ビビリは魔法使いになれそうです
絵空事が本当になれば、きっと大変なのだとは思いますが、やっぱり魔法はあったらいいなと思います。
☆
空を飛ぶの、憧れてました。
翼って、イイね!
羽ばたいてもあんまり浮かないけれど、グッと伸ばすイメージで「固め」れば、凄く長い距離を滑空したり、風切り羽根を開きながら風を受けて上昇したり。
飛んでる!
すごい。
スゴイ!
凄い!!
「寒い~!」
そう、空の上は、寒い!
物凄く寒い。
魔力操作で落下防止対策が出来ると御墨付きを父から貰い、喜んで羽根を鍛えて参りましたが。
「定温障壁」
落下防止の前に、体温の心配が必要だったよ。
服には「吹込防止」が掛かっていたけれど、保温のが大切だ。
いや、大分厚着してるよ?
「大丈夫かー」
父は全然平気そう。
あ、常時状態異常回復。
いきなり体温が下がったりしないんだ。
ううん、まぁ、仕方ないや。
「さ、寒くなってきたから魔法使ったよ」
「そうか? スライは寒がりだな」
賢者もチートスキル持ちだった……。
「ここら辺、風が強いが、まだいけるか?」
「もっと高く?」
え。
因みに只今、多分上空400メートル位で旋回飛行中。
地上の母の姿は見えない。
あ、レンズが光った。
あそこに居る。
……まだいける……?
「い、行きます!」
父が旋回軌道からやや下方向へ修正したその流れを、追い掛ける。
目と目の間に、もう一つの目を開くイメージで!
風を読み取れ、羽根と目と匂いで方向を理解して動け。
下は湿った匂い。
北は渇いた砂の匂い。
南は雪、西は潮、東は緑の草熱れ、上は乾き切った匂い。
風圧が羽根に拡がる。
もっと高く。
押し上げられ、更に増える圧力にしがみつく。
必死に父の後ろ姿を、追う。
その瞬間に風向きが変わるのが分かっているのだろう。
ゆっくり窄め、ゆっくり開くと風を受けて更に高く上昇する。
羽根の動きが淀みなく続く。
後ろを振り返る余裕もあるの?
普段動かさない場所の筋肉だから、つ、攣っちゃう!?
ま、ま、間に合え!
風の流れが変わる場所は羽根を窄め、いきなり風を受けない。
体の向きを変えてから、広げ、る!!
「いいぞ!」
父が手を上げてサインを出してる。
凄く余裕だ。
流石。
掌を水平に左右に振ってる。
えーと、気流を探して、旋回飛行。
あっ、う、わ。
高い!
ヤバい!
風に乗るって、本当にスゴイ!
ひえ~…… もうさっきの倍くらい?
「濃いな。もうちょい下に降りろー。横風が吹くぞー」
「うええぇ、ちょっ、よっ」
何とか安定させて、父に並ぶ。
「凄いなスライ。もう風向きの並を選べるのか」
「教えて貰った通りにやってるだけだから…… えへへ」
並とは、風が向きを違えている場所の事。
羽根を窄めてやり過ごした所だね。
一番危なくて、一番技術が発揮される場所だと教わった。
「あとは迫る並柱を感じ取れたら一人でも大丈夫だ」
って父うええぇ、それは無理でゴザルう。
「……何てな。お前には耳もあるし、直ぐに上達するだろうが、ちゃんと基本が備わるまで、一緒に飛ぼう」
「……はいっ。あー、良かったぁ」
因みに、並柱は突風とか、竜巻、気圧差の違い目における縦の風の事。
「迫る」という枕詞が付くと、突風だ。
上並だと上昇気流。
下並だと下降気流。
災害レベルではなくとも、僕らみたいなグライダー方式の飛行には少しの変化も影響が大きい。
読み取っていかないと。
父は風の流れが変わる様子を色で例えるけれど、そちらはサッパリ分からない。
勘なのか感性の違いなのか。
「さあ、ここからは翼を持つ者から、魔法使いの領分へ」
あ、次の授業が始まる。
「ヨロシクお願いしまっ、します!」
うわぁ、緊張する。
一つ目は、実践で超高空を体感する。
今までは精々100メートル位。
いや、十分高いからね?
二つ目は、風の魔法の実践。
黒魔術の、上級卒業試験だ。
中規模魔法までは、何とか実践できたけれど。
上位魔法や大規模魔法は、周りに与える影響が大きいので、おいそれとは使えない。
なので、上空、超高空。
ここからなら、大規模魔法も打ち出せる。
「最初は、停滞落下」
「停滞落下」
二人で同じ魔法をかける。
翼を畳み、周りに飛行中の生き物が居ないのを確認。
「よし、次は上位風魔法、双生竜巻だ」
「……天地に産まれし大気が使者よ、我が唱えに応じて来たれ」
風の魔法構築中。
大気中にどれだけ魔力を帯びさせられるか、目一杯拡大してみる。
「……響き渡れば颱風の興り、剥ぎ飛ばすは類無き腕」
「いいぞ…… がんばれ……」
父が背中に手を添えてコントロールを見守ってくれている。
「……其が成せる力の限り、我が前に示せ!」
これ以上伸ばせないと感じた場所まで、陣を張り、内側に構築した属性に対する祝詞を敷き詰める。あとは……。
キーワードを、言い放つ。
「双生竜巻」
うーん、中二。
しかし、効果は凄まじかった。
広げた陣の中、縦に二本の竜巻が産まれる。
地上の森には届いていない。
5、6分は発動したまま。
ゆっくりと治まっていく。
「……ふぅあ。凄い音」
自分達の結界を隔ててもなお、風音が響いていた。
「上出来だ。疲れてないか?」
父が頭を撫でてくれる。
「うん、ありがとう。疲れてはいないよ。ビックリしているだけで……」
「はっはー。じゃあ次も行けるな?」
「はいっ」
次は、大規模魔法。
「太古より天地が育みし大気が使者、昊央に座する大いなる翼の主。
我が声、唱えに応じ、望みの願いの叶うを招ず。
響く天に新たなる白、渡る風に水を飲ませ、塞ぐは陽射し、千万の雨滴を成せ」
……舌噛みそう。
これは天候を操作するという魔法らしい魔法。
「天候変化・雨天」
魔力が、うぅ、も、持っていかれる?
「……まだ……?」
魔力を吸い取られ続けて、1分くらい。風が起き、雲がかかり、風が弱まったら雨が降ってきた。
「よし、成功。合格だ。やったな、スライ」
天候操作は、凄く、疲れるぅ。
水の精霊準拠魔法である水化の魔法と、冷風の魔法と熱風の魔法のミックスだと理解してはいたんだけれど。
一遍に全部が並列で進むのは、予想以上の難易度だ。
「あっ、ありが、とっ」
呼吸が整わない。
深呼吸を三回。
「ありがとうございました。父さん」
「この雲の厚さなら、問題ない。じゃあ、ゆっくりと降りよう」
「はい、っくしょん」
あれ。
クシャミが出て、うっ、寒い。
「定温障壁が切れたのか?」
「っくしゅ、ひ、ひ、っくしゅ」
「大丈夫か? 雨が当たって余計に冷えたか。定温障壁」
「ありがとー」
「状態異常回復」
わあ、最上位の回復。
過保護ですわー。
父さんも過保護だよ。
「帰ったら、卵を貰ってくるからな」
村で薬と言えば卵。
ニワトリを飼っている村には、そんな気風がある。
特に家族に病気や怪我人が出たりしたら、食べさせる料理にはまず卵。
家にニワトリが居ない場合(僕んちですね)は、物々交換して貰ってきたり、医者に診せる前はそんな風。
「大丈夫だよ。父さんの魔法が効いたから」
「いいや、まだ駄目だ」
「何で?」
「母さんの温かい御飯も魔法と同じくらい、お前のためにある」
……父さんの耳が真っ赤……。
臭い台詞、恥ずかしかったんだね。
「……ありがとぅっ……」
無事に、魔法使いと認められました。
スライ・オーニス Level=5
状態=育ち盛り
職業=教師見習い 称号=誠実な徒弟(神の愛し子)
ギフト=「壁無き友垣」対話、心理学、人類学、生物学、多言語の優良性
「狙い違わぬ指」目星、回避、隠密、追跡、投擲、技能数値への補助
スキル=「?」
精神力向上(大)
集中力向上(大)
身体強化(小)
学習指導(中)
悪戯耐性(小)
身体俊敏化level.3/10
片手剣術level.6/10
盾・両手操作level.6/10
魔法=無属性魔術(上級)
黒魔術(上級)
白魔術(中級)
バァン・オーニス Level=78
状態=溺愛(永続化)
職業=魔術学校長 称号=賢者
ギフト=「遠き呼び声」気配察知、聞き耳、神学
スキル=黒、白、空間、精神魔術強化
常時異常回復
常時魔力微量回復
調理師Level.5/10
狩猟採集level.7/10
経営学(大)
鳥目(夜間視力低下)
魔法=黒魔術
白魔術
空間魔術
精神魔術
召喚魔術




