エリナの記憶
自分でも書きながら、え、なにこれ?ってなってます。
私は家の近くの公園で座り込んでいた。
前世の記憶が急に沙夜の中に流れ込んできて大変混乱しているからだ。
むしろよくここまで移動できたな私。
自分で自分をほめてあげたい。
それにしても…
「うぅ…絶対私の脳みそ悲鳴上げてる…。若くして死んだとはいえ、人ひとりの記憶が一気に増えるのってしんどい…。」
と、とりあえず、記憶をちゃんと整理していくんだ!
前世の私はエリナとゆう女の子だった。
病弱で、ちびで、ぶすだった。
それを思うとほんとに今世の私の見た目はいいな。
ちびなのは改善してないけど。
私がすごく身長に関して何か言われるのが嫌なのは、前世も関係していたのかもしれない…いや、普通に嫌なだけかな。
まあ、そんな感じだったエリナは、当然のように幸せとは言えない人生だったわけだ。
家はまあ裕福だった。
学校に送り迎えしてくれる人がいたりするくらいには裕福だった。
そういったことで苦労をしたことはない。
両親は共働きでほとんど家にいなかった。
まあお世話をしてくれる人がいたからそこも問題はなかった。
私の前世での一番の不幸は兄がいたことだ。
兄は優秀だった。
頭いい、運動神経いい、見た目だって悪くなかった。
この世界の基準だとセリフのあるモブ程度の顔ではあるけど、前世では確実に良かった。
性格は最悪だったけど、外面がよかったから兄は多くの人に愛されていた。
でもあの兄はとことん、とことん性格が悪かった。
常日頃から人を見下すような奴だった。
にっこり笑ってる顔を何度か目にしたけど、その薄っぺらさに寒気を覚えたものだ。
まあ、私にはその笑顔さえほぼ向けられることはなかったけど。
兄はそうやって外面を作ることでたまったストレスを私で発散していた。
人前では優しい兄を演じていたからその時はたまに笑いかけられたな。
エリナの時はその程度のことで少し喜んでいた。
その笑顔すら向けられないのはその程度の価値すら自分にないといわれているようなものだと感じていたからだ。
今となってはなんて馬鹿だったんだろうって思うけど。
たぶん今あの笑顔を向けられたら確実に鳥肌が立つ。
…今まで漠然と恐怖を感じていた副会長の笑顔と視線に対する恐怖の正体がはっきりしたからもう今回みたいな事態にはならない…と思う。
副会長は、兄とは違う。
でも、前世をはっきり思い出したことでほかのことに対する恐怖心まで思い出しちゃってるなぁ。
例えばさっきみたいに突然強い力でつかまれるとか、あーゆうのはだめだ。
あの後はたいてい痛い思いばかりしていたから、それがフラッシュバックするから無理。
他にもいろいろとまずい気がする。
冷たい視線なんかは前よりも耐性がなくなってる気がする。
副会長に至ってはもう記憶の揺さぶりによる頭痛とかはないだろうけど、エリナの時の恐怖心がよみがえるようになってしまっている気がする。
思い出すとどうしようもなく怖くなる。
更にエリナは兄主導のいじめを受けていた。
兄はいわゆる学校のボスみたいなやつだった。
このままだと地味子さんをやり続けられなくなる気がする。
…視線の針に耐えられる気がしない。
「え、まじめにピンチじゃん。」
本気で恨むぞ、お兄ちゃん。
私は沙夜なのに!乙女ゲームの記憶があるのはハッピーだったけど、なぜ今更前世にここまでこれからの人生を邪魔されなきゃいけないのさ!
わけわかんなーい!!
それもこれも副会長のせいだ!(私が勝手に自爆してるんじゃないのかとかそんなのは一切聞かない!)
「はぁ…、明日からどうしよう…」
一晩経てば少しはましになってくれるかな…。
マジで私の人生ハードモードすぎない?
てゆうかさ、こーゆー前世のトラウマって思いだしてから発症するものだったっけ?
もっと子供のときとかに出てきそうなものだけど…。
あるいはかすかに思い出したときとかに出ててもおかしくないよね?
ここまで強烈な恐怖をあおってくるようなものなんだし。
それとも、私の中で乙女ゲームに対する比重がでかすぎたのか?
ありえそうだな。
たぶんきっとそうだ。
「とりあえずそろそろ帰ろう。母さんが心配する。」
ぐるぐるとそんなことやらこれからのことを考えながらようやく私は帰宅した。
私はほんとに混乱していた。
人ひとりの記憶が一晩で整理できるもののはずがないこととか、小さい頃のことを考えたりしたくせに自分の小さかった頃のこととかを全く思い出していなかったことに何の疑問も抱かなかったのだから。
ありがとうございました!
シリアス感あふれさせて書くのは違う気がしてなるべく軽く書いたつもりです。
作者混乱中です。
とりあえずフラグ的なもの立てときました。
色々と回収していきたいです。(あくまで希望)
次は読者様が提案してくださった沙夜ちゃんの家庭の話を書く予定です!
私のつたない文章を見守ってくださりありがとうございます!
これからも頑張りますのでよろしくお願いいたします!