抱き竦められる。

母だ。


「母さん、お帰り」

「皆の治療、ありがとねー。偉い偉い」

「大した事はしてないよー」

「でも自分からしてくれたでしょ? エライぞー」


そう言って髪の毛をクシャクシャに撫でてくる。

いつもとは違う撫で方に、この匂い。

コレは呑んでるな。


「母さん…… 父さんは頑張ってるのにお酒飲んでたの?」

「注がれちゃったのよう。林檎酒(シードル)をちょっとだけよお、酔ってないからあ」


酔って無いと言う人は大概酔っぱらいだよ。

まあ、母は酒に弱いらしいから、仕方ないか。

祭り前日まで、配膳予定を神官(ティグル)さんと何軒かの奥様方が話し合って決めていた。

限られた食材でメニューや出す順番や日取りを考え、少しでも品数が増える様にと調味料等を出し合い食材を募りまして。

ウチ、父の魔法で食材の冷凍保存も担当しているのだけれど。


「いいじゃない、祭りの為なら」


と、我が家の去年までの蓄えの肉、果物を粗放出(ほぼほうしゅつ)しました。

今年も蓄えに回せる位に豊作だったから、無理はしてないと思うけれど。


「母さん、大丈夫?」

「へえきー。みんな楽しんでるうー?」

「応さ! 品数、飲み物、去年より豪勢だし」

「酒の種類も増えてんじゃん。やるねえ」

「今年も良い年だったよ」


暖かな視線が母に集まる。

母の頑張りは周りにちゃんと伝わっているね。

頑張りすぎだけど。

自然と、頬が緩んだ。

こちらを見ていた視線とぶつかる。

待ってくれていた父が微笑んで、終いの言葉を告げる。


「時の許す限り、共にあらん事を」


口上は終わり。

村長が、盃を上げながら『祭りの終わりの言葉』を言う。


「大地と空に、感謝を捧げる」


そして皆で、(コップ)を掲げ復唱する。


『大地と空に、感謝を捧げる』


全員が、杯を空けた。

拍手喝采。

再び談笑が広がった。


さて、どれから取り掛かろうか……。


終わりの言葉はあったけど、まぁ、まだ終わらないんだな。

後は『祭りで出された食べ物、飲み物の器が全て空になる迄が祭り』なのです。


全部の食べ物が無くなるまで帰れません。

大人達、早く復帰してくれないかなー。

……帰れまてん。


スライ・オーニス Level=9

状態=健康(鍛錬中)

職業=司祭見習い 称号=誠実な徒弟(神の愛し子)

ギフト=「壁無き友垣」対話、心理学、人類学、生物学、多言語の優良性

    「狙い違わぬ指」目星、回避、隠密、追跡、投擲、技能数値への補助

スキル=「構成編集(ストラクチャエディタ)

    精神力向上(大)

    集中力向上(大)

    身体強化(小)

    学習指導(中)

    悪戯耐性(小)

    身体俊敏化level.6/10

    片手剣術level.7/10

    盾・両手操作level.7/10

    演算強化level.2/10

    説法技術level.2/10

魔法=無属性魔術(上級)

   空間魔術(初級)

   黒魔術(上級)

   白魔術(上級)

   精霊魔法(中級)

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