一方その頃~共和国編
他勢力とはまだ関わりませんが…… 世界観の触りです。
黒い狩人こと東方域、七ヶ国合併後の「共和国」。
教会の不正、腐敗が原因の帯域分裂戦争が勃発し、200年前、大まかな国境線が引かれた後、「多種族差別法」から発生した宥和政策、同盟関係、共闘体制から発足した「共和制」の後、現在の共和国が100年程前に生まれた。
「是正こそ運命」という国是を掲げ、亜種族を奴隷として発展し続ける亜熱帯地方の大国。
地方色豊かだが、商業が盛んで、商業都市や貿易港も多い。
☆
街と街を結ぶ商業行路を行き来する。
命懸けだが、金にはなる。
とても平和とは言えない道程の、護衛部隊の一員として雇われてから、早半年……。
「俺はしがない冒険者。
名はステン「ノートン」・ジドム。
得意分野は片手武器と弓。
狩人の息子でね。
日々、都市間定期輸送車を護り、Gと戦いGを蹴散らしGを追い払い続けている。
しっかしなあ。
そうなんだよ。
多過ぎねえかG。
昨日なんか50匹の大隊規模で襲われたんだぜ。
ほぼ蹴散らしたんだが一人攫われた。
畜生め。
惚れてた奴が追い掛けて行ったが、見付けたのは半日後。
間に合わず両手を折られ穢されていたそうだ。
Gに穢されたら即「堕胎薬」を使わないと手遅れになる。
知ってるだろ? 彼奴らの体液には意識混濁の毒がある。
毒の効果は長くて、しかし2日もしたら安定して堕ろせない。
赤児のGは2週間目には生まれちまう。
其奴らは薬を飲ませて街に取って帰ったが、どうなったかね。
おい、お前知ってるか?
離脱した奴らどうなったか。
……そうか。
……間に合わなかったそうだ。
やっぱり意識混濁のせいで薬がちゃんと飲めなかったんだろ。
だとすると治療院か教会の「拒絶」とか、高くつくが。
……仕方ないよな。
南では大鬼が縄張り作って道を塞いでるとか、西では豚鬼が子鬼を扱き使って大群になってやがるらしいとか。
……ああ? あー、悪かったよ。
Gは名前で呼ぶと呼び寄せるとか昔から言われててな、最近じゃ彼奴らの呼び方はGとか頭の文字で言うんだよ。
分かるだろ。
分かり難い?
お前さんどっから来たんだ?
肌が白いから北方か。
教会の関係者だったらすまないな。
高くつくとか言ってよ。
あ、違うのか、なんだ。
まぁいいさあ。
明日から、次の定期輸送車の護衛部隊の始まりだ。
次は西だぜ。
やれやれ。
西のが塩が安いらしくてね。
小麦を売りに、塩を買いに、商人ギルドから隊商も同行するんだと。
あっ、いけね。
これ内緒な。
アンタ美人だからなぁ、つい口が軽くなっちまった。
生臭い話から何から、聞き上手だよ。
ホント。
ん? いや、口説くつもりはねえよ。
向こうにデカいドレッドの女いるだろ。
あれ、俺の女。
部隊の事務と支援担当。
俺は名前だけの隊長さ。
体力と根性しか取り柄は無い、ただの冒険者。
あ、もう一つだけ。
目は良いんだ。
すまんな、その薬が何かはしらないが、飲んでねえよ。
暴れないでくれよ。
アンタの後ろの二人は警備員だから。
暫くは牢屋から出られないだろうから、そこの鶏肉くらいちゃんと喰っておいたらどうだ?
……おいおい。
人の話はちゃんと聞けっての。
体力自慢の冒険者に、酒場のナイフで切りかかるなよ。
片手に毒針持ってても刺さらなけりゃ意味ないんだ。
すまんが、胸元に視線を集めてどうこう出来るのは若いヤツだけだと知っておけよ。
何がしたいんだかはアッチで喋ればいいから。
……ああもう聞こえてないか。
すまねえ、ちょいと手加減しきれなかった。
片手で首をちょいと叩いただけなんだが…… 腕が錆びてきたかねぇ。
死んではいないから、後、ヨロシク。
……んん、焦臭いな。
ラディ! 他のも集合!!
コースを確認したい!
さっきのネーチャン雇ったのが何でも、厄介事には違いが無い。
さぁ、積み荷の点検作業をやり直せ!
帳簿を見直して、現在の価格高騰品や特殊銘柄は問い合わせするからな。
抗争している商家の話があれば聞かせてくれ。
ラディは付き合え。
口直しの後、商業ギルドに直談判だ」
………………………
ある商家で火事が起きた。
塩を扱う業者だが、身内に失敗が続き、相場を崩してでも早く稼がなければならない事態だったと。
知った事か。
☆
価格高騰を狙い、定期輸送車を妨害、または遅延させたかったのだろうから、下剤なんて盛られそうになったのか。
あのネーチャンは盗賊ギルドの一員で、流れ者だったそうだ。
身請け金は掛けてやったが、見舞金だ、好きにしろとも伝言してある。
被害者の一部だ。
俺達もあのネーチャンも。
商業ギルドから大体の内情と黒幕の商家を聞き出し、二人で制圧させて貰って、交渉はラディにまかせた。
素手格闘は久し振りだった。
ああ、スッキリした。
殺さないのはやっぱり難しいが。
今は鉄製の棍棒がメインだからなぁ……。
そろそろ斧に戻すか。
金も貯まってきたし。
斧は刃がない場所で叩けるが、棍棒は早さを間違うと死ぬんだよ。
ホント。
交渉だけだと逃げられちまうから、商家の主人をギルドまで引き摺って証文を作らせ、人質代わりの人身御供、商人の娘、息子計5人がギルドに預けられた。
☆
……それでコレだよ。
夜逃げしようとしてギルド職員と格闘して火の手が回ったそうだが、それにしても子供見捨てるとかどんだけだ。
と。
ラディから更に踏み込んだ内情が。
子供達は血の繋がりが全員無い?
孤児の内に引き取り読み書きを教えた商人候補、だったのか。
……なるほどなるほど。
それなら、仕方ないよなぁ。
な、ラディ。
おーし皆聞けー。
家族が増えるぞー。
またって言うな。
今度はインテリだ、かーちゃんの負担が減るに違いない。
ははは、俺の「錆びぬ戦車部隊」は軍団としては大規模だが、お前等が育て上げてくれる新人が、更に次の世代を育て、支えてくれると信じているから。
あの2人は帰ってきたか?
治療院から浄化薬買ってあったろ、全部くれてやってから、暫くは休ませろ。
こないだのネーチャンは弓を覚えたか?
いい、いい。
やらせてやれ。
結局あのネーチャンもTの被害者だったんだろ。
痛みを知ってるかどうか、俺がそこで判断したんだ。
あとは、帰る場所があれば、大丈夫だ。
そろそろ200人くらいだったか?
……え、そうだったか。
とっくにか。
ワリいな。
じゃあ、この国1番の軍団に、乾杯!!
今日は俺の直参がこのまま護衛部隊でネーチャンの敵討ちしてくるから、ラディは巡回がてら留守番な。
そろそろ俺の子供を産んで貰わなくちゃならんからなあ。
良い家でも探してくれよ。
はっ、分かってるって。
ホンモノのかーちゃんにしてやるから、待ってろっての。
俺は、やりたい事以外には労力をかけない主義だ。
家族みんなに安心を。俺の日々に活力を。
俺の家族を痛めつける亜人共には、絶滅を。
アイツら全てぶっ殺す。




