緑川涼の初恋と憂鬱
…大変遅くなってしまい申し訳ないです
しかも例のごとく長いわけじゃないやつです
びっくりした。
副会長の独り言とか驚くしかないよな。
しかもあんな…
『…あのまま逃がす気はありませんが』
副会長のあんな声、初めて聞いた気がする。
熱をもってるのに、背筋が薄ら寒くなるような声…。
相手の子にはご愁傷さまとしか言えないな、あれは絶対に逃がさないだろう。
…それにしても、ここ最近はこんな感じでちょっと今までと違う。
オレたち生徒会は元々それなりに仲良かったし上手いことやってきていたけど、やっぱりどこか線を引いていた。
それがここ最近は、その線が曖昧になっている。
原因は明確。
桃井桜、明良がオレたちと彼女を引き合わせた時から、オレたちの関係も変わっていっている。
…いや、大元の原因は、「あの子」の方か。
桜ちゃん云々は置いといても、正体不明の生徒がいるのはよくないということで始まったあの子探し。
まあ害は多分ないだろうと、そこまで本気ではなかったそれに、いつの間にか夢中になっている。
昨日、オレもあの子と接触(と言っていいのかわからないけど)した。
オレは昔から人の気配に敏感で、覗き見している存在にはすぐ気づいた。
それがまさかあの子だったとは思わなかったけど。
ほんとに、驚いた。
びっくりするくらい素早く逃げていってしまうのだ。
しかも二階の窓から外に飛んだのだ!
思いっきり追いかけていた桜ちゃんの亜麻色の髪と手が窓の外へと伸びていて、その先には長い黒髪をたなびかせて中に身を投げ出す小柄な少女がいて…
オレはほんとに驚いた。
綺麗だと思ったのだ。
どこまでも懸命に追いかけるひたむきな彼女の姿が、迷いなく飛んだ自由なあの子の姿が、とても綺麗だと思ったのだ。
…とんでもないと思う。
なんてタイミングで、しかも2人に。
オレは、恋をしてしまった。
最低で、最悪だ。
でも、どうしようもない。
オレだって何もこんなふうになろうとしたわけじゃない。
だけど、好きになってしまったんだ。
それぞれの個性を持って輝く彼女たちに。
「オレ、飲みもん買ってくるわ。」
昨日からグルグルとしている考えに行き着いたところで気分を変えるために自動販売機へと向かう。
悲しいことに、しかもこれがおそらく初恋なんだよなぁ…
「どーすんだよ、オレ…」
緑茶のボタンを押してそのまま手をついて項垂れる。
ガタガタとお茶が出てくるのを見下ろしながらため息をついた。
「はぁ…、一人は正体不明で、もう一人は絶対ライバル多数…か。」
いや、あの子の方も、たくさんライバルがいそうだ。
てゆうか、まず二人はやばいだろう二人は。
一人にしないと前に進めるものも進めれない。
一体全体どうすればー
「あの、そこ、いっすか?」
「え、あ、すまん!」
うわっ、びっくりした!
全然人がいたことに気づかなかった。
バッと振り向くと目に映るのは紫の髪。
確か…前桜ちゃんと仲がいいって噂になってた…
紫藤、史也、だったはず。
…桜ちゃん可愛いからな、こいつもきっと、ライバルなんだろうな。
「あ、あー、えっと、ごめんな、ちょっと考え事しててさ。」
「いえ、大丈夫っす。」
…普通に良い奴っぽい。
はぁ、なんか、思ったより自分が厄介そうな性格してそうで憂鬱になってきた。
ため息を押し殺して(さすがにここでため息は彼に勘違いされるだろうから申し訳ない)緑茶をサッととり場所をあける。
「…じゃ、またねー」
「え、あ、はい。」
きっと、また関わる機会があるだろう。
彼の方としてはまだ全然わからないだろうけどね。
戸惑った様子を見せる彼に、少し笑いが込み上げてくるから、それを咬み殺すのにまた苦労した。
ありがとうございました!
ほんっとに申し訳ないです!!!
なかなか時間がなく、ほんとに遅々とした更新になってしまい…
作者は時間が欲しいと切に願っております…
ただ、どれだけ時間がかかろうと必ず最後まで書ききりますので、長くお付き合い頂けたら幸いです
感想等本当に励みになっております
これからもよろしくお願いします!




