イケメンは遠くから見るに限る
色々振り回されて最後は石原さんの謎発言に完全にキャパオーバーを起こして逃げ帰った翌日。
私は悩むことをやめた。
だって、もうサヤカになることなんてないし、石原さんはもちろん金森先輩と関わることもほとんどないもん。
きっと考えるだけ無駄なのさ!
今日はイベントがない。
見て癒されたい気もするけど、ここ最近は疲れることばっかだったから何も無い日をのんびり過ごすのもいい気がする。
よし、決めた!
今日はイケメンにも桜ちゃんにも近づかない!
いつも以上に影を消して空気と同化することを意識しながら過ごした。
おかげで静かに過ごせた。
最近なんだかんだゴタゴタした日々だったからなぁ。
いや、自業自得なんですけどね?
「沙夜ー!帰ろー!」
「あ、琉理ちゃん。」
何事もなく放課後を迎えるなんていつぶりだろうか。
ちょっとテンション上がる。
「ねぇ、琉理ちゃん。どっか行かない?」
その上がったテンションに後押しされて琉理ちゃんに放課後友だちと遊ぶとゆう話にしか聞いたことのなかったことをしないかと提案してみた。
だって、今までそんなことする友だちいなかったんだもん!
「沙夜、今日時間あるの?」
「うん。」
「わ、やったぁ!行く!どこ行く?!」
思ったより喜んでくれて嬉しくなる。
あーやっぱり琉理ちゃんは天使だ。
琉理ちゃんの幸せの為にも、私頑張るよ!
逆ハーレムルート、絶対クリアするからね!
桜ちゃん頼みだけど!
「んー、琉理ちゃんの行きたいとこがいいな。」
デートする場所に公園しか出てこない私にはここら辺でいい所なんてわかるはずもない。
「あたし?うーん、それなら…あ、そうだ!」
「どこどこ?」
「『コビトの家』に行こう!」
…コビトの家?
ついてきて!
と歩き出した琉理ちゃんに連れていかれたのはとっても素敵なカフェだった。
なるほど、ファンタジーな世界に召喚とかじゃなくて良かった。
乙女ゲームの世界に生まれたくらいだし無くはないなと戦々恐々していたのだ。
ほんとによかった。
「素敵なとこだね!私初めて見た!」
「へへっ、沙夜が喜んでくれて嬉しい!ここのパウンドケーキすっごく美味しいんだ!」
「へー!食べたい、早く入ろ!」
「うん!」
パウンドケーキかぁ!
楽しみだなぁ、甘いものは最高さ!
カランカラン
「わぁ、中も素敵だね。どこの席にしー」
クルリと体を反転させて琉理ちゃんの手を引っ張る。
「さ、沙夜?どうしたの?」
なんで、なんで、なんで?!
今日はゆっくりしたいんだってば!
なんでこんな所にいるのよ!
「琉理ちゃん、ごめん今日は別のとこにー」
「ん?お前ら、確か桃井のクラスのやつじゃないか。」
…くそぅ、遅かったようだ。
見つかってしまった。
「気の所為ではないですか。」
「気の所為じゃないな。だってお前、神月だろ?」
逃げることも叶わないか…。
なんなの?イケメン様って自由に強制イベント起こす力でも持ってるの?
この世界イケメン様に対して甘過ぎない?!
「…お久しぶりです、生徒会長。」
振り返った先には、黒木春人生徒会長様がいらっしゃった。
「食べないのか?」
「いえ、食べます。」
なぜ私と琉理ちゃんは生徒会長様と同じ席でパウンドケーキをもそもそと食べる派目になっているんだろう。
神様が意地悪すぎる。
今日は学校で大人しくしてたのに、安心しきった放課後、しかも学校外遭遇することになるなんて。
琉理ちゃんの機嫌も急降下しちゃってるし。
仮にもこのイケメン様たちを桜ちゃんと取り合うライバル役なのにい殺さんばかりに睨みつけてしまっている。
…私のためなんだろーなぁと思ったら嬉しくなっちゃうから困る。
「あ、あの、何か御用でしょうか?」
とりあえず生徒会長様に聞いてみる。
この会長様と顔を合わせたのは教室で白川先輩に絡まれた時だけど、言葉を交わすことも無かったはず。
なのに何故こんなふうに同じ机を囲むことになっているのか。
学校の人に見られたら絶対またあらぬ噂がたちそうで気が気じゃないんですけど。
さらにこの人と私の接点といえば桜ちゃんと私探しの話くらいなのも私のストレスを強くする。
「ん?いや、特に用はないな。あえて言うなら暇だったからだ。」
…は?
え、今なんて?
暇だったから?
そんな理由なの?
「は、はあ?!そんなくっだらないことであたしと沙夜のデート邪魔したの?!」
琉理ちゃんが怒った…!
デートとか何やら不思議な単語が聞こえてきた気がするけど私も同じことを思っていた。
そーいえばこの人俺様キャラだった。
「邪魔?この俺と話す機会なんて滅多にないんだぜ?喜んでもらいたいくらいだ。」
「は、はあ…?」
あーあーそーだよ、こーゆーキャラだったよ。
ワガママで自己中なギャップ萌えるとか思ってたけど自分がそれに晒されるとひたすらにイライラするわ。
琉理ちゃんも唖然としている。
「あの、別に会長と話したいことないんで席移動していいですか?」
あなたは桜ちゃんとキャッキャウフフしててくれればいいから、モブのことは放っておいてー!
「…お前、すっげークールなやつだな。そーいや初めて見た時もそんな感じだったし。」
ひとの話を聞けー!
「そんなことないです。私は平々凡々なただの地味な人間です。それよりー」
「沙夜は地味じゃないよ!」
移動していいですか?って言おうとしたら琉理ちゃんに遮られた。
なんか、琉理ちゃんの目に映る私は特別な仕様がかかっているようなのだ。
私の見た目後地味だとか聞くと必ず否定してくるのだ。
言ったのが私自身でもだ。
なんとゆうか嬉しいんだけど、むず痒くなるのでやめて欲しい。
「沙夜はね、すっごく優しくて可愛くって、なのにとっても綺麗でかっこよくて頼りがいがあって…」
ふひゃぁぁあああ!
「待って、待って、琉理ちゃん、ストップ!!恥ずかしいから!私そんな素敵な人じゃないから!」
「何言ってるの?沙夜はとっても素敵だよ!」
「あ、ありがとう…。」
顔から火が出そうだ。
「琉理ちゃんの方が、可愛いし優しいし、とっても暖かくて、私のために怒ってくれるとことかかっこいいよ。」
「沙夜…」
琉理ちゃんを見つめて言う。
私なんかと違って琉理ちゃんは天使だからね!
「…おい、二人の世界に入んな。」
琉理ちゃんと見つめあっていたら生徒会長様に声をかけられた。
ついうっかり忘れちゃってたぜ!
「あ、すいません。」
「空気読んでいなくなってくれれば良かってのに…」
ボソッと琉理ちゃんが呟く。
小さな声だったけどしっかりと生徒会長様の耳に届いてしまったらしい。
「あぁ?テメーさっきから先輩に対してなんなんだその態度。」
あぁぁぁぁ!もう!
このまんまじゃあ琉理ちゃんと生徒会長様の関係とかがゲームと大きく変わっちゃうー!
そうなったらもうほんとに何が起こるかわかんなくなる!
なんでよ!私はただただみんなが幸せな逆ハーレムルートをこの目で見たいだけなのに!
今日なんか、何も悪いことしてないのにぃ!
いくらなんでもひど過ぎない?
てゆーか生徒会長様がワガママ過ぎんのがいけないんじゃん。
そーだよ、生徒会長が悪い!
「会長、お言葉ですが。」
「なんだ?」
「そもそも用もないのに生徒会長とゆう一般生徒をいるだけで圧迫させる人が同じ席に座らせたりするのが間違ってるじゃないですか。先輩に対してとおっしゃいましたが、会長こそ先輩のくせに後輩に対して気遣いが足りてないのでは?先輩だからといっていばらないでください。まずこちらがきちんとした態度をとって接しようと思えるような先輩になって下さいません?会長は大変見目麗しいので何しても騒いでもらえたのかもしれませんが、はっきり言って先輩の態度はワガママで自己中なめんどくさいやつです。」
口を挟む余裕を与えず一気にいいきる。
最近色々あったストレスも相まってかなりズバッと言ってしまった。
「…失礼な事言ってすいません。私たちは帰らせていただきますね。」
琉理ちゃんの手を引いてササッと会計を済ませて帰る。
いやー、またやらかしちゃった気がする。
絶対ムカつく嫌な奴だと思われただろうなぁ。
いや、でもいっそのことこうやって嫌われちゃえば近づかれることもないだろうしいいかもしれない。
琉理ちゃんに対して抱いた苛立ちとかも私に向いただろう。
「琉理ちゃん、急にごめんね?また今度行こ?」
「え、あ、ううん!沙夜が気にすることないよ!」
「そ、そう?」
チラッと琉理ちゃんの顔を見たらなぜがキラキラした目で見られてた。
…まあ、嫌な気持ちにさせてなかったならそれでいいのさ!
激しく疲れた私はいろいろと考えることを放棄して強引に良かったことにした。
店を出る私を見つめる生徒会長には一切気づかずに。
ありがとうございました!
とりあえず次に絡む人を生徒会長に決めた回ですね。
フラフラした頭で書いてます。
おかしなとこはぜひ教えてください。
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これからもよろしくお願いします!




