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くつ箱

  このゲームの第一イベントは入学式の放課後にくつ箱で起きる。

 忘れ物をして少し帰りの遅くなった桜ちゃんが学校一のチャラ男である白川明良(シラカワアキラ)先輩にからまれるのだ。

 なので私は先生のお手伝いをして下校時間を遅らせた。

 ちなみに尾行の鉄則として変装をしている。

 といっても眼鏡を外して前髪とめてポニーテールにしているだけだけど。

 後は名前のわかるものをはずして鞄に入れた。

 とても地味子には見えないし何とかなるでしょ。

 地味な姿を生かす方法として普段の私と全然違う印象にしてみた。

 実は私とっても運動神経がいいんだよね。

 地味子的に必要ないとゆーかむしろ必要ないステータスだから秘密にしてるけど、運動好きなのさ!

 だから、尾行しているのがバレても逃げられる。

 地味子さんと尾行少女を結びつけられるとも思えないし、ただの不思議な子になれるはずだ。

 第一モブは顔が映らないっ!

 くつ箱の陰に入って耳を澄ます。

 するとゲームで何度も聞いたことのある声がした。


 「ねぇ、君かわいいね?新入生で一番なんじゃない?」


 「あなた誰?」


 「俺?俺は白川明良、二年だよ。気軽に明良先輩って呼んでもいいよー。」


 「私は桃井桜、一年です。...白川先輩。」


 ふおぉぉおお!

 憧れの桜ちゃんの声と久しぶりのイケボだぁぁあ!

 なつかしー、うれしー!

 

 「ふーん。桜ちゃんかぁ!かわいい名前だね、君にぴったりだよ。」


 「ありがとうございます。それじゃあ、さよなら。」


 「ぇ、待ってよ。それだけ?」


 「ん?なにがですか?」


 「いや、もっと、こう...さ?」


 「?」


 小首を傾げる桜ちゃんかわいいです。

 このシーンはイケメンチャラ男君の白川先輩が自分に興味を持たない初めての女の子(桜ちゃん)に自分が逆に興味を持っちゃう...というシーンである。

 ゲームでは三つくらいのセリフの中から選んでく感じなんだけど、桜ちゃんは一番好感度のあがるセリフを言ったみたい。

 ここからの白川先輩の顔がいいんだよねー。

 顔がみたいよー、ここからじゃあ桜ちゃんの顔しか見れないよー。

 はっ!

 桜ちゃんの背後に鏡があるっ!

 白川先輩の顔、映ってる-!やった-!


 「本当に俺に興味ないの...?」


 「はぁ?なんなんですか、さっきから。もう帰ります。さようなら!」


 あれっ?なんか鏡越しに白川先輩と目があったような...気のせいかなぁ?


 「ちょっ、待てよ!」


 「放して...よっ!」


 「あっ」


 桜ちゃんが走って私の方に...って、あ!

 ここくつ箱じゃん!くるに決まってるじゃん!

 とっさにうつむいたけど、目があったかも。

 けれど桜ちゃんはさっと靴をとって帰って行った。

 そうだ...私モブじゃんか。

 気にされるはずないのに、はずかしー。

 走り去る桜ちゃんを不思議そうに見つめるポニーテールの少女(私)。完璧なモブだね。

 ...と思っていたのに。


 「...で、鏡の向こうの子猫ちゃんはいったい誰なのかなー?いつからいたの?最初から?」


 いつの間にか背後に白川先輩がいる。

 目があったのは気のせいじゃなかったのかー。


 「こっち向きなよ、子猫ちゃんに乱暴なことしたくないんだけど。」


 向かなかったら乱暴するんですね。怖いなー。

 白川先輩、うざい子嫌いだからね。ファンだとでも思われたかな。

 ある意味ファンだけど、変に干渉するつもりないんで見逃してくれませんかね。

 とゆうか、私もうすでに靴をはいている。

 逃げる準備はできてるんだよね。これはもう、逃げるが勝ちでしょう。


 「ねぇ、いつまで黙ってるの?子ね-」


 「私はモブです。」


 「えっ?」


 白川先輩の声を遮って私のことを教えて差し上げた。

 ひるんだすきにダッシュ!


 「はっ?!逃げれると思って…って、はやっ!」


 追いかけようとする白川先輩をほっぽって全力で帰る。

 へっ、猫は足が速いんですよーだ!

 私は次のイベントはいつだったかなぁとか思いながら家に帰った。



 「はぁ…はぁ…。なんだよ、あいつ。桃井桜とかゆーのもだけど、おもしれーな。」

 ありがとうございました。

 実は乙女ゲームしたことありません。

 これでいいのだろうか……。

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