休日にイケメン様はいらない〜金森勇side〜
遅くなって申しわけありません。
タイトルが変になってるのに気づいて直しました。
すみませんでしたー!
「ん、んぁ?」
あー、朝か。
今日の予定を思い出して憂鬱になる。
あの肉食獣のような女と(手伝いを頼んだ側だが)あの絶妙に心を抉ってくる女と会わなければいけない。
とてつもなく疲れる予感しかしない。
「…くそっ」
でもうだうだとして遅れでもしたら確実にあいつは辛辣なことを言ってくるだろう。
知り合ってから大して一緒にいないのに何故かそんなことは理解してしまっている。
仕方なく起き上がって準備を始める。
テーシャツにジーパン、髪は寝癖を直すだけでいい。
…見た目を気にする気がないから割と早く終わったな。
あの真面目女に合わせて少し前に行ってやるか。
仮にも手伝いを頼んだ側だからな。
俺にしては珍しく5分前に移動した。
「あいつ、いねーじゃねぇか。」
途中ちょっと変なやつに絡まれたけど早めに出ていたおかげで3分前くらいには待ち合わせに着いた俺は予想外の事態に驚いた。
あいつのことだから5分前には着いていそうなものなのに待ち合わせ場所には本を読んでいる少女しかいなかった。
なんだか勝ったみたいで気分がいい。
俺は上機嫌で待ち合わせ時間が来るのを待った。
…そう、待っていた、が、
「さすがに遅くねぇか?」
もう約束の時間から10分も経っている。
いくらなんでも遅いだろう。
スマホを取り出してこの前追加された番号に電話をかける。
すると3コールくらいですぐに出た。
トラブルに巻き込まれてって訳ではなさそうだ。
『はい、どうしたんですか?ちょっと遅くないですか?』
は?
遅れてんのはそっちだろ?
「あ?お前こそどこだよ。待ち合わせ場所にいるんじゃねーのかよ。」
すると訝しげな声が帰ってくる。
『いますけど?』
「は?どこだよ、なんか本読んでるやつしかいねーぞ。」
チラリとその方向をむくと、その少女は本を読んでいなかった。
あれは…電話に出ている?
ま、まさか…
『それが私だと思いますよ。先輩どこですか?』
その後あいつだという少女がぱっと顔を上げて何かを探すようにキョロキョロと視線をさ迷わせ、俺を見つめて立ち上がった。
そのままこちらに走りよってくる。
まじでこいつがあいつなのかよ…!
「先輩、私のこと忘れてたんですか?こんな事頼んどいて。」
確かにこの声はあいつだ…。
でも認めたくない、こんな、こんな…!
「は?お前、神月?」
否定してくれないだろうか。
そんな甘い期待はあっさりと切って捨てられた。
「はい。」
マジかよ!
あんな地味なやつがここまで化けるか?!
最初見たときちょっとクールで綺麗なやつだなとか思っちまったじゃねーか!
つーか、こいつ!
「お、お前、化粧すんなって言ったろーが!」
「え、あ…。」
あ…。じゃねぇよ!
あの肉食獣とはタイプはまるっきり違うが、これはある意味困る!
「あー、すいません。でも顔変えるのにはちょうど良かったし、別に薄ーくしてるだけですし、かわ-」
まだ何かを言っている神月の言葉はもう耳に入っていない。
今こいつなんて言った?
「は?その化粧薄いのか?」
マジマジと見つめてみると確かにあまり厚化粧をしている感じではない。
むしろナチュナルメイクと言われる方がしっくりくる感じだ。
「え、そうですよ?顔は変わるようにしましたけど。」
まぁ印象はだいぶ違うが…。
もっと地味なもんだとばかり思っていた。
学校じゃあよく言っても中の下程度の見た目だと思っていたが、これは十分上に入る見た目だ。
「あー、マジかよ…。いや、でも、タイプは違うからいいのか?てゆーかもうこいつ連れていくしかねぇし…。」
覚悟を決めるか。
「何ブツブツ言ってるんですか?わざわざ休日潰して来てるんですよ!さっさと会って終わらせたいのですけど。」
「あ、あぁ。」
大丈夫、中身はこれだ。
耐えきれる。
「あ、そうだ、神月。」
肉食獣を退治する準備はしっかりしないとな。
「なんですか?」
「仮にも彼女ってことなんだから、敬語はやめろよ。」
敬語やめたらもっとむかつく感じの態度になってくれそうだしな。
「先輩なんだしいいと思うけど、相手のこと知らないし従ったげる。でも私のこと神月って呼ぶのはやめてよね。バレちゃうじゃん。」
思ったより距離が縮まった感じがしてある意味逆効果だった。
「あ、そうだな。ならなんて呼べばいいんだ?」
「苗字はいらないですし、私の名前から取ってサヤカにします。間違えても誤魔化しやすいですし。」
あ、敬語になってるな。
「わかった。敬語、気をつけろよ。」
「わかってる。金森先輩…ってこれも変えた方がいいかな?」
あー、あの肉食獣も俺の事勝手に名前で呼んでるし、こいつにもそうしてもらった方がいいだろうな。
「そうだな。勇って呼んでくれ。」
「…一応先輩だから、勇先輩でいい?」
「…っ!」
小首傾げながらのそれはずるいだろ!
「あ、あぁ。」
なんとか返事を返す。
…正直に言おう。
俺はこの見た目がタイプなのだ。
一番不安なのは平静を保てるかどうかなのだ。
頑張れ俺!こいつの中身はあの辛辣な毒蛇だ!
「よし、行くぞ…!」
「え、は、はい。」
密かに覚悟を決めた俺に神月がびびっているなんて俺には知る由もなかった。
ありがとうございました!
風邪ひいてダウンしておりまして、更新が遅くなってしまいすいません。
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