藍野聡はタダでは転ぶ気は無い
相変わらずの遅さで申し訳ないです
神月が休んだ。
LINEで体調が悪いということとプリント類は預かっててくれという旨が送られてきていた。
しかし、今日配布されたプリントの中には、締切が割と近い重要なプリントがある。
…これは、神月の家に行くチャンs、いやいや、家に行くべきことだろう。
そうだ、だって、重要なプリントなのだから。
最近はなんだか忙しいらしく放課後に会えなかっt、手伝いに来てもらうこともなかった。
…俺だいぶこじらせてる気がする、やばいな。
でも、仕方ないことないか?
教室で構うと怒るのだ。
目立ちたくないのに何するんですか?!と、怒涛のLINEがくる。
神月とのやり取りはおもしろいが、あまり怒らせて嫌われたくはない。
「はぁ……」
大きなため息をつく。
いや、だって、自分でも思ってるんだ。
いい大人が何してんだ、と。
年齢的には実はそこまで問題でもないのだ。
しかしいかんせん、立場というものが良くない。
俺は先生で、あいつは生徒だ。
いや、分かってる。
こんなこと考えてる時点でやばいのはわかってるんだ。
でも…どうしようもないからほんとに困る。
こんな時、あの優秀な甥っ子なら、上手いこと立ち回るんだろうか…。
俺もなかなかに優秀な部類に入る人間だが、あいつはまた別格なんだよな。
少し、神月に近い空気を感じる。
ぁぁあ!
余計なことにまで考えが及んでしまった。
うじうじとしてるからダメなんだな、よし、神月にプリントを届ける!!
行く直前に連絡を入れておけばいいだろう。
文句でもなんでもいい。
話したいと思ったんだ。
神月が生徒である限り関係を進めようとは思わないが…ただただ見守っているだけでいるつもりもない。
あいつに好かれるのは至難の業な気がするがー
「失礼しまーす」
「ぉお?!」
なんだ?!
「あ、やっぱり!先生居るじゃないですか、ノックしたんですから、返事下さいよ。」
え、まじか。
全く気づかなかった。
「あ、あぁ、すまない。考え事してて、気づかなかったみたいだ。」
こいつ、確か紫藤史也…だったよな。
まだ担任をしてないクラスの生徒の名前は覚えきれてないんだよな…。
だけど、こいつはそこそこ有名だから記憶にある。
うちのクラスの桃井桜と仲がいいとか噂がたっていたし、何より…神月と一緒にいると、噂になっているのを聞いた。
いい加減、生徒たちが口にする『地味子さん』が、神月のことを指しているのには気づいてる。
たしかになー…地味に見えるよなー…。
実際は地味とは程遠い見た目だったが。
「んで、紫藤は何の用だ?」
「今日、沙夜休んでますよね。だから、プリントを届けようと思って。今日の分プリント頂けます?」
………ちょっとまってくれ、処理する情報が多すぎる。
「えーと、神月、だよな、その、沙夜って…」
「え、当たり前でしょう?先生の癖に、自分の受け持つ生徒の名前も覚えてないんですか?」
覚えてるよ、むしろ一番に覚えたんだよ。
だから驚いてんだが。
「…いや、覚えている。ただ、あいつを呼び捨てにしてるやつがいるとは思ってなくってな…」
そう、あいつを呼び捨てだなんて、してる奴見たことない。
あいつの下の名前をまともに覚えてるやつすら、ほとんどいないんじゃないだろうか。
「あー、確かに彼女、あんまり人と関わらないですもんね。」
「あぁ、そうなんだよ。」
「まあ、ご心配なさらなくても大丈夫ですよ。沙夜はもうひとりじゃないので!」
「そ、そうか。」
どことなくマウントをとられている気分だ…。
あいつ、こんなにこいつと仲良くなってたのか?
そんな話、一切聞いてないんだが…?
「とゆうわけで、プリントください。」
あー!
そういえばこいつ、神月に届けるプリントを貰いに来たんだったか。
いや、俺が持っていきたいんだが…
「あー、別に、俺が持っていくからいいぞ。」
「いえ、先生も忙しいでしょうし、持っていきたいんすよ。」
こ、こいつ、直球できやがった…!
あー、先生じゃなけりゃ俺だってなぁ…
「あ、あー、そういえばプリントは持ってこなくていいから預かっててくれって連絡入ってたわ。だから、大丈夫だ。」
…嘘じゃないしな。
あとで俺が重要なプリントだったって気づいて届けに行ったっておかしくないはずだ。
「大丈夫ですよ。」
「…は?」
え、本人がいいって言ってんのに?
「俺からLINE入れてから持ってくんで。それに今日、結構大切なプリントあったじゃないですか。持っていきます。」
事前の調査をしっかりしてやがるこいつ…!!
「そ、そうか。わかった。プリントな…」
今回は諦めるしかなさそうだ…。
あいつが学校に来たら1回話そう。
話してて思ったが、こいつは神月のことを「よく」知っている気がする。
だが俺はそんな話は聞いてない。
…聞かないと、だめだよな?
「はい、これだ。うちの、クラスの生徒のために、ありがとな。」
そして、こいつも俺に対して何か思惑みたいなものがある気がするんだよな。
「…ありがとうございます。まあ、沙夜は、俺の、友だちなんで、お礼とかいいですよ。」
…ほらな、張り合ってきた。
「…そうか、よろしくな、紫藤。」
「…えぇ、藍野先生。」
今回は仕方ない。
「それじゃ、失礼しました。」
「あぁ、またな。」
神月をはさんでまた関わることがあるだろうと思ってそう言うと、紫藤は少し驚いた顔をした。
そして、少し思案げな顔を浮かべる。
そんな意外なこといったか?
「またな……なるほど。はい、また。」
なんだったんだ…?
まあ、全てはあいつが来てからだ。
ありがとうございました!
藍野先生は難しいですね。
大人なんですよねー、この人は。
あんまり考えなしなことさせられなくって、おバカな作者は頭をひねらせています。
そして、新年あけましておめでとうございます!
こんな遅々とした更新に付き合って下さりありがとうございます!
今年もよろしくお願いします!




