朝
「ふわぁ...」
ん、朝か。
昨日は少し焦ったなぁ。よし!
しっかりしなくちゃ、今日からはもっと忙しいんだから!
昨日のはまだ序の口、本番は今日からだ。
イケメンたちと桜ちゃんの出会いとか、しっかり尾行するんだから!
「ん、んー!」
ぐーっと体を伸ばして起き上がる。
すると大きな姿見に映る自分が見えた。
うーん、悪くないなぁ、この姿。地味子さんになるんだけどさ。
さーて、準備するぞー!
お、学校が見えてきた。
これから毎日この道を歩くのかー。なんか楽しいな。
確か今日は白川先輩が校門で桜ちゃんを待っているはず。
ほら、女の子たちが遠巻きに白川先輩を見ている。
あの中に紛れ込もうかな。
「失礼します...」
よしよし、ベストポジションゲットだぜ。
あ、桜ちゃん来た~!
しかし桜ちゃんは周りの人など気にもせず、さっさとくつ箱へ向かおうとする。
あれ、なんか急いでる?
「おーい、桜ちゃん。待ってよ。君を待ってたんだ。」
「何か、用ですか?」
「うん。君のこと、知りたいんだ。」
とびきりの甘い顔で白川先輩が言う。
周りの女子がときめいちゃってるよ、桜ちゃんなんかむしろ嫌そうな顔してるのに。
「私は先輩に知ってほしいとか思ってないんで、結構です。それじゃあ、急いでるんで。」
ん?なんか私の知ってるセリフと違う。
やっぱり急いでるんだ。ゲームではそんなことはなかったと思うんだけど。
「えー、どうして急いでるの?」
「先輩には関係ないです。」
「言ってくれるまで、逃がさないよ。」
あ、あれー?全然知らない展開だよー?
「...はぁ、別に、昨日帰りにすれ違った子を探したいだけです。」
「へー、どんな子?」
「...ポニーテールの子」
なぬっ!それって、まさか...。
「くつ箱で、会ったんです。」
やっぱりー!私だー!
えっ、なんで?私、何かしたっけ?
「ポニーテールか...。」
「先輩?」
「桜ちゃんはどうしてその子を探してるの?」
「知ってる子の気がしたからです。昔の。名前も思い出せないけど。」
私にそんな記憶はないですがっ?!
「それって、鏡の子かな。」
「は?なんですか、それ。」
「俺もポニーテールの子、探してるんだよねー。」
マジかっ!私はモブってゆったじゃんか!
「何でですか?」
そうそう、なんで?
「うーん、ちょっとねー。(自分をモブなんていう子、気になるじゃーん)」
「なんですか?最後聞こえなっかたんですけど。」
私も。
「別にー。」
気になるよー...とゆうか、これもう完全に私の話になってる気がする。ヤバい。
ここから逃げよ。ばれないと思うけど、万が一があるし。
なんか私の知ってるのと違う感じになっちゃてるし、教室に行っちゃおっと。
私はこそこそと離れていった。
ありがとうございました。